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蟷螂の斧さん
平均点: 6.09点 書評数: 1637件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.1637 5点 最後の審判の巨匠- レオ・ペルッツ 2024/05/19 15:33
「重要な先駆」とバウチャーが賞揚とありますが、前例とも言えないレベルですね。まず、ミステリーではないと著者が言っているわけですから、トリック云々の論議の対象となりません(苦笑)。谷崎潤一郎氏の某作も同様でしたが・・・。「僕は巻き込まれた悲惨な事件の一部始終を書き終えた。嘘は一言もない。省略も隠蔽もない。」から始まるのですが、途中、幻想やら、怪物が犯人だと探偵役が言い出したり、わけが分らなくなってきます。ミステリーとして期待したので、評価はこの程度。

No.1636 7点 蜘蛛・ミイラの花嫁- H・H・エーヴェルス 2024/05/14 09:06
①蜘蛛 9点 「乱歩の選んだベスト・ホラー」森英俊編で書評済 乱歩氏の「目羅博士」の元ネタ
②死んだユダヤ人 5点 決闘で亡くなったユダヤ人を馬車で運ぶ。長距離で運び人は飲んだくれる。死人にも飲ませる・・・ホラー
③乳を飲ませた女 8点 病気になった男は、食事を受け付けず、ただ、牛乳をという。羊の乳、樹乳も受け付けず・・・感動もの
④アルラウネと運転手 6点 運転手は暴走を強要する娘に手を焼く。退職を申し出た、その夜・・・悪者は?
⑤最高の愛 7点 バイオリニストは渡された白い包みを無造作にポケットに放り込んだ。その夜、彼は今世紀最上のバイオリン奏者となった・・・殉愛、黄色い紐
⑥ジョン・ハミルトン・ルーウェリンの最後 7点 シベリアの奥地でマンモスと一緒に氷付けにされた女性が発見され、博物館に展示された。魅せられた画家は・・・SFチックな展開
⑦ミイラの花嫁 6点 恋人が行方不明に・・・題名から結末はわかってしまう(苦笑)
⑧アイリーン・カータ 8点 娘は理不尽に埋葬された父親を掘り起した青年に礼も言わなかった。数年後、富豪の夫人となった彼女と偶然会うのだが、目を見つめ合うだけであった・・・男女の心理

No.1635 6点 名探偵なんか怖くない- 西村京太郎 2024/05/08 17:22
読み落としかなあ?。理解不足?。残金2億5千万円はどこにあるのだろうか?。最初から○○であったらマンションは買えないし、犯人は盗む気も起こらないはず。この点、矛盾しているような気がするのですが・・・。トリックと真相は面白いので、この評価ですが、どうも腑に落ちない(苦笑)。

No.1634 5点 目羅博士の不思議な犯罪- 江戸川乱歩 2024/05/04 21:50
①目羅博士の不思議な犯罪 3点 ビルの同じ部屋で連続して3人の首吊り自殺。向かい側のビルに怪しい人物が・・・着想は「蜘蛛」という短篇から借りたと言っているが、「翻案」と思います。オリジナルとの観点で
②地獄風景 7点 巨大遊園地「ジロ楽園」での殺人事件・・・「パノラマ島奇談」の再現で、絵画「快楽の園」(ボス)のようです
③恐怖王 4点 遺体にナイフで恐怖王と刻みつける・・・休載した失敗作の旨(著者)
④鬼 7点 男の許婚が殺害された。その日、男は愛人と一緒であったが、愛人はそれを否定した・・・遺体運搬方法はあるトリックからの借り物の旨(正直ですね)
⑤火縄銃 5点 トリックはポースト氏やルブラン氏に先んじていたが、西洋の実例集(ハンス・グロス氏「予審判事便覧」と思われる)から借用
⑥殺人迷路 他作家との連作の一部で評価対象外
⑦悪霊 5点 密室と暗号・・・未完成。構想は「スミルノ博士の日記」の犯人像のようだ。横溝正史氏にそれを指摘され、意気消沈か?。その正史氏が○○殺人事件でちゃっかり、そのトリックを利用しているが(笑)
⑧妖虫 5点 レストランで向かいの席の青眼鏡の男とその相手の会話を読唇術で読むと、それは犯罪の会話であった。美人ばかりが狙われる・・・1933年「悪霊」は中断したが、こちらは完成。怪奇エンタメ系

No.1633 5点 白髪鬼- 江戸川乱歩 2024/05/02 17:17
英国作品「ヴェンデッタ(復讐)」を明治時代、黒岩涙香氏が翻案。昭和に入ってから、乱歩氏が舞台を日本に移し更に翻案。復讐がどのように行われたか?に的が絞られてしまったのが残念な点。復讐が成功するのか、失敗するのかという構成にした方がサスペンスフルになったと思います。

No.1632 6点 スミルノ博士の日記- S・A・ドゥーセ 2024/05/01 12:37
犯人がわかっていての読書。もし犯人を知らないで読んでいたら、どんな感想になるかを考えてみました。「なんだ、ものすごくアンフェアだなあ」と思うはずです。2か所、重要な事実と異なることが、断定的に書かれていました。仄めかしとか、あやふや表現ならよかったのですが・・・。某有名作の「トリック」と比較すると、やはり落ちるとの印象。ただし、先駆的な意味では評価したいと思います。なお、読むきっかけは、江戸川乱歩氏の「悪霊」中絶に関連?していることからです。横溝正史氏、小栗虫太郎氏も「悪霊」を書いていますので、取り掛かってみたい。

No.1631 7点 人間腸詰―夢野久作怪奇幻想傑作選- 夢野久作 2024/04/24 21:31
①人間腸詰 8点 あっしの洋行の土産話ですか。何なら御勘弁願いたいもんで・・・軽いノリの話がラストで反転。ゾッとします
②焦点を合わせる 6点 上海を出航した貨物船。機関長と男子留学生とのやり取りから・・・二人の意外な正体
③空を飛ぶパラソル 6点 派手なパラソルをさした女性が列車に飛び込んだ。記者はバックの中から名刺を盗み特ダネを書く・・・関係者の反応は如何に 
④眼を開く 6点 雪の山小屋に籠った作家の元へ、毎日郵便を届ける配達人が遭難・・・感謝もしない作家だったが
⑤童貞 5点 「少女地獄」で評価済 
⑥一足お先に 8点 「瓶詰の地獄」で評価済 
⑦狂人は笑う 6点 「ホホホホホ」入院している女性、「アハッハッハ」幻覚の男性・・・中国茶の蘊蓄あり 
⑧キチガイ地獄 8点 記憶が戻ったので精神病院を退院したいという男・・・男の正体は?混乱必至(笑)
⑨冗談に殺す 6点 「瓶詰の地獄」で評価済 
⑩押絵の奇蹟 8点 「押絵の奇蹟」で評価済

No.1630 6点 悪なき殺人- コラン・ニエル 2024/04/20 15:07
題名は大事だなと思った作品。「悪なき殺人」とはいったいどういう殺人なのか?と思いながらの読書。しかし、結果は悪意はあった。原題は邦訳すれば「動物は知っている」らしい。これもちょっと意味不明(苦笑)。内容は5人の視点が描かれ、徐々に各人の繋がりや伏線が回収されていくという形式。それは楽しめた。ただし、ラストの一行はどうなんだろう?。あまり感心しない。サイコ系ならありかもと思うが・・・。

No.1629 6点 ナポレオンの剃刀の冒険- エラリイ・クイーン 2024/04/14 18:07
①ナポレオンの剃刀(1939) 6点 列車内で宝石泥棒が殺害された。凶器はナポレオンが使用したという剃刀(贋作)。泥棒が持っているはずの宝石がなくなっていた・・・剃刀の持ち主は大学教授だが
②〈暗雲〉号(1940) 4点 遺言を書き変えるため、口述で録音中に銃殺された。被害者の資産はすべて宝石。録音の中で宝石(ジュエル)!と叫んでいた・・・ダイイングメッセージ
③悪を呼ぶ少年(1939) 4点 ウサギ肉のシチューを食べた叔母が死亡。叔母自身が作ったシチューに砒素が入っていた・・・そんな馬鹿な(化学的根拠)
④ショート氏とロング氏(1943) 5点 詐欺師の小男が自宅の中に入った。警視が踏み込むが、中には大男の使用人だけであった。小男はどこに隠れたのか?・・・冷蔵庫?(笑)
⑤呪われた洞窟(1939) 9点 洞窟内での殺人。入り口には被害者の足跡のみ・・・このトリックの嚆矢?と思われ高評価。犯人特定のロジックも秀逸
⑥殺された蛾(1945) 7点 宿泊用キャビンの中でガス中毒死。蛾が5匹死んでいた。その様子を見て・・・蛾の習性
⑦ブラック・シークレット(1939) 6点 古書店での盗難、贋作、殺人事件、ダイイングメッセージ(ブラック氏の秘密)・・・それぞれの犯人は?
⑧三人マクリンの事件 4点 マクリン家の三人を強請った女優が殺害された。現場には右袖が濡れているコートがあった・・・5分でエラリーが解決した問題(当時の車を知らないと解けない)

No.1628 8点 スターヴェルの悲劇- F・W・クロフツ 2024/04/06 10:32
放火、窃盗、殺人、死体消失など緻密に計算された犯罪を、フレンチ警部が地道な捜査と推理によって暴いてゆく。端から犯人を特定しての読書。こんな読み方は、ほとんどしませんがピッタンコでした(笑)。すると、作者が如何にミスリードを仕掛けているかがよくわかりました。なお、本邦作品であれば、大幅な減点対象となるアンフェアな記述がありました。しかし、翻訳ものなので、誤訳かも???。なので許容するしかないか(苦笑)。これを書いちゃあ絶対駄目でしょうというレベルです。また、巻末のミステリ談義で「フレンチ警部最大の事件」の犯人がネタバレされていました。読もうかなと思っていた作品なのででガックリ。

No.1627 6点 しおかぜ市一家殺害事件あるいは迷宮牢の殺人- 早坂吝 2024/03/30 14:39
クローズド・サークルの脱出となると、どうしても「インシテミル」を想起します。あの緊迫感がなんとも言えないのですが、本作はラノベチックでしたね。最近は「どんでん返し」の上手い作家さんが多く出てきており、よほどのことでないと驚かなくなってしまった(苦笑)。           
なお、迷宮牢の殺人1にある「彼の」は「彼女の」のミスだと思うのですが・・・

No.1626 7点 出版禁止 いやしの村滞在記- 長江俊和 2024/03/26 10:57
ホラーサスペンスものと思いながらの読書。よって流し読み。その結果の評価は5点程度。よくわからない点が多い作品との印象です。そこで、ネタバレサイトで調べてみました。なんと、ビックリ!!。物語全体の意味が全く違っていました。私のような凡人が悪いのか?(笑)。うーん、負け惜しみとなるかもしれませんが、例えば探偵役が真相を暴くという形であれば、作者の企みが読者に届き、かなりのカタルシスを得ることができたのではないかと思います。8点、9点献上してもいいと思いました。





(ネタバレ~本命は叙述部分ではなく、ルポライターが高校生の時、彼女からプレゼントされた「幸せを呼ぶ丸い貝」)

No.1625 7点 松本清張自選傑作短篇集- 松本清張 2024/03/22 21:37
1976年の短篇集
①張り込み 7点  「張込み」にて書評済
②顔 7点 「張込み」にて書評済 
③白い闇 6点 夫が東北へ出張したまま帰宅しない。東北に愛人がいることがわかるが、その愛人は自殺。心中か?。妻は夫の従弟と十和田湖へ・・・妻の従弟への心理
④危険な斜面 6点 自社の会長の愛人は10年前に付き合った事のある女性であった。男は出世のため、彼女を利用しようと・・・彼女には若いツバメがいた
⑤天城越え 9点 「黒い画集」にて書評済
⑥潜在光景 8点 「影の車」にて書評済
⑦陸行水行 5点 「陸行水行」にて書評済
⑧たづたづし 6点 不倫相手の夫が刑務所に入っていることを知る。一週間後に出所するという。保身のため愛人を殺したが・・・死体が発見されない
⑨内なる線影 6点 老齢の画家と若妻。画家はノイローゼ気味で気分転換のため保養地へ。若妻にはヒッピー青年の影がつきまとう。画家が溺死(自殺?)ヒッピー青年は窒息死。絞殺ではない・・・化学的方法                                   

No.1624 9点 黒革の手帖- 松本清張 2024/03/14 11:27
主人公の元子(元銀行員)、波子(ホステス)、市子(看護婦長)、すみ江(料亭の仲居)の女性陣がしたたかですね。何回もTVドラマ化されていますが、結末はそれぞれ違うようです。記憶にある女優さんは、米倉涼子さん、武井咲さん。かすかに大谷直子さん。長編(上・下)なので、中々手が出なかったのですが、読んで正解。○○○はサイコ系かも?!

No.1623 6点 羅針盤の殺意 天久鷹央の推理カルテ- 知念実希人 2024/03/06 20:17
①禁断の果実 6点 イケメン高校生の翔馬。特定の時期だけ肝炎を引き起こし入院を繰り返していた。ベッドで様子見であったが、病状が急変。病室から見舞いの男子高校生が出てきた。しかし翔馬はそんなことはないと否定・・・意外な原因
②七色の猫 5点 いろいろな色に染められた大量の猫が発見された。NPO法人が洗浄してくれていた。法人の職員には猫のひっかき傷があり、みみずばれとなっていた。滅多にない病気かも・・・NPOのお仕事
③潰された挑戦状 7点 女性医院長が書庫室で脳梗塞で死亡した。彼女は余命1年であったが、その前に死んだら殺されたということと言っていた。準密室であり、殺された様子はなかった・・・謎を解けるかどうかの師弟の勝負

No.1622 6点 名探偵のいけにえ 人民教会殺人事件- 白井智之 2024/02/29 17:58
多重解決にそもそも興味がないというより、つまらない仮説ばかりというイメージを持っています。過去、多重解決で面白かった作品は2、3冊しかありません。本作は、あまりにも高評価なので、手に取った次第ですが・・・。成程というような仮説は、やはりありませんでしたし、また犯人は分りやすい?(苦笑)。題名に関する点が良かったので、この点数で。

No.1621 5点 夏への扉- ロバート・A・ハインライン 2024/02/23 14:09
SFの名作(1957年)とありますが、SFと捉えるとタイムパラドックスはどうなのよ?と突っ込みどころあり(笑)。よって、ファンタジーとして読むべきでしょう。でも主人公は、どうもロリコンぽくって・・・(苦笑)。

No.1620 7点 かがみの孤城- 辻村深月 2024/02/17 19:49
先日、TV放映されました。映画、小説、それぞれ利点はあるけれど、どうしても小説に軍配を上げざるを得ないかな・・・と思う次第。素直に感動。

No.1619 6点 死者の入江- カトリーヌ・アルレー 2024/02/17 19:48
夫が出張の間、精神に問題のある人妻に起こる怪奇現象。幻想なのか、現実なのか?。精神を病んだ理由と、夫が帰宅後の会話が読みどころ。

No.1618 5点 大いなる幻影- カトリーヌ・アルレー 2024/02/17 19:46
遺産相続にかかるドタバタ劇。ラストの展開は、登場人物にとっては腑に落ちないはず。当然、読者も・・・(苦笑)

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蟷螂の斧さん
ひとこと
ミステリーは、作家中心では読んでおらず、話題作や、ネットでのお勧め作品を読んでいます。(2013.6追加~本サイトを非常に参考とさせてもらっています。現在は、読後、類似なトリック・モチーフの作品を探した...
好きな作家
ミステリー以外で「石川達三」、短編で「阿刀田高」、思想家で「荘子」
採点傾向
平均点: 6.09点   採点数: 1637件
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