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虫暮部さん
平均点: 6.28点 書評数: 959件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.41 5点 馬鹿と嘘の弓- 森博嗣 2021/02/10 13:43
 そういう人生観もアリかな~、と思わせておいて卓袱台返し、みたいな狙いは決まっている。文章力の勝利ではある。しかし現実の事件をそのまま髣髴させる書き方のせいで、非道な展開を無心に楽しめないのは大減点。戦略ミスだと思う。

No.40 3点 イナイ×イナイ- 森博嗣 2020/06/04 11:47
 犯人が事件を、誰に対して、何の目的で、どのように見せかけたかったのか、まるで判らない。私の理解力の問題ではなく、辻褄が合っていないからだと思うのだが。
 エピローグでの小川令子の“もっとうまく(商売として)立ち回る方法はなかっただろうか”と言う発想は、ミステリっぽくなくて面白い。

No.39 5点 ηなのに夢のよう- 森博嗣 2019/08/30 09:57
 やろうと思えばなにがしかの方法で実行可能なのだから、実際にどうやったのかは問題ではない、と言わんばかりの態度だが、だったらこんな“高い死に場所”なんてギミックを付加する必要は無い。シチュエイションの無駄遣いだ。
 その点を除けば悪くない(除いていいのか?)。

No.38 7点 ψの悲劇- 森博嗣 2018/10/17 13:10
 なかなか面白い、と言うか森博嗣にはこのくらいを作品の最低ラインとしてキープして欲しい。
 ただ、全体的に“たいしたことじゃない”という視点で静かに書かれているため、ネタの割に印象が地味。こういう着地点が作者の持ち味ではあるが、今作では勿体無いかも。演出過多な書き方をすればもっとエンタテイン出来たと思う。

No.37 5点 λに歯がない- 森博嗣 2018/09/03 11:24
 何を以て復讐の成就と見做すか、は当事者の胸先三寸と言う側面があるわけで、犯人に奇矯な行動を取らせがちな森博嗣作品とは親和性が高いと言える。って勿論皮肉だよ。
 第2章の“そんな駄洒落を言うために、普通四人も殺さないでしょう?”という台詞は大胆な伏線!途中で出て来たコンクリートミキサ云々は結局ダミー?

No.36 6点 εに誓って- 森博嗣 2018/07/03 15:32
 とばっちりで殺されたバスの運転手が気の毒。最初から団体でバスを借り切っておけば済んだ話じゃないか。

No.35 6点 血か、死か、無か?- 森博嗣 2018/06/01 11:05
 このシリーズはひとつの物語をゆったり書いているようなもので、勿論なにがしかの出来事は起こるのだけれど、巻による印象の差が乏しい。ストーリーがどうと言うより、それによって提示される世界観を味わっている側面が強い。西尾維新なんかだとそれを思い切ってぶつけてくるけれど、Wシリーズはじわじわと染みて来る感じ。ただ意地悪く言うなら、既にほぼ焼き上がっている肉塊を少しずつ切り売りしているようにも思える。

No.34 4点 ダマシ×ダマシ - 森博嗣 2017/10/12 13:17
 今に始まったことではないが、思い付きだけで場当たり的に書き進めて、色々綻びが出たけれど書き直すのは面倒なので、ひとの心の曖昧さを免罪符にして辻褄を合わせた、という感じ。本作では、わざわざ殺すほどの必然性が全く無い、という点が致命的。あの人が偶然あの人の顔を知っていてあっさり身元が割れるのも手抜きとしか思えない。他にも合点の行かない記述は多く、森博嗣の近作は不自然ポイントを探す為に読んでいるかのような私である。

No.33 3点 レタス・フライ- 森博嗣 2017/07/31 10:28
 殆ど内容が無いような話を文章の個性だけでどこまで引っ張れるか実験した、が概ね失敗した、という感じ。辛うじて「砂の街」は面白いが、この本に収録してしまうと、基本的に同類である他の短編に埋もれて、その良さが際立たない気がする。

No.32 6点 τになるまで待って- 森博嗣 2017/07/27 11:56
 ドアの溶接をセメントでカモフラージュした、と言うのは誰に対するカモフラージュなのか?密室状況を作った理由が時間稼ぎならトリックがあとで露見しても問題は無いわけで、そんな作業をしている時間こそが勿体無いのでは。
 トリックは肩透かしだしストーリーもたいしたこと無い。しかしどこがどうと言うわけではないが、この時期の森博嗣作品としては比較的面白く感じるほうの一冊。

No.31 5点 θは遊んでくれたよ- 森博嗣 2017/01/11 14:22
 こんな時間、こんな場所に、二人だけで立ったとき、相手が自分を殺そうとしてるか、それとも、そんな気持ちはこれっぽっちもないか、それくらい、わかるんじゃないか?
 というラヴちゃんの意見は、あまり論理的ではないが、非常に説得力を感じた。しかし(あくまで仮説とはいえ)事件の真相でほぼその通りのことが行われているんだよなぁ。なにそれ。
 思わせ振りなだけで回収する気のない伏線の存在感が大き過ぎて、相対的に事件の核がしょぼく見える。

No.30 4点 Φは壊れたね- 森博嗣 2017/01/04 11:04
 この密室トリックは意味が無い。室内にもうひとりいるなら、そいつが刺せば良かったじゃないか。犯人は何がしたかったのか、この行為が何故それをしたことになるのか。作者は“人間の内面は読めない”という言い訳に頼り過ぎである。

No.29 7点 四季- 森博嗣 2016/12/09 16:01
 厳密を期すなら、原理的に作家は自らより賢い登場人物を創造することは出来ないはずである。しかしだからといって天才キャラは不可、としてしまってはつまらないわけで、真賀田四季の天才っぷりもそういう“設定”ということでまぁ良い。
 ただあまりに突き抜けた設定にし過ぎたせいで、四季を記述する言葉が的確である担保が失われてしまった感がある。例えばイエスと言った場合にそれが同時にノーも意味しておりしかもそれがどちらであっても特に変わりはない、みたいな(作中にも“天才の思考に存在する一般化されていない概念には対応する言葉がないかもしれない”といった台詞がある)。小説を読んでいてこういう感覚になることはなかなか無いことで、それは確かにこのトゥー・マッチなキャラクターの価値として充分なものだと思う。

No.28 5点 虚空の逆マトリクス- 森博嗣 2016/10/18 09:04
 「ゲームの国」のリリおばさんの作品“白雪の屋根やお屋根や軒揺らし”は、“屋根や”という短い回文が重複していわば水増ししているわけで、五七五に整っていることを考慮してもあまりいただけない。例えば“白雪の山に谷間や軒揺らし”等とするほうが美しいと思う。
 越路刑事は“吹雪さん?”なんて既に百万回言われている筈で、“意味が通じません”みたいな反応は不自然。本書の中で一番不自然に感じた。
 「話好きのタクシードライバ」。自動運転車が視野に入ってきた昨今。'02年初出のこの話は真っ先に風化するかも。

No.27 7点 赤緑黒白- 森博嗣 2016/10/07 10:35
 森博嗣作品に顕著な“良く判らない動機”の中では、本作のそれは比較的説得力を感じる判らなさだと思った。4件目の遠隔殺人などは本来ミステリで使ったら興醒めだが、現在のテクノロジー的には可能だと言う割り切りでアリに出来るのはこの作者ならでは。
 しかし、黒白は名前だけで適当に被害者を選定し人違いもやむなしとする一方、赤は犯人と関係のある人物でそのせいで犯人は最初から警察に注目されている。極論、その段階で尾行が付けば2件目で現行犯逮捕だったわけで、なんだか一貫性に欠ける計画は犯人像と矛盾する。その他諸々、ストーリー展開上の都合で場当たり的に広げた風呂敷をきちんと畳んでいない印象である。

No.26 5点 朽ちる散る落ちる- 森博嗣 2016/09/16 16:59
 宇宙密室という非常に魅力的な謎と、そのあまりにも残念な真相。こんなオチでシチュエーションの無駄遣いをするな。
 一方で地下密室の方はなかなか奇抜なアイデアで思わず膝を打った。

No.25 6点 捩れ屋敷の利鈍- 森博嗣 2016/09/14 10:09
 再読したら全編に亘って叙述トリックが施されていることに気付いて仰天した(刊行順に読んで行くと初読時には判りようがない)。こっちのトリックが本命だったのでは。“密室本”という押し付けられたコンセプトを利用して、捨てても良いストーリーをシリーズ間の隙間を埋めるのに使った、という感じ。その発想は面白い。

 本書だけ読むと、西之園萌絵と国枝桃子がガールズラブみたい。

No.24 5点 六人の超音波科学者- 森博嗣 2016/09/09 10:04
 犯人は土井博士が今日死亡したことにするのが目的だった→ならば、死体を消しちゃ駄目じゃん。博士の死の証拠がなくなっちゃう。
 通常は7年間の所在不明で失踪宣告が出るが、“特別の危難にあったときは1年間”とのことで、作中のような“死体消失”のケースはこれに該当するのだろうか。しかしどうせ失踪宣告待ちなら自殺に見せる(橋のたもとに車椅子と遺書を置いとくとか)ほうが簡単そうだ。これには大きなメリットがあって、それは警察の介入度が低くなるということ。他殺設定で行くなら二人目の死者を犯人役にしなくちゃ。
 つまり、一編のミステリ小説に仕立てるにはどうも底の浅い計画であるように思う。

No.23 4点 恋恋蓮歩の演習- 森博嗣 2016/08/29 11:09
 最後の手紙が凄く引っ掛かった。
 “もしかしたら、/自分の子供を愛することだって、/できるかもしれない。”
 この程度の気持で養育権を勝ち取っちゃって大丈夫? この気持自体が各務に誘導された結果、ということだろうか?
 “水平の柱”はわざとらしい。梁くらい私だって判る。ミステリに於いて、犯人(というか何らかの悪意を持ったひと)のミスは相応の原因に基づくべきであって、単に手掛かりを提供する為のようなそれは好ましくない。
 また、各務がそれぞれ別のルートで接触した大笛と保呂草が既に知り合いだった、という偶然はかなり苦しい。

 他にもあちこち不自然な気がするし、そこに目を瞑れるほど面白いというわけではない。

No.22 5点 今夜はパラシュート博物館へ- 森博嗣 2016/08/18 11:09
 うーむ、アナグラムか。続きを考えてみた。

 巨匠、窓見ろ(まどろみ消去)
 殿、死し、公家、問わん(幻惑の死と使途)
 名乗れ、プツリ、か(夏のレプリカ)
 芋は美味いな(今はもうない)
 相撲に来て死刑(数奇にして模型)
 優美、ショパンの桃源(有限と微小のパン)

 ……てな感じでどうかな。ところで『封印再度』には

 産医、不同意
 いい不動産
 インド風犀
 催淫豆腐

 ……といった手もある。あそこで苦しい作例を挙げたのはオチとしての演出?

虫暮部さん
ひとこと
好きな作家
泡坂妻夫、山田正紀、西尾維新
採点傾向
平均点: 6.28点   採点数: 959件
採点の多い作家(TOP10)
西尾維新(57)
エラリイ・クイーン(47)
有栖川有栖(46)
森博嗣(41)
山田正紀(34)
泡坂妻夫(28)
アガサ・クリスティー(23)
小林泰三(20)
法月綸太郎(19)
島田荘司(17)