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虫暮部さん
平均点: 6.22点 書評数: 1706件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.9 6点 鏡の殺意- 山田正紀 2017/08/02 10:52
 事態の進展に伴い足許から世界が崩れて行って、しかし再構築はされず、真相らしきものが一応明らかになったあとも摑みどころの無い場所にポツンと残されていることに気付く……というのはミステリ系に限らず山田正紀作品によく見られる構造。ストーリーが直線的で細かな目配りに欠けるし、“真実の確定”が中心ではないし、厳しく見るなら、曖昧な“雰囲気”を核に据えた舌先三寸とも言える。しかし再読したところ以前よりも面白く感じたのは、私がミステリに求めるものが変わってきたからか。

No.8 6点 カムパネルラ- 山田正紀 2016/11/28 10:57
 呪師霊太郎シリーズでも題材とした宮沢賢治にSF側からアプローチした作品。SF設定の中で殺人が発生、中盤までその謎解きで進むものの、ミステリ的決着が中途半端なままSF的カタストロフで押し流してしまった。こういう結末なら全体のSF度がもっと高くて良いと思う。

No.7 7点 屍人の時代- 山田正紀 2016/11/21 12:21
 ミステリの形を借りて時間の無常を描いた風情は好き。
 しかし、第二話の“毒ガスの用心のため口だけで息をする”と、第四話の“貨車を燃やして石灰粉を消してしまわないと、農場に搬送できない”の理屈が判らない。苦労して辻褄を合わせたという印象が残る。このひとのミステリは多少破綻しててもアリなんだけど……。

No.6 7点 カオスコープ- 山田正紀 2016/11/11 11:28
 認識論、存在論、脳地図といった“山田正紀用語”は“確立された個性”か“ネタの使い回し”か微妙なところだが、一応の整合性を維持してミステリに着地しているのは立派。複数の殺人事件が些細な枝葉に思える遠近感の狂ったヴィジョンに呑み込まれる快感。
 でも正直に言えば、冒頭の「大鴉」談義が一番面白かった。

No.5 6点 ロシアン・ルーレット- 山田正紀 2016/11/08 09:58
 作者御得意の虚構性を生かしたミステリアスなストーリー集(短編集のような長編)。どのエピソードもやりきれなくて面白い。しかしこれの何処がロシアン・ルーレット?

No.4 6点 火神を盗め- 山田正紀 2016/10/31 10:53
 ところどころにさぁ感動的に盛り上がれと促すような文章があるが、それに乗っかるにはキャラクターの掘り下げが甘い気がした。工藤はなんであんなに強気なの。フツーの会社員があんな風に会社を脅すなんて、フィクションとしてのリアリティに欠ける。かつて過激派だったとかの過去がなくちゃ。

No.3 5点 ファイナル・オペラ- 山田正紀 2016/05/06 10:36
 長過ぎてくどい。こういう資質はSFで使ったほうがやはり良いのでは……。

No.2 6点 阿弥陀- 山田正紀 2014/10/30 12:26
冷静に思い返せば成程端正なパズラーには違いないが、謎がしょぼい感は否めない。
 中井芳子のキャラクターがいまいち摑めないので、ラストで明らかになる彼女の行動が唐突に思える。

No.1 6点 人間競馬 悪魔のギャンブル- 山田正紀 2013/08/19 10:07
同著者のかつてのアクション系SFを思わせる、良い意味でのB級作。『ミステリ・オペラ』系の濃厚作品ばかりでは、愛読者も疲れてしまうからね。とはいえ、人物造形の妙は流石。

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虫暮部さん
ひとこと
好きな作家
泡坂妻夫、山田正紀、西尾維新
採点傾向
平均点: 6.22点   採点数: 1706件
採点の多い作家(TOP10)
山田正紀(89)
西尾維新(69)
アガサ・クリスティー(64)
有栖川有栖(50)
森博嗣(48)
エラリイ・クイーン(47)
泡坂妻夫(38)
歌野晶午(28)
小林泰三(27)
島田荘司(24)