皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
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虫暮部さん |
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| 平均点: 6.20点 | 書評数: 2119件 |
| No.2059 | 8点 | 沙髙樓綺譚- 浅田次郎 | 2025/09/09 14:32 |
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| ミステリ脳で読むと、伏線があるような無いような、オチになっているようないないような、なんだけど、そういう説明に入りきらない何かの塊をグイッと突き付けられたような強烈な衝撃がある。 特に映画のエピソードは、もっと仕掛けを施そうと思えば出来そうなところ、“これでいいのだ!” と言わんばかりの勁さが印象的。
語りの語尾がところどころ不統一なのは気になった。 |
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| No.2058 | 6点 | 神君幻法帖- 山田正紀 | 2025/09/09 14:31 |
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| この手のバトルものは、極言すれば “どちらが勝つか” と言うワン・パターンであって、私はあまり積極的には手が伸びないのである。そりゃあミステリだって “謎とその解明” のワン・パターンだけど、そこが好みの問題なのだろう。
それを、どちらが勝つか “だけ” に終わらせない為に、化け物じみたキャラクターを多々投入して、これでは殆どファンタジーじゃないか。同姓のよしみでもなかろうが堂々たるオマージュ。 敵味方が入り乱れるのでどっちがどっちか混乱するのが難点。両陣営がもっとはっきり色分けされていれば、と思うのは団体戦を読み慣れていない者の野暮な注文だろうか。 |
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| No.2057 | 5点 | 秘曲金色姫- 柴田勝家 | 2025/09/09 14:31 |
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| 人の心は自然な超常現象である。'80年代の伝奇ミステリの、ドロドロの質を今風に変換したような感じ? エピソード自体は強い吸引力で読ませる。
ただ、“登場人物達にとっての謎” も勿論あるけれど、比重としてはミステリ的手法で作者が読者を混乱させる側面の方が大きい。良く出来てはいるが、新本格ムーヴメントでこの類の騙しは沢山読んだからなぁ、と言う私の屈託を超えて迫って来るには少々足りなかった。 |
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| No.2056 | 4点 | 変相能楽集- 皆川博子 | 2025/09/09 14:30 |
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| 元ネタが能楽。ハードルが高いなぁ。イメージの連鎖による自由な連想ゲーム。“幻想小説” と単純に捉え切れないし。どうせ知識など無いのだから余計な配慮はせずに無心に読むわけだが、それでも判らぬ。と認めるのは悔しいが如何ともしがたい。 | |||
| No.2055 | 3点 | 追想五断章- 米澤穂信 | 2025/09/09 14:28 |
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| ネタバレあります。
うーむ。上手に組み立ててあるのは判るけど……。 まず一つ指摘をしたい。 父は “ワシが死んだら小説5篇を集めよ、さすれば真実が日の目を見るであろう” とか遺言を残したわけではないのだ。“小説? ふーん” で終わったかも知れない。実際に収集の道のりは、別名義があったりして、幸運に助けられた側面も大きい。 “娘が5篇を集めようと試みる、そしてそれに成功する” ことをどの程度期待していたのか。と言うか、コンプリートを望むのは無茶じゃないか? しかし、古本屋&依頼者による謎解き部分では、“最後の一行とタイトルの組み換え” とか、父がコンプリートを前提にして娘へメッセージを送っているようで何か矛盾が感じられる。 父が何処までを意図していたのか記述に曖昧なところがあるけれど、結局、全ては、父の小説から “意味” を読み取りたい娘の思い過ごしかも知れない、と言う状況設定になっていると思う。 その点は大目に(見たくないけど)見るとして。 本作では、母の死に関して、最終的に三つの回答が導かれている。①自殺だった ②他殺だった ③事故と言えるものだが、死へ後押ししてしまった手は存在する。 最後に言及されるから③が真実、みたいな印象をつい持ってしまったが、それは子供の曖昧な記憶を拡大解釈したものであって、信頼性に難があるとも言える。裏付けになる物的証拠があるわけではない(よね?)。 そして、良く考えるとこの三つからどれかを選ぶ決め手は示されていない。 何故なら本件では、有効な証人は父だけであり、真実が①②③どれであっても、彼としては①を主張するだろうからだ。つまり主張の内容(=小説に託したメッセージ)から真実がどれか判断することは出来ない。 しかも、“小説から作者のメッセージを読み取る” のは恣意的な解釈が可能。解決篇の “推理” は、成り行きに応じて結論を選んで、それに応じて解釈を選んでいるだけだ。メッセージは真実を明かす為か隠す為か? もっともらしい説明はどれに対しても成立すると思う。 なんのことはない、この長編自体もリドル・ストーリーではないか。 でも私はそういうのじゃ嫌なの! “小説から作者のメッセージを読み取る” をやるなら、もっとキッチリした論理で、“あそこに○○と書いてあり、こちらには●●と書いてある、これを両立させるには××だと考えるしかなく、それを作者は密かに伝えたかったのだ!” みたいに結論を一つに限定して欲しい。 作中作と叙述トリック等を組み合わせたその手の作品(綾辻行人のアレとか)に比べ、本作の曖昧さには大いに不満が残った。 |
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| No.2054 | 8点 | ミステリの女王の冒険- エラリイ・クイーン | 2025/09/02 13:42 |
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| 映像作品のフェア・プレイとは? と考えさせられた。ここからこのアングルだとアレが見える、見えない、見える筈のものが見えない、と言った視覚的手掛かりは映える。
一方、嘘の証言内容を映像で表現するのはアリなのだろうか? 映像は “(虚偽を書いてはいけない)地の文” ではないのか。イメージ映像であることが文脈的に判れば可? あまりストイックだと嘘と本当の区別が簡単に付き過ぎるかな。 「十二階特急の冒険」。ダイイング・メッセージ、出血していたのに血文字じゃないのね。 表題作。アレが真相なら、溺死した人の行動の理由が不明になってしまうのでは。 |
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| No.2053 | 7点 | エラリー・クイーンの国際事件簿- エラリイ・クイーン | 2025/09/02 13:41 |
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| 伏線とか論理とかをぶっちぎり、ノンフィクションだからこそ許容される信じがたい展開。それがこんなに大量に並んでいると、まるでフィクションのミステリに対する批評として現実の事件が存在するような、倒錯した感覚に陥ってしまう。 | |||
| No.2052 | 7点 | 花とアリス殺人事件- 乙一 | 2025/09/02 13:41 |
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| 映画の内容は知らないのでそのへん配慮せずに読むと、まるっきり乙一の世界そのもの。ベランダで、駐車場で、失笑しつつ作品世界にどうしようもなく惹かれてしまう。
ばら撒かれた伏線をスルッと収斂させる手捌きがあの独特の感じ。小さな一歩でオールOKと言う気分になるエンディング、実は本質的解決にはなっていないから或る意味読者に対する誤誘導だけど、それもバッチリ効いている(ので読後感も良い)。 一応は謎もあるしタイトルに “殺人事件” と付いているし、広義の青春ミステリ(青春寄り)ってことで。 |
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| No.2051 | 5点 | 死者はよみがえる- ジョン・ディクスン・カー | 2025/09/02 13:40 |
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| 面白かったのは冒頭2章のみ。腹ペコの作家が無銭飲食の代償として死体に遭遇! ところが、疑われまくったり窮地に陥ったりするわけでもなく、事件関係者だか探偵サイドだか曖昧な立ち位置にあっさり納まってしまう。
事件の真相は結構動きがあって悪くないが、それが表層に反映されず、フェル博士の台詞で説明されるだけなのは勿体無い。そして、この真相が映えるのは、しっかりした人物描写があってこそだと思う。 ってことは、第一から第二の殺人にかけて、かの一団にリアル・タイムで密着する視点で描いた方が緊張感も保てるし良かったのではないか。その場合、俯瞰すると冒頭のコミカルさは浮いてしまいそうなので、いっそ削ってもいいや。 |
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| No.2050 | 5点 | ヘンチマン 本陣村の呪い- 柏木伸介 | 2025/09/02 13:39 |
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| ふてぶてしい情報屋達が織り成すキャラクター小説と考えれば楽しめるけれど、肝心の事件が何とも曖昧。犯人の行動、作中で言うところの “アリバイ作り的な意味合い” は意味あるのかな~? 単なる藪蛇ではないか。
隙あらば地方都市論や小さな脱線を繰り返す文体は良いのか悪いのか、差別化を図る(?)心意気は買うがそれ自体が物凄く面白いとは言えない。 |
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| No.2049 | 7点 | 亡霊の烏- 阿部智里 | 2025/08/26 14:46 |
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| 凪彦が蛍を切り捨てて強権支配に走るか、と一瞬思った(期待した)んだけど……。
立場によって正しさは違い、しかも正しさだけで生きられるわけでもない。対立する価値観をそれぞれ深掘りし、それに応じて脇役にも肌理細かくキャラ付けして舞台を広げる。故にその作品世界は雑多な生命力を生き生きと感じさせるのだか、反面、物語のダイナミズムが犠牲になって展開が遅いのも否めない。 と言う、リアル・タイムで追いかけるのがまどろっこしいシリーズになって来たなぁ。後追いで纏めて読める人が羨ましい。 ここ数巻の流れを振り返るに、雪哉の転向の契機になった “奈月彦の遺言” が不可解だ、との思いが強まるばかり。 |
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| No.2048 | 5点 | たけまる文庫 謎の巻- 我孫子武丸 | 2025/08/26 14:45 |
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| 軽くて読み易いことは、この作者の場合、基本的に長所。一方、新本格第一世代と言う看板のせいで、トリッキーなパズラー精神をも期待してしまう。短編でそれらを両立させることは難しいのだろうか。
一編ごとに見てみると決して悪くはないけれど、こうして一冊に纏めた時に、例えば有栖川有栖や法月綸太郎の短編集に比べると妙に “軽さ” ばかりが目立って感じられる。“これは外せない” と言うコアになる作品が不在なのだ。 |
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| No.2047 | 5点 | たけまる文庫 怪の巻- 我孫子武丸 | 2025/08/26 14:45 |
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| つい “仕掛け” を期待して読んじゃうからイマイチ怖さが感じられないホラー集。
そういう読み方をしても怖いのが「嫉妬」。これは “ドウエル教授” 系のSFだよね。 怖くなくても期待通りの捻ったオチは「青い花嫁」。これはミステリ。 あと一つ頑張ればタイトル全て漢字だったのに。 |
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| No.2046 | 5点 | ちょっと一杯のはずだったのに- 志駕晃 | 2025/08/26 14:44 |
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| 今時の密室トリック。え、そんな道具を使っちゃうの? と言う残念なところが一周回って面白いと言えなくもない。話を深化させる意志など全く感じさせないのも潔い(?)。弁護士二人のキャラクターの対比は印象に残った。 | |||
| No.2045 | 4点 | あなたが犯人だったらよかったのに- 井上悠宇 | 2025/08/26 14:44 |
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| 語り手の頭でっかちで思い込みの強いところは青春ぽい。それ故に織り成される罪と罰の謎。しかし残念ながら、そこまで魅力的とは言えない。何処かで読んだようなパターンだと感じるが、それで押し切るには強度不足かな~。 | |||
| No.2044 | 5点 | 優しい密室- 栗本薫 | 2025/08/23 13:40 |
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| 伊集院大介の台詞 “事実ってのは流動的なんです” がテーマ。事件を加害者から見れば “正義の鉄槌を下した正当防衛” だろうし、被害者から見れば “純情を踏みにじられた” である。
そして情報不足の観察者は、思い込みの強さで色々勝手に補って、誰の認識とも違う “私の” 事件を脳内で作り上げてしまう。幼稚な空騒ぎ、ではある。 しかしこの、一人称で語り手がぐじぐじ自分語りを繰り広げ強引に共感させる力こそ栗本薫の真骨頂だと私は思う。 但し、事件としては小粒だし、展開上必要な人物にしかキャラ付けしていないので、ミステリ的には張り合いが無かった。 |
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| No.2043 | 8点 | 絃の聖域- 栗本薫 | 2025/08/23 13:39 |
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| 外見的な美をああやってキャラクターの人間性にまで投影して敷衍しちゃうのは、まぁ栗本薫の作風なんだろう。山科警部補は公私混同気味で、大丈夫かなこの人……。
大トリの前に “Q・E・Dと云ってみたかった” なんて発言があるのは、やはり操りテーマを踏まえたネタなんだろうか。 現代社会の中での異界としての伝統芸能。 最初は、芸の為に個々の人間が流派の持ち駒扱いされているようだと感じた。それが、読み進むうちに、駒でありつつ人でもあろうとする心の軋みが滲み出るかの如く、それぞれの顔が見えて来るようになった。醜男がああいうポジションなのも作風なんだろう(か?)。 普段は聴きながら読んだりしないけど、今回はBGM:高橋竹山、吉田兄弟。 |
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| No.2042 | 5点 | 死体埋め部の悔恨と青春- 斜線堂有紀 | 2025/08/23 13:39 |
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| 題名通りの話。あぁ~それが青春。大きな縦糸としての、部長副部長のバック・グラウンドや間違った青春グラフィティは良い。
その要素を重視してもっと高評価したいところだがしかし、(後半の “依頼人当て” みたいな部分はともかく)指折りだのスク水だのの真相(かも知れないもの)があまりに他愛ないのだ。あの程度の謎なら、もういっそ死体埋めに専念してくれた方が、ライトな青春ノワールとして鋭く仕上がったんじゃないだろうか。 |
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| No.2041 | 5点 | 魔女の館の殺人- 三日市零 | 2025/08/23 13:38 |
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| 何か目新しいことをしようと頑張ったのだろうが、あまり効果的とは思えない。出題の傾向が自分の守備範囲ではないので楽しめなかったせいかもしれないが。クローズド・サークルものとしては可も無く不可も無く。
でも、故人の復讐に際して、その人が好きだったものをああいった形で使うかなぁ。思いを汚しているようじゃない? 地の文は “自意識が強めで知識をひけらかしたい大学生” と言う感じのキャラクターが上手く出ていると思う。解決編の手前で彼が急に怒り出したのは、詩文だけでなく私も意味が判らない。 |
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| No.2040 | 3点 | 学校の殺人- ジェームズ・ヒルトン | 2025/08/23 13:37 |
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| ネタバレします。
なにせ百年くらい前の英国の話なので、法律がどうなっていたのか。仮に現代日本なら、相続欠格である。 “故意に被相続人を死亡させた相続人は相続権を失う”。 本作の末尾で、犯人Xの計画はこのように説明されている。 ①Aを殺す ②Aの財産をBが相続 ③A殺しの罪をBに着せて、Bは死刑 ④Bの財産をXが相続。 相続欠格の概念を念頭に置いてこれを見ると、③が成功したら②は成立しないね。端から矛盾を含む計画なのである。濡れ衣を着せなければ普通に相続は出来るわけで、全部一度に纏めようとするからいけない。 ところが、作中では③が上手く行っていない。Xは計画を変更し、その為にCを殺し、一方それ故に②は成立して、Xはもう少しでBと共に海外移住して逃げ切れそうだった。 と言う具合に、Xが臨機応変に孤軍奮闘して想定外の展開に対処しているけれど、それは読者からすれば水面下に留まっている。そこを上手く表面に出せばもっと面白かったかも。 もう一点。“実は事故でした” って結論は如何なものか。 作中の論旨は、Xが “自分は、アレはやっていない” と言っている、ならば事故だ、と言うものであって、それはそれで根拠薄弱な二者択一である。 と言うか、一旦疑い始めちゃうと、事故を事故だと証明するのはとても難しい。過程の何処にも人為的な悪意が作用していないと証明せよ、って悪魔の証明じゃない? 積極的な証拠や動機が見付からないからって、誰かがガス灯を不安定にしてプロバビリティの犯罪的なことを試みなかったとは全く言い切れない。あっ、やったのがBなら面白かったかも。 |
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