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kanamoriさん
平均点: 5.89点 書評数: 2426件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.25 5点 冷たい太陽- 鯨統一郎 2014/06/26 21:36
「娘を預かった。返してほしければ五千万用意しろ」-----食品会社社長の高村家にかかってきた一本の電話から全てが始まった。幼稚園に問い合わせると、確かに娘の美羽が行方不明になっていたのだ--------。

あらすじだけを見ると、作者が新境地を開いたかのような誘拐を題材にした謎解きサスペンス.....なのですが、読了後は「やはり、鯨統一郎」といった感じのミステリになっている。
ユニークな身代金の受け渡し手段とか部分的に面白いところがあるものの、全てが”ある仕掛け”に奉仕するために構成されているので、かなり不自然でリアリティがない部分が目立ちます。虚偽の記述はないにしても、騙し方にあざとさを感じてしまう。とくに、読者と同じメタレベルに近い形で、かすみが探偵に情報を提供する方法はご都合主義といわれてもしようがない。
メインのアイデア自体は(既視感はあるものの)そう悪いとは思わないので、乾くるみとか、誰か別の作家が巧く書いていれば傑作になっていたかも知れない。
なお、表紙のイラストが連城三紀彦の「小さな異邦人」にちょっと似ている。くれぐれも間違って買われないようにw

No.24 4点 笑う娘道成寺  女子大生桜川東子の推理- 鯨統一郎 2013/09/29 20:20
バー〈森へ抜ける道〉の常連客から話題に出てきた事件の真相を、女子大生・桜川東子がカウンターの片隅で謎解くバー・ミステリの(たぶん)第4弾。

今回のネタは歌舞伎。「女殺油地獄」「曽根崎心中」「白浪五人男」「勧進帳」「忠臣蔵」「娘道成寺」の6つの演目の裏の構図を暴きつつ、相似形のような現在の事件の謎解きに結び付けるという同じパターンの連作短編集になっている。ただ、例によって謎解きミステリとしては論理性に乏しく、あまり見るべき点がないように思う。
各編での前振りで、懐かしの昭和の俳優ネタなどを巡ってのマスターと常連客とで交されるボケとツッコミが笑えるが。

No.23 4点 新・日本の七不思議- 鯨統一郎 2011/06/10 18:28
歴史の新解釈シリーズの第3弾。
お題は、原日本人のルーツ、柿本人麻呂、空海、写楽の正体、真珠湾攻撃の謎などですが、提示される解釈は「邪馬台国はどこですか?」などと比べるとミステリ的な発想によるものではなく、最後に付された参考文献に寄りかかったものが大半で小説としての面白味に欠けた。

No.22 4点 小樽・カムイの鎮魂歌- 鯨統一郎 2011/03/30 18:54
作家・六波羅一輝の推理シリーズ第4弾。
日本各地の伝説に絡めた(この作者にしては)まともな本格ミステリシリーズですが、アイヌの秘宝や義経北行伝説については、まったくの付けたし。看板に偽りありで、ごく平凡なトラベル・ミステリでした。探偵役が北海道まで飛んで事件に関わる経緯を考えると、この真相は納得いきません。

No.21 4点 空海 七つの奇蹟- 鯨統一郎 2010/08/23 17:39
弘法大師・空海が、まだ「真魚」と称していたときに、修業で巡る四国各地で起した奇蹟の逸話を基にした連作ミステリ。空海が登場する他の2長編と比べると非常に軽い内容で、奇蹟のトリックも各話ともひねりがなく子供騙しレベルでした。
歴史ネタ&ミステリ度ともに低級な出来です。

No.20 3点 パラドックス学園 開かれた密室- 鯨統一郎 2010/08/23 17:39
登場人物が重なっているので、一応「ミステリアス学園」の姉妹編かと思います。
ドイル、ポー、アガサなどの大学生が登場し、あの作品を連想させたり、カーが密室殺人の被害者になるなどプロット自体はパロディ趣向充分なんですが、事件の真相のバカバカしさ、いくつか挿入された逆説の陳腐さなど、嗜好から大きく外れた作品でした。

No.19 5点 あすなろの詩- 鯨統一郎 2010/08/22 21:45
作者にとっては珍しい学園もののミステリですが、それ以上に破格の展開を見せるプロットで、非常に異色な作品になっていると思います。
前半部の、大学の文芸部サークルの同人誌作成を巡る読み心地のいい青春小説のテイストが、後半部に入って嵐の山荘ものの大量殺戮の物語に急展開するプロットが刺激的でした。作者のぬるめの他作品を読んでいれば、作風の相違に驚くこと間違いないと思います。

No.18 2点 「神田川」見立て殺人- 鯨統一郎 2010/08/22 21:24
間暮警部の事件簿シリーズの第1短編集。
昭和の懐かしのメロディに乗せて、歌詞を無理やりこじつけた見立て殺人を扱っています。
作者は、よほど70年代の歌謡史に思い入れがあるのか、桜川東子シリーズ以上に歌謡曲ネタに固執していますが、ミステリとしてはクズといっていい連作でした。

No.17 3点 哲学探偵- 鯨統一郎 2010/08/22 21:05
「なみだ特捜班」の高島警視らが狂言回しになって、哲学者まがいの競馬場のおっさんが探偵役を務める連作ミステリ。
いくつか不可能トリックを扱った魅力的な謎がありますが、探偵役を始めとする登場人物のキャラが立っていない。コンセプトがいまいちよく分からない連作でした。

No.16 5点 親鸞の不在証明- 鯨統一郎 2010/08/22 20:54
「金閣寺に密室」「いろは歌に暗号」に続く長編歴史ミステリの第3弾。
六郎太と静のコンビが狂言回しとなって、名僧に関わる過去の事件を描くのがシリーズの定型で、密室、暗号につづいて今回はアリバイ(不在証明)かと思っていると、最後に背負投げを喰らうことになります。
この歴史シリーズ、余計なギャグもなく比較的まじめに書いているのは好印象です。

No.15 5点 月に吠えろ! 萩原朔太郎の名推理- 鯨統一郎 2010/08/22 17:45
詩人の萩原朔太郎を探偵役に据えた連作ミステリ。
ワトソン役の室生犀星とともに、大正・昭和初期の文壇・芸術史にかかわるプチ情報を交えながら、7つの事件を解決します。この辺の作者のトリビア・ネタは結構はまる人がいるかもしれません。
編中では、「謎の英国人」は歴史もののお約束ながら、楽しい趣向でまずまずではないかと思います。

No.14 5点 すべての美人は名探偵である- 鯨統一郎 2010/08/22 17:30
作者の創作した2大美人探偵、「邪馬台国は..」の歴史学者・早乙女静香と、「九つの殺人メルヘン」の女子大生・桜川東子の共演する長編ミステリ。
歴史の謎は静香、アリバイ崩しは東子という一応の役割分担ができていて、ファンにとってはたまらない設定ではないでしょうか?
ファン以外にとっては、ヌル過ぎる内容で、逆の意味でたまらないでしょうけど。

No.13 4点 浦島太郎の真相 恐ろしい八つの昔話 連作推理小説- 鯨統一郎 2010/08/22 17:16
バー・ミステリ連作短編集、桜川東子シリーズ第2弾。
前作の構成をそのまま継承しています。つまり、ヤクドシトリオによる懐かしい昭和の話題から、お伽話の新解釈、安楽椅子で解くアリバイ崩しというワンパターンの繰り返し。
肝心のミステリ部分がかなり萎える出来ですね。

No.12 6点 九つの殺人メルヘン- 鯨統一郎 2010/08/22 17:04
バー・ミステリ連作短編集、桜川東子シリーズの第1弾。
マスターら厄年トリオが、昔懐かしい昭和の歌謡曲・TV番組などの話題で盛り上がり、童話の新解釈とそれに見たてたアリバイ崩しに挑むという、大いなるワンパターンが逆に心地いい。
某書評サイトによると、編中の9つのアリバイは有栖川有栖の「マジック・ミラー」で類別された9つのアリバイトリック・パターンを忠実になぞっているとのこと。鯨統一郎、侮りがたし(笑)。

No.11 5点 いろは歌に暗号- 鯨統一郎 2010/08/22 16:13
平安朝を時代背景に”薬子の乱”に”いろは歌”の謎を絡ませた歴史ミステリ。
氏の歴史ものの中では、比較的史実を掘り下げた内容になっており、この辺の歴史ネタに興味があれば結構楽しめると思います。
空海と最澄の推理合戦という煽りは、若干大袈裟だとおもいますが、まともな歴史謀略ミステリとしてまずまずの出来です。

No.10 3点 蒼い月 なみだ事件簿にさようなら!- 鯨統一郎 2010/08/22 15:48
サイコセラピスト探偵・波田煌子シリーズ最終の第4弾で、今作は長編になっています。
連続暴行犯”蒼い月”を追うというストーリーで、過去に登場したキャラクターが何人も登場し最終話らしい展開をみせますが、あまりにも定番のプロットで真相がミエミエな上、煌子の個性的な天然ボケもいまひとつ冴えませんでした。

No.9 4点 なみだ学習塾をよろしく!- 鯨統一郎 2010/08/22 15:48
サイコセラピスト探偵・波田煌子シリーズの第3短編集。
今回は、なぜか学習塾の事務員になっています。したがって扱う謎は中学生が絡む”日常の謎”で、「清少納言の涙」とか読ませるものもありますが、全体的に益々薄味になってミステリ的にはあまり楽しめませんでした。
主人公・煌子のハジケぶりもおとなしめでした。

No.8 5点 なみだ特捜班におまかせ!- 鯨統一郎 2010/08/22 15:48
サイコセラピスト探偵・波田煌子シリーズの第2短編集。
今回は、警視庁の迷宮事件特捜部の心理分析官になっています。よって扱う事件は前作とは違い猟奇的殺人ばかりですが、解決へのロジックの牽強付会さは相変わらずで萎えます。
しかし、天然ボケの煌子を始め特捜部の面々のキャラは面白く、シチュエーション・コメデイとしては楽しめました。

No.7 5点 なみだ研究所へようこそ!- 鯨統一郎 2010/08/22 14:51
サイコセラピスト探偵・波田煌子シリーズの第1短編集。
メンタル・クリニックを舞台に、奇妙な症状を持つ患者たちの隠された原因を突飛な論理で解き明かす。いわば”日常の謎”に近いテイストですが、ロジックは強引すぎてとてもほめられません。
ただ、無免許で常識知らずの探偵役・煌子の天然ボケが楽しい。作者にすれば珍しくキャラが立っているように思います。

No.6 4点 とんち探偵一休さん 謎解き道中- 鯨統一郎 2010/08/22 14:51
とんち探偵一休さんシリーズの第2弾、今回は連作短編集。
前作のメンバーである検使官・新右衛門や茜とともに、茜の両親を探す旅に出る。
途中出会う事件や謎は、密室殺人、家屋の消失、首なし死体など本格コード充分ですが、そこはそれ、鯨統一郎らしいとんちと解決でゆるめです。

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kanamoriさん
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