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こうさん
平均点: 6.29点 書評数: 649件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.49 10点 殺戮にいたる病- 我孫子武丸 2008/05/14 22:17
 個人的には国内のフィニッシングストローク、サプライズエンディングの最良作だと思います。国外でも数えるほどしかありません。(カサック、バリンジャー、ニーリィーなど)
 確かに描写はきついかもしれませんがそれ自体がサプライズエンディングのための仕掛けでしょうから個人的には是でした。(非という意見もわかりますが)
 あのラストだけでも10点の価値があります。
 ただこういう作風は一発勝負なのでサプライズエンディングがあるという前情報すらないほうが良いと思いますし予備知識があって読む方ほど点数が下がる気がします。

No.48 8点 ドーヴァー 4/切断- ジョイス・ポーター 2008/05/14 22:10
 ユーモア小説といわれていますがおそらく日本人が読んでもユーモアを感じることはないと思います。そういう作風はあまり面白みはありませんがこの作品の主眼は動機で推薦文などでもかいてありますが確かに読んだことのない動機が出されておりそれだけでも一見の価値はあるかと思います。小説自体は作風はともかく満足でした。

No.47 8点 ナイルに死す- アガサ・クリスティー 2008/05/14 22:00
クリスティの作品の中では最良作の一つだと思います。殺人がなかなか起きませんが登場人物の描写を丁寧に書き中だるみはしていません。
  同じく中期代表作である白昼の悪魔もそうですが映画化されており映画もいずれも面白かったです。
  国内の古典でメインプロットがほぼ同じものがありそれを読んだ時に途中で犯人がわかり損をした気分になったのを思い出します。

No.46 9点 頼子のために- 法月綸太郎 2008/05/14 21:50
 先にニコラスブレイクの野獣死すべしを読んでいたので、違いを楽しみながら読めました。
 10年前に読んだ時はラストまで一気に読み大変面白かった覚えがありますが現在ではまず身代わりのための殺人が納得できません。ロジックの追及が初期クイーンの後継者たる法月作品のスタイルとはいえ現実で自分の殺人の犯人をつくるために一人殺すということが実際に安易に行われるとは思えません。
 ただ文章の力はすごく法月作品ではベストと思います。ラストも殺人幇助も綸太郎が初期クイーンの様な物語上の神の存在であることを考えれば個人的にはあまりひっかかりませんでした。
 これと一の悲劇を境に神から下りて悩める名探偵に移行するのはクイーン同様でこれも作者が意識的に行っているとは思いますが法月作品でも中途の家や厄災の町の様な後期代表作を期待したいです。初読時なら10点ですが現在の点数として9点です。
 尚モチーフとなっているニコラスブレイクの作品もお薦めです。 

No.45 10点 殺人交叉点- フレッド・カサック 2008/05/12 00:35
短くて読みやすいです。同じようなアイデアを使った新本格の作品もありますが先にこれが読めてラッキーでした。一緒に載っている連鎖反応も面白いです。
 昔はこれとバリンジャーの歯と爪くらいしかサプライズエンディング系は簡単に手に入りませんでしたのでそれを評して10点です。歯と爪よりは現代でも受け入れやすいかなと思います。

No.44 4点 虚無への供物- 中井英夫 2008/05/12 00:17
 アンチミステリ好きであれば10点だと思います。長い割りには文章も読みにくくはないと思います。採点はかなり分かれると思いますが個人的には合いませんでした。

No.43 6点 グリーン家殺人事件- S・S・ヴァン・ダイン 2008/05/12 00:12
僧正殺人事件よりは現在でも通用する作品だと思います。これも以前のは読みにくかった覚えがあり新訳となっていればよいのですが。クイーンの某作品と非常に似た所がありますがこちらの方が出版は先です。 ヴァンダインが確立したスタイルが後世のミステリに与えた影響が大きいということで世評ではもっと評価が高いと思いますが作品自体は楽しめたというくらいかと思います。作風の古さはどうしようもありません。

No.42 4点 僧正殺人事件- S・S・ヴァン・ダイン 2008/05/12 00:00
以前読んだものは読みにくかった覚えがあります。新訳になっていればまた評価が変わるかもしれませんが。
また犯行動機がミステリとして認められるかどうか。自分は認められませんでした。ポー、ドイル、クリスティ、クイーンなどを順々に読んでいく過程で読めば面白いと思いますが先に現代小説を読んだ後ではつまらないかもしれません。

No.41 10点 乱れからくり- 泡坂妻夫 2008/05/11 23:51
泡坂作品は初期作などは個人的には傑作ぞろいと思っています。いずれも読者に対して何らかの仕掛けをほどこしているのが好きです。(生者と死者やしあわせの書は極端な例ですが)
ただ仕掛けにより犯行が不自然に見える作品もありますがこれが一番無理がないかなと思います。意外な犯人もあり個人的には泡坂長編ではベストと思います。初期のほとんどが絶版の今では手に入りやすいこの本から手にとるのをお薦めします。
亜愛一郎や 曾我佳城などの短編も味わい深いですが趣向を凝らした長編が個人的には好きです。

No.40 8点 猫の舌に釘をうて- 都筑道夫 2008/05/11 23:34
都筑道夫面目躍如の作品です。冒頭で一人三役(犯人、探偵、被害者)であることが記されていながら話を壊さず成立させておりまた泡坂作品とは違う本自体への仕掛けがあり非常に面白かったです。初期の都築作品は本格に対する遊び心にあふれておりお薦めです。
 ただ現在手に入る文庫は他作品が一緒に収録されている様です。そうするとこの作品の「本」としての完成度が落ちてしまうため残念です。(泡坂作品のしあわせの書に他作品が一緒に収録されて一冊になっている様なものですから)

No.39 6点 空白の起点- 笹沢左保 2008/05/11 23:26
 登場人物が少なくというか犯人にふさわしい人がほとんどいないので犯人の見当はすぐにつきます。おそらく作品の主眼は動機にあると思います。ある意味ロスマク風な動機だと思いますがアレンジして使用している作品もあるかと思うのであまり驚けないかもしれません。アリバイトリックは平凡。アリバイ物に多いのですが確実性と必然性が欠けていると思います。動機に対しての評価で変わってくるかと思います

No.38 7点 北の夕鶴2/3の殺人- 島田荘司 2008/05/07 01:14
 これと斜め屋敷はトリックの実現性が問題となるかと思いますが当時島田荘司作品に望んでいたスケールのトリックであり素直に楽しめたと思います。
 吉敷シリーズというか加納通子シリーズ?の第一作目ですがこれ一冊でも良かった気がします。たぶんこのキャラクターを作者が大事にしている結果続いたのでしょうが(あるいはファンのためかもしれませんが)その後は全体的に低調だった気がします。

No.37 1点 パロサイ・ホテル 御手洗パロディサイト事件- 島田荘司 2008/05/07 01:07
 最後に読んだ島田荘司作品です。先に書かれた方もいますが島田作品でないことが全てです。この前から低調でしたがこの本をよんでから島田荘司は読まなくなりました。金を返せと思った数少ない本でした。

No.36 8点 人形はなぜ殺される- 高木彬光 2008/05/07 00:52
今流行らないアリバイトリック物ですが高木彬光のオーソドックスなミステリの中では最高峰かなと思います。怪奇趣味は個人的にはむしろ嫌いなのですが雰囲気というか効果をあげていると思います。ただあまり読みやすくはなかった印象はあります。(ずいぶん前に読んだので記憶違いかもしれませんが)。10点でもいいくらいですが怪奇趣味などで減点しました。

No.35 6点 - フィリップ・マクドナルド 2008/05/07 00:35
 設定は古めかしく主人公の魅力は乏しいですがクイーンばりのロジックが楽しめます。ただ個人的には解決部分が長くだらだらした印象があります。個人的には迷路の方が好きですがロジックの整合性としてはこちらの評価が断然高いようです。ただヒロインとの絡みはいらないです。

No.34 8点 野獣死すべし- ニコラス・ブレイク 2008/05/07 00:26
 法月氏の頼子のためにと比較しても面白いと思います。こちらを先に読んだほうが面白いかも知れません。犯人探しのための前半の手記の部分はこちらが本家です。後半は普通の探偵推理小説ですが普通に面白いです。ただ現代の読者では驚けないかもしれません。

No.33 5点 赤い右手- ジョエル・タウンズリー・ロジャーズ 2008/05/07 00:15
 不思議な作品でした。論理の整合性は全くなく本格とはとても言えませんが不思議な味わいがあります。一部の新本格のファンの方には合うかと思います。

No.32 7点 赤毛の男の妻- ビル・S・バリンジャー 2008/05/07 00:06
バリンジャーのカットバック方式がさえた一冊。サスペンスの盛り上げ方も悪くなく歯と爪程の衝撃はありませんが面白かったです。ただガイド本ではサプライズエンディングの最高峰みたいな書き方がしてありましたが今の日本人が読んでもそうでもないと思います。(これはモールのハマースミスのうじ虫も同じですが)バリンジャーは煙で描いた肖像画 、消された時間も同じスタイルで書いていますがとりあえず全てよんでおいて損はないかと思います。但し消された時間はかなり評価が落ちると思いますが。

No.31 7点 見えないグリーン- ジョン・スラデック 2008/05/06 23:49
 数少ない海外現代本格ミステリの一冊。ただトリックに感心するかどうかで評価がわかれそうです。新本格であふれた現代では評価がさがるかもしれませんがリアルタイムで読んだときは素直に楽しめました。
 内容は現代の新本格の雰囲気を持っており、また何故かまだ文庫が簡単に手に入るので一読の価値はあるかと思います。

No.30 10点 Xの悲劇- エラリイ・クイーン 2008/05/06 23:38
 中学生のとき4部作を読みましたがY、Zはネタばれしておりあまり驚けなかった覚えがあります。ロジックの冴えはY,Zも含めて一貫して素晴らしいです。ダイイングメッセージはあまり好きではないのですが作風にはあってるかなと思います。列車の中の殺人の所が一番好きです。この部分で新本格の読みなれた方であれば犯人は推理できるかもしれません。(チェスタトンの見えない人同様に)読んだ時は素直に感動した覚えがあります。クリスティもそうですが出来れば新本格で擦れる前に読んでもらいたいです。逆に少し年をとってから読めばたとえ犯人を知っていてもロジックの整合性に感動できそうです。

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こうさん
ひとこと
 私の採点で10点は単なる好みです。10~20年前の初読時の印象で不当に高いのもありますが気にしないでください。トリックものは古臭くても昔初めて触れたトリックだったら高得点の傾向が高いです。
 ガイド...
好きな作家
泡坂妻夫、有栖川有栖、東野圭吾、岡島二人、梶龍雄 
採点傾向
平均点: 6.29点   採点数: 649件
採点の多い作家(TOP10)
東野圭吾(60)
有栖川有栖(32)
岡嶋二人(24)
折原一(22)
連城三紀彦(20)
泡坂妻夫(19)
石持浅海(17)
梶龍雄(17)
法月綸太郎(12)
アガサ・クリスティー(11)