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[ 本格 ]
法の悲劇
マレット警部
シリル・ヘアー 出版月: 1960年01月 平均: 5.33点 書評数: 3件

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早川書房
1960年01月

早川書房
1978年09月

No.3 5点 クリスティ再読 2017/05/28 21:52
本作、およそ日本人向きじゃない。
イギリスの巡回裁判というなじみのない制度が舞台の上に、イギリスの慣習法ベースの法体系もよくわからないしね...さらに言えば、英米の法曹界というものの歴史と伝統感みたいなものが、一番の読みどころ、楽しみどころだと思われるのだが、ここら法律とかあまりマジメに捉えなくて、法へのリスペクトを欠いた日本人だと、楽しみづらいだろうなぁ。だから本作のアイロニーやウイットはまず日本の読者には伝わらないと思ったほうがいいです。
その上、話の焦点となる判事とその妻に好感を持ちづらいんだよね。もちろん巡回裁判が一種の大名行列みたいなもので、これに対する批判めいた視点が作者にあるようだ。判事の判決もかなり気まぐれでヤナ奴感がかなり高い...そういうわけで460ページ中400ページになるまで殺人が起きず、巡回裁判中に判事が起こした交通事故と判事への脅迫・嫌がらせめいた襲撃などが、結構地味に続くので、ここらを少々我慢して読む必要がある人が多いだろう。
それでも最終4章の殺人から真相解明に至る怒涛の流れは迫力あるし、真相がしっかりと、かつトリッキーに小説のテーマになっているあたり、小説技術として見習うべきところがある。

No.2 7点 nukkam 2015/08/29 10:48
(ネタバレなしです) 1942年発表の長編第4作で、ヘアーの最高傑作と評価されるにふさわしい本格派推理小説です。本書ではシリーズ探偵のマレット警部に加えてもう一人シリーズ重要人物が登場します(ばればれかもしれませんが本書では容疑者扱いなので一応名前は伏せます)。しかし両名とも意外と出番が少なく、バーバー判事とその周辺人物による人間ドラマが物語の中心となるプロットです。後半まで小さな事件しか発生しない、とてもゆっくりした展開ですがこのドラマの読み応えが素晴らしくて退屈しません。生身の人間としてはほとんど登場しないのにしっかり存在感を示す人物さえいるのがすごい小説テクニックです。そして得意とする法律知識と謎解きの組み合わせに加えてタイトル通りの「悲劇」色の絡ませ方がまた絶妙。専門知識を使った推理はあまり好きではない私ですが本書は別格の存在です。

No.1 4点 こう 2008/10/17 03:00
いわゆる海外の新本格世代(1940年代)の代表作品として期待して読んでみました。判事がピアニストを車で轢き多額の賠償金を要求され、そのころから脅迫状がまいこみ、いろいろなトラブルにまきこまれてゆくストーリーですが殺人が起こるのが本当に終盤近くでとにかく無駄に冗長で長いです。長くても伏線のための長さならとにかくそうでもなく読むのが苦痛でした。殺人場面もお粗末でした。作者が訴えたかったのは犯人の動機と法そのものだと思われますが判事の加害者としての認識も非常に甘く作品もスローでのんびりした雰囲気の中進み緊迫感に欠けますしキャラクターにも感情移入できません。
 ラストも一ひねりというか皮肉の利いた結末なのでしょうがいまいちでした。ラストまでの展開は現代では残念ながら予想通りで真相の驚きもありません。期待しただけに残念でした。


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シリル・ヘアー
2005年12月
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