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[ クライム/倒叙 ]
LAコンフィデンシャル
LA4部作
ジェイムズ・エルロイ 出版月: 1995年10月 平均: 6.75点 書評数: 4件

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文藝春秋
1995年10月

文藝春秋
1997年11月

No.4 7点 ROM大臣 2021/09/17 14:01
ロス市警の腐敗と内部の権力闘争、ギャングや政界の癒着といった体制による犯罪を生々しく暴き出す。
体制の側に立つ登場人物たちも、脛に傷を持つ者ばかり。彼らそれぞれが、さまざまな理由から捜査を進めることによって複雑な物語の糸が絡み合い、次第に悪の核心へ近づいてゆく。そして、その強大な力に翻弄され、破滅へとひた走るのである。過酷な現実の中で、手を汚しながらも生き抜こうともがく彼らの姿は胸に迫るものがある。

No.3 5点 レッドキング 2019/04/12 15:08
「ブラック・ダリア」「ビッグ・ノーウェア」に続く「暗黒のLA四部作」第三弾。3人の警官による3視点叙述で進行するのは前作同様だが、内容は前二作よりグッと「派手に」「面白く」「軽く」なっている。主役の「悪徳」三警官に加えて、ウォルト・ディズニーやアル・カポネのパロディのようなキャラ、悪徳どころか「極悪」としか言えない警察ボスも登場し、さらにワケあり女や魅力的な娼婦等も揃っていて、登場人物と話を簡潔に整理すれば、実に面白いハリウッド映画プロットになる・・・実際になったし。
ただ、我が横溝正史のような「残酷な連続殺人にまつわる暗い出生の秘密」ってな本格ミステリ妙味もキチンと入ってるんだよな。

No.2 8点 tider-tiger 2016/04/23 14:01
ナイトアウルの虐殺なる事件に関わった三人の警察官の物語です。三人はそれぞれが過去に傷を持ち、エリート、肉体派、猟犬と三者三様。誰を軸にして読むかで悩みました。この三人が激しく反目しながらも、やがて一つの目的に向かうことになるのですが、非常に複雑精緻なプロットにも拘わらず、人物造型は一貫性が保たれ、なおかつLA四部作の中では読みやすい部類(私見)。陰謀も奥深い。
エルロイ作品の中でも屈指の完成度を誇るものだと思われます。真っ先に映画化されたのも頷けます。
ただ、完成度は高いのにどことなく薄味に感じてしまうのは自分もminiさんと同意見。
その理由を自分なりに推理してみます。
作者の心情としては肉体派警察官バドに思い入れがある(その理由はブラック・ダリアや秘密捜査などにも登場したモチーフ 母の死です)。しかし、バドはややこしい陰謀を解き明かしていくのが得意なタイプではなく、バドに焦点を当て過ぎると話が進まない。鼻の利く猟犬タイプのジャックも必須ですが、やはり、プロット上は頭脳明晰なエドが主人公でしょう。故にLA四部作の中では頭で描いている部分が一番多い作品のように見受けられました。こうした葛藤がエルロイの筆を鈍らせたというか滑らせたのではないかと? 
その証拠に(なるのか?)終盤ではエドがまるでバドのようになっていました(笑)
※人物造型の一貫性がなくなってしまったわけではありません。
いずれにしても、これだけ高度な技術で組み上げられた作品ですから、薄味だなんてことを言うとバチが当たりそうですね。

最後に気になった点
とある人物(二名)の死がどうも、呆気なさ過ぎて悲しい。
過去の事件の真相が作り物めいているというか、やり過ぎというかで腑に落ちない。

No.1 7点 mini 2014/06/10 09:57
本日10日に文春文庫からジェイムズ・エルロイ「ホワイト・ジャズ」の新装版が刊行される、もちろんLA4部作の最終巻だが、新訳じゃなくて”新装版”、つまり装丁を変えるだけなのだろう、何で「ホワイト・ジャズ」だけ?って疑問は有るが

「ホワイト・ジャズ」がLA4部作の最終第4作目ならば、その1つ前の第3作が「LAコンフィデンシャル」である
4部作第1作「ブラック・ダリア」と第2作「ビッグ・ノーウェア」の間には内容的に殆ど繋がりは無いのでそれぞれ独立して読んでも特に差し支えは無いが、「ビッグ・ノーウェア」と「LAコンフィデンシャル」には一部に共通した登場人物が居たり、「LAコンフィデンシャル」のプロローグは前作のラスト以降を引き継いでいるので、第2作と第3作はこの順番に読む方が良いと思う
「LAコンフィデンシャル」は読んだ3作の中で最も多くの血が流れ暴力と残虐シーン満載なんだけど、その割には強烈に読者に迫ってくるものがあまり感じられなかったんだよなぁ
正直言ってちょっと勢いに任せて作者の筆が弾け過ぎた感じがする、暴力シーンなどは数が多過ぎてまさに及ばざるが如し、かえってインパクトを減じてる気がする
むしろ前作「ビッグ・ノーウェア」の方が鬼気迫る迫力が感じられた
一般的に小説としての出来映えなら「LAコンフィデンシャル」の方が上かも知れないが、緊張感の描出という点で私の採点上では「ビッグ・ノーウェア」の方に高得点を付けたい


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ジェイムズ・エルロイ
2016年05月
背信の都
平均:6.00 / 書評数:1
1998年01月
アメリカン・タブロイド
平均:7.00 / 書評数:1
1996年03月
ホワイト・ジャズ
平均:6.40 / 書評数:5
1995年10月
LAコンフィデンシャル
平均:6.75 / 書評数:4
1993年11月
ビッグ・ノーウェア
平均:7.67 / 書評数:3
1990年12月
自殺の丘
平均:5.00 / 書評数:1
1990年01月
ブラック・ダリア
平均:6.86 / 書評数:7
1987年02月
ホプキンズの夜
平均:5.00 / 書評数:1
1986年08月
血まみれの月
平均:6.00 / 書評数:1
1985年09月
レクイエム
平均:7.00 / 書評数:2
1984年08月
秘密捜査
平均:6.00 / 書評数:1