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[ 時代・歴史ミステリ ]
白夫人の幻
ディー判事
ロバート・ファン・ヒューリック 出版月: 2006年07月 平均: 5.50点 書評数: 2件

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早川書房
2006年07月

No.2 7点 nukkam 2011/08/23 18:18
(ネタバレなしです) 地元民が「白夫人」と呼ぶ河の女神の伝説が今なお残る蒲陽で九艘の龍船による渡河(ボートレース)が行われていた。しかし見物しているディー判事らの眼前でトップ争いをしていた龍船の選手が倒れて死んでしまう1963年発表のディー判事シリーズ第9作は、シリーズ全作品でも最も本格派推理小説らしい作品です。サイドストーリーによる回り道が少なく、連続殺人事件の犯人探しに集中しています。ディー判事が容疑者の名前を1人ずつ挙げながら犯人である可能性について吟味している場面は謎解き好き読者には受け入れやすいでしょう。容疑者を一堂に集めての結末のサスペンスも出色です。

No.1 4点 mini 2009/05/05 09:53
* 5月5日だからね(^_^;) *
端午の節句を祝う恒例の行事である龍船競争で、先頭を争う艇の選手の1人が、大監修の面前で突然死亡する
たまたま招かれて見物中の狄(ディー)判事が役職により調査を開始する

「白夫人の幻」は、前回読んだ典型的な嵐の山荘テーマだった「雷鳴の夜」とは違って、容疑者達は皆各々の自宅に住んでいる
狄(ディー)判事も今回は公的立場から正攻法な捜査が中心となり強引な裏捜査的な部分が少ないので、腕力のある副官は必要ないから御馴染みの喬泰(チャオタイ)や馬栄(マーロン)は登場せず、助手は事務官的な存在である洪(ホン)警部1人だ
今回の話ではアクションシーンが殆ど無く、容疑者も一般の民間人だけだから洪警部には合っている
読んだシリーズの中では最も普通の犯人当て本格といった趣で、活劇要素が苦手で本格派しか読みませんってタイプの読者向きで、終盤で3人に絞られた容疑者達を一堂に集めて判事が罠を仕掛けるなど、派手さはなくても本格としてすっきり纏まってはいる
逆に言えば喬泰と馬栄のファンには物足りないし、シリーズらしさを求める読者には魅力に欠け大して面白くない
このシリーズとしては普通のありきたりな本格過ぎてつまらないんだよね
この作品の最大の見せ場は、やはり登場時に何か役に立つのかと思っていたあのアイテムが、あういう使い途があったとはいう犯人指摘シーン
ただ不満を言えば、真犯人の正体があまりに見え透いているのが減点材料だ
それと”白夫人”という怪奇なモチーフが、怪奇性という意味ではあまり怖さが感じられず、もう1つ活かされてないのも不満


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