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[ 本格 ]
救いの死
ミルワード・ケネディ 出版月: 2000年10月 平均: 6.00点 書評数: 2件

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国書刊行会
2000年10月

No.2 5点 nukkam 2016/06/13 01:32
(ネタバレなしです) 1931年発表の本書(共作を除くと長編第6作)はケネディの前衛的作品の代表作とされ、友人(かどうか一部で疑問視されていますが)のアントニイ・バークリイに献呈されています。探偵役のエイマーが仮説を構築してはそれが崩れ、また新たな仮説を構築するという展開はコリン・デクスターのモース主任警部シリーズを髣髴させるところもあり、その限りでは確かに本格派推理小説以外の何物でもないのですが結末はあまりにも斬新というか型破り過ぎで謎解きとしては破綻してしまったように思えます。

No.1 7点 mini 2008/10/11 11:22
国書刊行会の世界探偵小説全集の中では評判が悪い作品
”ミステリーは単なるパズルでもいい”を標榜するような読者だと、失敗作とのレッテルを貼る人も居るようだ
で、その理由は大きく二つ有って、主人公に感情移入出来ない事と、サプライズが予定調和な点
しかし私はこういった批判には真正面から反論して作者を擁護したい
そもそもこの作にパズル性だけを求めるのが間違っている
この作品は盟友バークリーに対する、へそ曲がり作家ケネディの一つのアンサーであることは序文にもある
それは人間性にも優れた探偵役ばかりだった時代に対し、”推理能力はあっても、読者から好まれない探偵役”という設定をわざと意図的に狙う事
その意味では失敗作どころか作者の狙いは成功していると思う
そりゃ主役に感情移入出来ないさ、それが当初からの狙いなんだもん
私もミステリーを読み始めた頃から探偵役が人間性に温かみが有り過ぎるのを不満に思っていたので、M・ケネディとは波長が合うのかも
今でも無愛想な探偵役が好きで、例えばジョン・ロードのプリーストリー博士とか
ラストのサプライズに関しても最初から狙ってないのは明白で、話の締め括りとしては予定調和でも何らかのオチは付けざるを得ないし、常にサプライズばかり求める読者側の姿勢に問題が有ると思う
一つだけ難を言えば、”人間性は悪だが推理能力だけはある”
という設定なのだが、推理の部分があまり緻密でない事


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ミルワード・ケネディ
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2000年10月
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平均:6.00 / 書評数:2