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ミステリの祭典

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ドラキュリアさんの登録情報
平均点:6.00点 書評数:1件

プロフィール| 書評

No.1 6点 オイディプス症候群
笠井潔
(2002/07/31 15:45登録)
読んでまず最初に、京極夏彦の『鉄鼠の檻』に似ていると思った。おそらく著者も少し意識したのだろう。
全体的には力作である。テーマは最後までずれることがなかったし、”孤島”をこのように扱うのもなかなか独創的だった。笠井潔はもともと重厚な描写をする作家であるが、今回は不要な会話やありきたりな展開が目立った。それに矢吹駆の存在感が薄かったと感じた人は多かったと思う。雑誌掲載時は矢吹駆は物語の最後にしか登場しなかったらしい。それを書き直すのにこれだけの年月がかかったらしが、そのせいもあるのかもしれない。
前作『哲学者の密室』の後にどのようなものを出すのか楽しみだったが、期待を裏切らない出来だった。『オイディプス症候群』の素材や思想は笠井潔に馴染みの薄いものだと思うかもしれないが、決して付焼刃や一発モノではない。

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