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ミステリの祭典

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まだ中学生(仮)さんの登録情報
平均点:6.58点 書評数:128件

プロフィール| 書評

No.8 7点 ホートン・ミア館の怖い話
クリス・プリーストリー
(2019/03/09 17:58登録)
舞台は19世紀のイギリス。主人公の少年マイケルは母を失い、クリスマス休暇をスティーヴン卿の屋敷で過ごすことになる。
その屋敷の中で、マイケルは不気味な経験をする。誰もいないはずの場所で、なにかをたたくような音が響いたり、闇の中にうごめく影が見えたり・・・。そんないかにもイギリスの幽霊物語に出てきそうな登場人物や建物や、奇怪な事件が、途中から思いがけない方向に転がり始める。そして謎の中の謎が解けたかと思った瞬間、もうひとつの謎が生まれて・・・。という展開には驚くばかり。
さらに「エピローグ」でもうひとひねり!昔さながらの恐怖小説の舞台や道具をそのまま使いながら、現代風のトリッキーなミステリーに仕上げているところが素晴らしい。また引用した部分からわかるように、それを支える文体もいい。


No.7 6点 ガール・イン・ザ・ダーク 少女のためのゴシック文学館
アンソロジー(国内編集者)
(2019/02/11 10:45登録)
少女をモチーフに、恐怖感が漂う文学作品を集めている。
前回評した「猫のまぼろし、猫のまどわし」に収録されている「古い魔術」を訳した西條八十は歌謡曲の作詞家として有名ですが、ここに収録されている「トミノの地獄」という詩が怖い。
また、少女たちが集団で夜、家を抜け出して闇の儀式を行っているのではないかという、大人たちの疑惑の行き着く先を探った、スティーヴン・ミルハウザーの「夜の姉妹団」は、面白いところへ読者を連れていく。藤野可織の「ファイナルガール」は、殺人鬼を殺すことを使命として引き受けた少女の疾走の記録ですが、途中からの思いがけない展開とエンディングが切なくも快い。
その他、佐藤弓生が選んだ短歌と、そこから想像した短い物語、最果タヒの詩などユニークな作品が収められている。


No.6 6点 猫のまぼろし、猫のまどわし
アンソロジー(国内編集者)
(2019/02/09 10:38登録)
パート1は、萩原朔太郎の「猫町 散文詩風な小説(ロマン)という、街路に猫が充満する街を描く幻想的な短編を核に展開する。ブラックウッドの「古い魔術」は「ねている大猫そっくり」な格好の町に魅入られて、ホテルの女主人と、その娘に愛されるという、朔太郎の作品に似た中編。江戸川乱歩の「猫町」は、これら2編をめぐるエッセー。そして旅好きの漫画家つげ義春が、朔太郎の短編を読んだ時の体験を、旅先で思い出してつづったエッセー「猫町紀行」が、このパートを締めくくる。
パート2は、現実と幻想の間を行き来する猫についての短編やエッセーなど7編。パート3は、おどろおどろしい絵物語「鍋島猫騒動」から始まって、英国の外交官ミットフォードが、その怪猫の話を英語で紹介した「ナベシマの吸血猫」や、アイルランドの作家レ・ファニュの妖猫小説「白い猫」など、海外へ視線を向ける。サービス精神たっぷりのマニアックなアンソロジー。


No.5 7点 ゴールデンドリーム
ロイド・アリグザンダー
(2018/12/21 21:01登録)
舞台は西洋と東洋が接する。架空の場所。仕事をクビになった夢見る少年カルロは偶然手に入れた宝の在りかを示す地図を元に勇躍宝探しの旅に出る。相棒になったのは嘘つきの男や謎の美少女、訳あり老人。
こんな面々で始まった旅は盗賊に襲われたり流砂にのみ込まれそうになったり。波乱の旅を続けるうち、仲間の一人一人が思いがけない勇気や英知を示していく。そして最後にはそれぞれの心からの望みがかなう。だが自分が望んでいるとは知らないことだった。
著者は米児童文学を代表する一人で、トールキンの海外での後継者と目される。透徹した人間観察、変化に富んだストーリーで冒険ファンタジーの域を超え、禅に通じる独特の思想性が貫く。


No.4 7点 青鬼 廃校の亡霊
黒田研二
(2018/12/02 10:17登録)
累計60万部を突破した昨年完結したノベル「青鬼」シリーズの児童向け第2弾。原作はユーチューバーをはじめとする「ゲーム実況者」たちによってプレイ動画が星の数ほどアップされている大人気のホラーゲーム。
「恐ろしい噂」がある街外れの洋館ジェイルハウスに閉じ込められた子供たちがブルーベリー色の怪物「青鬼」と命がけの鬼ごっこを繰り広げる第1弾「ジェイルハウスの怪物」は発売直後から品切れするほどの人気作となった。待望の本作では舞台を「廃校」へと移し、再び青鬼と対峙することになる。前作同様、読者も参加できる「3つの謎解き」と物語に仕掛けられた「まさか!」のトリックは中高生もたっぷり楽しめると思う。


No.3 6点 十年屋
廣嶋玲子
(2018/11/15 20:43登録)
すっかり使わなくなったし、取って置いても仕方がないのに、どうしても捨てられない、捨てたくない一品。「十年屋」は誰かにとって大切なものを思い出と共に10年間、魔法で預かる魔法使い。預け賃は「依頼主の寿命1年分」。
小さい頃いつも一緒だったぬいぐるみ、壊れた時計、会えなくなった友達と作る約束だった雪だるま。預かれないものはないが、契約を破ると手痛いしっぺ返しが待っているからご用心。他人から見たらがらくたでも、依頼主には命を削っても守りたかったもの。いったいどんな思い出が詰まっているのか。
執事を務めるもふもふの猫カラシのかわいらしいセリフも読みどころ。「銭天堂」「もののけ屋」シリーズで人気の作家が手掛ける心温まる魔法の物語。


No.2 8点 ザ・ヘイト・ユー・ギヴ
アンジー・トーマス
(2018/10/27 10:22登録)
ギャングがはびこり、ドラッグが蔓延するゲットー(黒人街)に暮らす女子高生スター。ある日のパーティー後、幼馴染のカリルが無抵抗ながらも白人警官によって射殺されてしまう。目撃内容をスターが証言したにもかかわらず、警察はその行為を正当化、事実と異なる報道もされていく。
米国で実際に起きた黒人少年射殺事件を基にした長編小説。繰り返されるのは実在した伝説的ラッパーのトゥパックが歌う「社会に植え付けられた憎しみがやがて噴き出し、社会に報復する」という曲。
トゥパックの死から20年以上を経た今も差別はなくならず、新たなヘイトを生み出し続けている。負の連鎖を断ち切れない社会に向けた問題作といえる。


No.1 6点 意味が分かると怖い話
藤白圭
(2018/10/15 14:51登録)
怖い話はいつの時代も10代の心をつかんで離さない”鉄板”のテーマ。しかし流行のようなものはあって、人気の話も少しずつ傾向が変わってきている。本書もまさに今、小中学生に人気の「怖い話」集だが、最近は一読しただけでは分からない、少しひねりの利いたものが好まれるようだ。
一つ一つの話はとても短い。だが、思い込みや前提を巧みに利用し、予想外のヒヤリとする「オチ」を次々と繰り出してくる。隠された意味に気づいた時にぞっとする仕掛けだ。分からない人のために、「種明かし」も小さく収録。それを読んで改めて本文に戻ると、ああそういうことだったのかと発見もある。
「怖い」ショートショート69編。きっと誰もが、とびきりの「ぞっとする話」に出会えること請け合い。

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