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ミステリの祭典

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X電車で行こう
(1965年の元版、早川文庫版とも収録作は同一)

作家 山野浩一
出版日1973年05月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 mini
(2014/10/06 09:58登録)
* 台風キタ―――(°∀°)――― !!

少々話題が遅れてしまったが先月に本の雑誌社から 牧眞司・大森望編集「サンリオSF文庫総解説」が刊行された
キティちゃんで御馴染みのあの”サンリオ”は出版部門も持っており、昔々に”サンリオSF文庫”というのを出していた
当時は早川書房や創元社がリードしていた海外SF分野に1978年に参入したのだが、結局は商売上はフィリップ・K・ディック頼みになり行き詰って1987年廃刊打ち止めになった経緯が有る、僅か10年あまりの出版活動だった
実はサンリオSF文庫はミステリーとも全く縁が無いわけじゃなく、今では扶桑社文庫で復刊されて入手容易なピーター・ディキンスン「キングとジョーカー」も元々はサンリオSF文庫の1巻で、かつてはミステリーマニアが中古本を漁っていたという伝説が有る
このサンリオSF文庫の創刊及び作品選択に関わっていたとされるのがSF作家の山野浩一である

山野浩一というと私などは競馬評論家、特にサラブレッド血統研究家のイメージが強いが、本職は一応SF作家と思われる
日本におけるニューウェーヴSFの旗手の1人山野浩一は、その時代のいかにもなSFらしいSF小説に対し、空想科学小説の枠を超えたユニークな作風で日本のSF小説の流れを変えた
前述の「キングとジョーカー」などもパラレルワールドではあるが内容的にはSF小説とは言えず、選択したのが山野氏かは分からぬが山野浩一監修のサンリオSF文庫らしいと言えばらしい
、もし早川か創元だったら普通にミステリーとして出してたと思う

山野浩一のSF小説家としての代表作が短編「X電車で行こう」である、短編集はサンリオじゃなくて早川文庫版である
今で言う一種の鉄道マニアを主人公に、ノンストップサスペンス風に展開するグルーヴィーな話は面白く、もしも太宰治が鉄道オタクだったらこんなの書いたんじゃないかと思わせる
海外の異色短篇作家やニューウェーヴSFの影響をあまり感じさせず、日本独自のニュータイプSF短編として評価したい、ミステリー読者にも楽しめると思う

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