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ミステリの祭典

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ダーティトリック

作家 チャプマン・ピンチャー
出版日1981年11月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 mini
(2014/09/09 09:56登録)
* 私的読書テーマ、今年の生誕100周年作家を漁る、第7弾はチャプマン・ピンチャーだ

今年の生誕100周年作家は大物作家が少なくマニアックな顔触れである
これは各ジャンルに言えるのだが国際政治謀略小説で言及したいのがチャプマン・ピンチャーで、数少ない翻訳刊行された作が文春文庫の「ダーティトリック」である
題名のトリックとはミステリーで御馴染みの用語ではなく”汚い策略”みたいな意味で、まさに国際政治謀略小説らしい題名だ

米ソの冷戦を背景にした広い意味でのスパイ小説と言えなくも無いが、何となくスパイ小説という形容は似合わない
やはり諜報と言うよりも陰謀・謀略という語句の方が似つかわしい
フレミングや初期のル・カレみたいな組織の末端の諜報活動が描かれるのとは全く違い、政治家同士の駆け引きの世界なのである
何しろ米ソの大統領や首相、CIAやKGBの長官等が架空名で登場するというさながらパラレルワールド的設定をリアリズムで描いたような話で、具体的に登場はしないが中にはエジプトのサダト大統領みたいな実名も引用されるのでちょっと混乱する
フィクションを大真面目に書いたらノンフィクション風になった感じで、案外とこういうの有りそうで無かった作風だ
個性的な点は評価出来るのだけれど、訳文のせいか文章が少々読み難いんですよねえ

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