home

ミステリの祭典

login
コッペリア

作家 加納朋子
出版日2003年07月
平均点5.00点
書評数3人

No.3 3点 なの
(2005/06/02 21:55登録)
※ちょっとネタバレ
加納先生の新境地・・・ではあるんでしょうけど、
どうもバランスが良くない感じがします。
不幸な過去、トラウマ、フェチシズムなどの暗めの題材が、
後半一気にスイートな世界に収束していきます。
いつもなら、そのスイートさが安心感・安堵感に直結するのですが、
どうにも居心地の悪いムズ痒さが残ってしまいます。
ドールという無機質な世界が、柔らかな加納世界には不似合いと言うか・・・。
エピローグも、とって付けた感があって私はダメ。
少なくとも、創也氏は人形と共に滅ぶべきだった筈。
ドールを破壊するにしても、命惜しさではなく『炎に包まれる前に自らの手で』だと思うんですけどねぇ・・・マニアとしては。

No.2 6点 しゃんテン
(2004/07/05 16:42登録)
淡々とした口調。女性の父親が出て行ったこと、あるいは男性が幼児期に虐待を受けよくクローゼットに閉じ込められていたこと。それらの事柄があくまで淡々と何処までも淡々と語られている様に感じた。その淡々さに引き込まれ、引きずり込まれるような錯覚を覚える。
 その淡々さは物語が進み、女性の前に悪意?らしきものが現れても、男性が狂的に人形にのめりこんでいっても、あくまで淡々としている。怖い。
 トリックそのものは「だからどうしたの?」とも思う。作者なのだからそんな手段をつかえば、読者を騙せても当然ではないか? とそんな風に思う。騙されたという快楽はなかった。(騙されたという感動を味わえる作品もあるとは思うけども。)
 しかし、トリックそのものはどうでもいい。全体に流れる不思議な感じ。痛さ、重さ。そしてラストの救い。

No.1 6点 884
(2004/01/31 09:46登録)
『人形』とよく似た『人形のような女』が軸になった話。
 序盤から中盤にかけて話が錯綜して取り違えるように書かれているのでご用心。そんなことしなくても、むしろ普通に時系列順に書いた方がおもしろい読み物にできたかなとは思わないでもないですが。
 たいていの主要人物には救済がありますので、安心してお読みください。

3レコード表示中です 書評