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ミステリの祭典

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北リアス線の天使
十津川警部シリーズ

作家 西村京太郎
出版日2006年12月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 mini
(2013/10/25 09:55登録)
本日発売の早川ミステリマガジン12月号の特集は、”あまちゃんとローカル・ミステリの魅力”
ローカル・ミステリだからトラベルミステリーから選ぼうと思い、まず未読の内田康夫を読みたいと思った
ところが浅見光彦シリーズには”あまちゃん”に似合う作品が見当たらなかったので断念、そこでトラミスったら京太郎先生かなと思い検索したら、おぉ!あまちゃんっぽいのが有るではないか、題名は「北リアス線の天使」、これだ!

私はとある作家に入る場合、本領から外れた作品だけを読む読み方は嫌いなんだよね
例えば明らかに本格派の作家じゃないのに、本格派しか読みたくないからと言って、その作家としては例外的な本格派作品だけを読むという行為はしたくない
読むならその作家の本領分野の作も合わせて読む、逆にその作家にとっての異色作だけを読むくらいなら最初からその作家に手を出さない、これが書評者としての私のモットーである
したがって西村京太郎だと、初期の「殺しの双曲線」のようなものだけを読んで、トラベル系は嫌いだからと十津川警部シリーズは一切読まないみたいな姿勢は私は取りたくないのである

ただねえ題名の「天使」てのは海女さんじゃないよ、看護士の女性か、あるいは現地で見かけた謎の天使のような女の子、のどちらか、あるいは両方か
この看護士さんが癌で余命告知された高名な画家の老人に付き添って最後の傑作を描く為に三陸海岸の”浄土ヶ浜”に行く訳、この辺の序盤の展開はかなり強引(笑)
敢えてわざとトラミスと承知で読むのだから、トリックがどうのなんかではなく旅情に浸りたいわけね
ところがだ、三陸復興国立公園(旧陸中海岸国立公園から改称)でも北山崎海岸と並ぶ屈指の景勝地である浄土ヶ浜だというのに、情景があまり浮かんでこない、京太郎先生本当に現地取材に行ったのでしょうか
そう言えば十津川警部ってのもその人物像が全く思い浮かばないほど描写があっさりしている、まぁこれがシリーズものが長続きする秘訣か
とにかく時刻表トリックもアリバイ崩しも一切出てこないヒューマンドラマ的な話で、かえって一応真犯人が最後に指摘されるのが蛇足に感じるくらいだ
これはこれで面白かったが、時刻表トリックでも何でもいいから、これぞ王道の旅情ミステリーってのも読んでみたい気もした

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