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ミステリの祭典

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探偵たちよスパイたちよ
丸谷才一編

作家 評論・エッセイ
出版日1981年10月
平均点8.00点
書評数1人

No.1 8点 mini
(2012/11/06 10:00登録)
* まずは一部の方にはバレバレの枕から(笑) *

明日7日に、ちくま文庫から丸谷才一「快楽としてのミステリー」が刊行予定
多分評論集だと思うけど、文庫オリジナルだそうだ
丸谷氏は先日亡くなったが、刊行予定の方が先に立っており、結果的に追悼出版みたいになってしまったのが悲しい、謹んで御冥福をお祈りします

便乗企画として「探偵たちよスパイたちよ」
これはアンソロジー部門に登録すべきでは?という意見も出るかもしれないが、いや私は評論部門への登録を主張したい
アンソロジーと呼べなくは無いが、短篇小説は2編位しか収録されておらず、しかも収録の短篇は普通のミステリー小説とは言えず、明らかに評論を補完する性質のものだろう
殆どはエッセイや何らかの文章から抜粋した論評などを雑多に集めたものである

これは楽しい、一言楽しい
ヴァラエティに富んでいるのだが、それでいてオモチャ箱をひっくり返したような雑多な分野、例えばコミック・イラスト類とか、マルチメディア的なものとかは編集した時代性もあっては入って無い
ミステリー評論集という仄かな方向性を残しながら雑多なものを集めた、まさに編者丸谷氏のセンスを堪能出来る
一番笑ったのは、早川書房ポケミスに対する雑談場面かな

私個人的には何より嬉しかったのは、有名な”サンデータイムズ紙ベスト99”のジュリアン・シモンズの序文と各コメントが読めた事だ、”サンデータイムズ紙ベスト99”は私のミステリー入門のバイブルだったからね
このリストは選ばれた作品名を確認するだけなら、他の文献などでも目にすることが出来る、一番簡単なのはウェブサイト『ミスダス』を閲覧すれば簡単に見ることが出来る
しかしシモンズの序文と選ばれた各作品群への選択理由などのコメントが文庫で簡単に読める文献はおそらくこの本以外にはあるまい
これだけでも資料的な価値だけで9点は付けられる代物なのだ、まぁそれだけが全てじゃないから平均的な点数にしてしまったが
私としては、もし自分が編集の仕事でも依頼されたとしたら、こういうのを編んでみたかったんだよなぁ、と思った

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