ディミティおばさま現わる 優しい幽霊 |
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作家 | ナンシー・アサートン |
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出版日 | 2008年09月 |
平均点 | 8.00点 |
書評数 | 1人 |
No.1 | 8点 | mini | |
(2014/04/04 10:00登録) これは何系と言ったらいいのだろう、メルヘン系コージー派とでも言うのだろうか 主人公ロリは名前の印象とは違って(笑)コージー派にはよく有る設定のバツイチのアラサー女性だ、彼女の亡き母親がロリの幼少時に語って聞かせてくれたディミティおばさま ”おばさま”といってもロリと血の繋がりは無く母の親友といったところだ、ロリは母が創造した架空の人物だと思い込んでいた ところが弁護士事務所からの連絡でおばさまが実在の人物でつい最近亡くなった事を知り驚く、そして若き弁護士と共におばさまが残した手紙を検証する為英国に赴く コージー派には基本的に英国作家は存在せずアメリカだけの独自のジャンルだと私は勝手に定義している、だからよくコージー派に分類されがちなケイト・チャールズもコージー派とは私は認めない 逆にアメリカやカナダのコージー派作家の中には、C・C・ベニスンの女王のメイドシリーズなど英国を舞台にしたものもあり、その代表シリーズがナンシー・アサートンの”優しい幽霊”ことディミティおばさまだ コージー派というと殺人事件など起こらないような長閑なミステリーだと思い込んでいる人も居られるかもだが、この手の認識は完璧に間違いであり、長閑どころか中にはギスギスした人間関係のシリーズさえある 私の読書範囲ではコージー派作品は全て普通に殺人事件が発生し中盤は事件の検討・調査が行なわれ最後に犯人が明らかになる つまりコージー派は形式上は一般の本格派と何等変わらないのである、ただ探偵役が全くの素人で推理過程が弱かったりして本格度が薄味なだけなのだ しかし今回殺人事件の起こらないコージー派というのを初めて読んだ、いや事件すら起こらないのだ、一応ある意味で謎は存在するのだが コージー派の特徴の1つに主人公が等身大の人物像で日常生活の中に生きているリアリティがあり、日常生活に根ざしたジル・チャーチルやレスリー・メイヤーの主婦探偵シリーズなどは特にそうだ ところがアサートンの「ディミティおばさま」はリアリズムとは対極なファンタスティックなコージー派の極に位置する 案外とこういう作風はコージー派には珍しいのである ちなみにカバー表紙絵にピンクのウサギが描かれていますが、その正体は読み出せばすぐに分かります |