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ミステリの祭典

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幻想と怪奇 おれの夢の女
仁賀克雄編

作家 アンソロジー(国内編集者)
出版日2005年04月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 mini
(2013/06/25 09:59登録)
本日発売の早川ミステリマガジン8月号の特集は、”幻想と怪奇 天使と悪魔”
毎度ミスマガ夏号恒例の企画だが今年は”天使と悪魔”という副題が付いた、でもダン・ブラウンとは全く無関係

便乗企画は当然に早川文庫全3巻のアンソロジー、『おれの夢の女』はその内の第3巻目に相当する
第1巻と2巻はミスマガの特集の度に書評してきたが文庫のはこれが最後、古典作品中心のポケミス版は1冊持ってるのでまたの機会に
この文庫版だがどうも仁賀さんの編集は分り難い、基本は40年代以降のいわゆる異色作家短編作家達を中心にというのは明白なんだけど、そういう意味じゃなくて、例えば1作家1作品じゃないんだよね
あぁもちろん1つの巻では1作家1作品の原則なんだけど、他の2巻に跨って2作3作と採用されている作家も有り、何かこう1本筋が通ってない感じなんだよね
どうせだったら全3巻通して1作家1作品にして欲しかったな
もう一つ気になったのは、この手の分野としては誰でも知ってるようなメジャー作家と極端にマイナー作家が混在し、中間的存在の作家があまり居ない
メジャークラスには一歩譲るが、さりとて名前位は知っているような必ずしもマイナーとは言えないような作家をあまり採っていない、この点仁賀さんの編集は極端過ぎると思う

さてこの第3巻だが、他の2巻よりもオールスターキャスト
ブラウン、デイヴィッドスン、ブロック、ハートリイ、カーシュ、ブラッドベリ、コリア、ボーモント、マシスン、と並べればまさにこれ1冊でホラー系の異色短篇作家入門書だ
惜しむらくは第1巻同様に特筆するような作が無く内容的に第2巻目に比べ若干劣る気がする、印象では全3巻の中では第2巻『宇宙怪獣現る』が一番優れている感じがした

収録作で2作ほど個別に言及すると
ブラッドベリの収録作はメルヘン風ファンタジー作家としての作風しか知らない読者は驚くんじゃないかな
ブラッドベリって意外とダークでブラックでグロい作品が有るよね、ホラーでは有ってもブラッドベリをミステリーからは範疇外などという見方は完全に間違いだとよく分かる
もう1人はシリア・フレムリン
ドメスティックサスペンスの女王という先入観の人が多いだろうが、創元文庫から3冊出ている内の1冊は短編集で、短編だと長編とは違うイメージの作品を書くんだなと思った

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