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ミステリの祭典

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幻想と怪奇-ポオ蒐集家
仁賀克雄編

作家 アンソロジー(国内編集者)
出版日2005年02月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 mini
(2011/05/30 09:56登録)
発売中の早川ミステリマガジン7月号の特集は”ゲゲゲのミステリ/幻想と怪奇”
そのものズバリ「幻想と怪奇」という題のアンソロジーを

創元文庫の怪奇小説傑作集がこの分野の基本図書だとすれば、早川文庫「幻想と怪奇」全3巻には古典的なクラシック怪談は一切入っていない
早川のは得意の全集『異色作家短篇集』に含まれるような1950年代前後の作家を中心とした幻想と怪奇入門書である
以前は1~3と通し番号だけだったが、現行版は副題付き題名に変わった
私は副題を付ける習慣は嫌いなんだが、早川にはポケミスで内容が全く別の同題1~2巻があるので、紛らわしさを避ける為には仕方なかったのだろう
この『ポオ蒐集家』は第1巻に相当する
収録作家は大きく2つのグループに分けられ、ブロック、ブラッドベリ、シェクリイ、マシスン、ボーモントといった前出の『異色作家短篇集』を彩る作家達と、それ以外のSF作家やホラー作家、さらにはややマイナーな作家達である
前者の異色短篇作家軍団では、例えばユーモア調が持ち味のシェクリイなのに収録作はシリアス調のが選ばれている
SF分野からはフィリップ・K・ディック、ただ収録作はオチが見え見えであまり出来が良くない感じがした
名手ディックだけにもっと面白いのがあったんじゃないかな、怪奇要素の有るものという選択上の制約のせいか
ホラー分野からはオーガスト・ダーレスとL・P・ハートリイ
ハートリイはあの名作「ポドロ島」の作者という先入観で見ると、収録作はちょっとハートリイにしては生々し過ぎて良さが出ていないような気もする
ブラッドベリ以外は全体的に、それぞれの作家の持ち味が必ずしも出ていない巻だなという印象だった

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