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ミステリの祭典

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煙霞

作家 黒川博行
出版日2009年01月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 ZAto
(2011/01/09 13:46登録)
そもそも『煙霞』にしろ、『蒼煌』『螻蛄』『悪果』と黒川のこだわりなのだろうが、タイトルが難しすぎる。そもそも「煙霞」などという言葉を知っている日本人がどれほどいるだろう。意味は読んで字のごとく「煙のように立ちこめたかすみ、もや」。カッコいいとは思うもののどんな内容の小説なのかまるでわからない。『陽気なギャングが地球を回す』ほどくだけろとは思わないが、ひと目でキャッチできるタイトルをつければ、もっと売れるのではないかと思う。
タイトルのセンスはともかくとして、『煙霞』は間違いなくプロの作家の仕事だ。二億数千万の金塊をめぐって疾走する痛快エンターティメント。一気読みさせる面白さは保証されているようなものなのだからもっと目立ってもいい。
それにしても結局、黒川博行は『蒼煌』から『迅雷』まで自分のフィールドワークをごった煮にして『煙霞』という作品に仕上げたわけで、ここまで読者の予測を裏切り続けた黒川作品も珍しい。

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