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ミステリの祭典

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キャンベル溪谷の激闘

作家 ハモンド・イネス
出版日1972年10月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 mini
(2013/04/16 09:55登録)
今年の私的読書テーマ、”生誕100周年作家を漁る”、第2弾は冒険小説の大家ハモンド・イネス

イネスを代表する2トップとして定評があるのが「メリー・ディア号の遭難」と、もう1つが「キャンベル溪谷の激闘」だろう
しかしこの2冊、あまりに傾向が異なるのには驚いた
もちろん舞台設定が海上と内陸という違いは有る、しかしそれよりも雰囲気がまるで違うのだ
「キャンベル溪谷」は清清しくカラッとした雰囲気の、まさに王道の冒険小説なのである
しかも敵味方がはっきりしていて人間関係が分かり易く、冒険小説としては肉体的にちょっと頼りない主人公を周りの人達がサポートするという、ヒューマンドラマ的魅力に溢れているのだ
おそらくは根っからの冒険小説ファンには「キャンベル溪谷」の方が間違いなく受けると思う
逆に言えば、物語展開が容易に予測出来てしまったり、ちょっと御都合主義的な締め括りなど真っ当過ぎて、「メリー・ディア号」のようなミステリアスで歪んだ雰囲気には全く欠けている
根暗な話を好む読者には「メリー・ディア号」の方が面白いと思う、裏事情とか終始ミステリアスで最後まで読者を惑わすしね

”最高傑作”と、作者の持ち味が出ているかが重要な要素である”代表作”とは区別して考える私の流儀で言うと
最高傑作は「キャンベル溪谷」でもいいが、海洋冒険小説作家であるイネスの代表作は「メリー・ディア号」だと思うなぁ

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