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ミステリの祭典

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死者は惜しまない
ジェニー・ケイン

作家 ナンシー・ピカード
出版日1992年04月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 mini
(2010/02/08 10:17登録)
雪に覆われた冬のマサチューセッツ州の地方都市で、市民財団へ寄付金遺贈予定だった資産家が遺言を残して連続して殺される
財団所長のおてんば探偵ジェニー・ケイン初登場の作者のデビュー作
序盤だけ読んだらコージーと勘違いする読者も居そうだが、へヴィーな動機や暗い読後感はコージーとは一線を画す
どちらかと言えばパレツキーやグラフトンの系譜だが、探偵役が私立探偵ではなくアマチュアなので、もっとソフトボイルドなネオ4Fとでも呼べそうな感じだ
つまりコージーにしてはハードで、4Fとしてはソフト
題名は被害者が慈善家なのが由来
会話文の中に頻繁にアメリカンジョークが出てくるのだけれど、これがちょっとねぇ日本人には理解し難い表現なものが多いのが困り物
それと真相も良く練られているのだが、ものすごく残念なのは彼氏とのロマンスに筆を費やし過ぎて、謎の提示や中盤での謎の吟味が不十分な為に、せっかくの真相の巧妙さが上手く活かされていない
例えば、ある人物が各事件によってアリバイが有ったり無かったりな点などは中盤で読者に対し明確に整理して提示すべきで、でないと意外な真相がピンとこない
どうもこの点が不満で、4点以下は絶対付けられないが、7点以上も付けられず、5~6点が妥当なところ
ピカードはこの後いろいろな賞を受賞しており、たしかにそれだけの実力はあるので2作目以降に期待
このデビュー作は見所もあるだけに惜しまれる

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