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ミステリの祭典

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ハロウィーンの死体
ゲイブリエル保安官

作家 ポーラ・ゴズリング
出版日1996年04月
平均点8.00点
書評数1人

No.1 8点 mini
(2014/10/31 09:57登録)
* 季節だからね (^_^;)

私にとってポーラ・ゴズリングはこれまで敬遠していた作家だった、何故なら初期のゴズリングは1作毎にジャンルや作風が異なっているとガイド本などにも解説されていたからだ
私は各作家について、この作家だったらこういう作風だとはっきりしている作家が好きである、いや好きと言うか手を出したい理由である、書く度に作風の変化する作家は嫌いだ
誤解されないように言うと、ジャンルミックス型とかジャンル境界線上の作家というパターンは問題ないんですよ
例えばジャンルが曖昧な異色短篇作家群などは結構好き、つまり”ジャンル境界線上の作家”というカテゴリーで捉えればいいんだから、要するにそういう作風で全作押し通しているなら”そういう作家”なんだと割り切ればいいだけの事
嫌いなのは作風やジャンルが書く度に変化するタイプなのだ、私は”この作家だったらこんなタイプ”と一言で説明出来るタイプの作家が読みたいのである
したがってゴズリングはどうにも手を出し難い代表格だった

私は未読だが初期のゴズリングは本当に訳が分からない、そもそもゴズリング自身がアメリカ出身なのに英国に移住して英国でデビューしている
アメリカが舞台のデビュー作でCWA賞新人賞を獲ると続く2作目は舞台が国際的で、3作目の舞台がロンドン、4作目はスペインと転々、ジャンルも転々とした
舞台がアメリカに戻った第5作目のCWA賞受賞作「モンキー・パズル」で登場するのがストライカー警部補でこの主役は後にシリーズ化される事になる

ゴズリングの作風が定まってくるのはストライカー警部補とゲイブリエル保安官が共演する「ブラックウォーター湾の殺人」以降で、その後はゲイブリエル保安官の単独出演シリーズが何作か続く事になる
ゲイブリエル保安官単独主役のブラックウォーター湾シリーズ2作目が本書「ハロウィーンの死体」なのである
解説の大津波悦子氏はこのブラックウォーター湾シリーズについてコージー派ジャンルだと断定しているのだが果たしてそうだろうか?
大津波氏の見解にも一理は有ると思う、舞台がブラックウォーター湾近辺というそこそこ狭いコミュニティ内で、登場人物もそこの古くからの住人が中心となり、余所者も登場はするがあくまでも外部者視点になっている
ただコージー派は一種の専門分野であり一般的にコージー派作家はコージー作品しか書かない、本書はたしかにコージー派的要素も有るのだが、やはり純粋なコージー派かと言われると内容的に違和感は有る
私もジャンル投票では迷った、結局無難に本格派に投票したが”本格派とコージー派と警察小説とのジャンルミックス”という言い方が一番近いかも

さてゴズリングの評価だが、特に初期作品への当サイトでの評価の低さには驚いた、これは作者が進歩したのだろうか?、それとも私の感性が他の書評者の方々と大きく食い違っているのだろうか?、それともただ単に私の見る目が無いのか?
私は今回初めてポーラ・ゴズリングという作家を読んでみたわけだが、少なくともこの「ハロウィーンの死体」を読む限りではゴズリングは間違いなく筆力の有る作家である、CWA賞受賞作家だというのも肯ける
文章力は初期作でも劣っていたとも思えないので、初期は余程プロット構築が下手だったのだろうか、本書はプロットも良いだけにあまりの評価のギャップに逆に初期作も読んでみたい気もしてきた

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