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ミステリの祭典

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キリンの涙
ミス・ラモツエの事件簿

作家 アレグザンダー・マコール・スミス
出版日2004年08月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 mini
(2010/06/14 10:19登録)
WC南ア大会も開幕し、日本時間で本日夜に初戦の日本対カメルーンの試合が行なわれる
この作品中でもボツワナの隣国である南アフリカの治安の悪さが語られて、平和な国としてのボツワナが強調される
サバンナのミス・マープル再び登場

第1作「№1レディーズ探偵社、本日開業」はマ・ラモツエの身辺雑記を縦糸に、極めて連作短編集的な構成だったが、この第2作「キリンの涙」ではメインとなる事件が一つ有って別の事件は全て脇筋という、完全に長編としての構成である
シリーズの雰囲気からすると1作目の連作短編集形式の方が合ってる
1作目のほのぼの感が後退し、全体に事件がほろ苦い結末なのは決して嫌いではないし、児童文学者でもある作者らしいヒューマニズムは良く出ている
ただ主人公とその夫の生活がボツワナという国の中では裕福ではないにしても比較的安定しているので、生活上の悲壮感には乏しい
養女が整備士の仕事に興味を抱く件など、ちょっと御都合主義なキャラ設定なのも不満だ
事件の部分も第1作よりも密度が薄く、悪人が性悪なので物語の雰囲気と何となくミスマッチな感もあって、全体に勧善懲悪なのが鼻につくし、この点では1作目の方が好ましい

ところで題名の由来だが、ボツワナに古くから伝わる籠に編まれた小さな雫型の模様をキリンが贈った涙に例えたのだ
なぜキリンが涙を贈ったのか?それはキリンには涙しか贈る物が無かったから、って、なかなかいい話ではないですか

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