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ミステリの祭典

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依頼なき弁護
ポール・マドリアニ弁護士

作家 スティーヴ・マルティニ
出版日1996年01月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 4点 ROM大臣
(2022/02/21 14:34登録)
法廷ミステリは、設定や登場人物のキャラクターが限られてくるジャンルだけに、型にはまりやすいのも確か。そこへ取ってつけたような家庭問題やロマンスで味付けしても、読者を捕らえ続けるのは難しい。
そういう点で、本書はダメな典型だろう。読みやすくはあるが、その分淡白で緊張感に欠けている。結末も意外性はあるが強引。

No.1 8点 mini
(2012/01/26 10:07登録)
昨日25日発売の早川ミステリマガジン3月号の特集は、”逆転裁判/逆転検事に異議なし!”

やはり裁判って言ったらリーガル・サスペンス分野の書評しないとね
リーガル・サスペンスには大きく分けて2つのタイプが有ると思う
1つは、トゥロー、フィリップ・フリードマン、R・N・パタースン等のようなシリアス派
もう1つは、グリシャム、フィリップ・マーゴリンなどのエンタメ派だろう
スティーヴ・マルティニは明らかに後者のタイプで、謎解き派と呼ぶ評論家も居るように謎解き色はたしかに強い
しかしマルティニという作家、前作「重要証人」を読んでの感想は私はあまり感心しなかった
二転三転するハラハラな展開とどんでん返し、読者によっては好きかも知れないが、あざとい真犯人の正体、二転三転し過ぎが結果的に裏目になって単調になってるプロット
そして何よりわざとらしい比喩を多用する文体が好きになれなかったのだ

しかしこの「依頼なき弁護」は前半はマルティニらしい文体が気になるが全体的にはわざとらしい比喩も控え目だ
そして何より感心したのが、今回の事件は主役マドリアニ弁護士の身内の事件なせいもあって、どんでん返しにあざとさが無く、まさに感動を呼ぶ話なのだ
逆に言えば、感動とかが嫌いで、ただただ二転三転のスリルとどんでん返しだけを求めるような読者には前作「重要証人」の方が合うと思う

中盤での二転三転、終盤でのあざやかな裁判での逆転劇、さらにスリリングなアクションシーン、そしてオーラスの感動的で意外な真相、全編に渡って素晴らしく、「依頼なき弁護」は作者の初期代表作との評判に嘘は無いリーガルサスペンス分野でも屈指の傑作である、作者マルティニを見直した

1つだけ、これは欠点と言うより一種の弱点なんだろうが、
この作品、実はどう見てもS・トゥローの絶対的名作「推定無罪」の影響がありありである
しかし単純にその模倣ではなく、マルティニ流の捻りが加えられてるので、まぁ許せる範囲なんじゃないだろうか
とにかくリーガル分野に興味を持ったなら、必読の傑作である事は私が保証します

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