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ミステリの祭典

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重要証人
ポール・マドリアニ弁護士

作家 スティーヴ・マルティニ
出版日1994年06月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 5点 ROM大臣
(2021/11/16 14:52登録)
主人公は前作「情況証拠」と同じく弁護士のマドリアニであるが、今回は趣向を変えて、検事役を務める羽目になった彼の活躍が描かれている。
筆力は十分で、裁判と並行して新たな事実が次々と明るみに出ていく辺りは読みごたえがある。結末に意外性を持たせることも忘れていないし、元弁護士の作者らしく、検事局内の、あるいは弁護士や判事との駆け引きを批判的な視点で描いていて、そのことが法廷場面を盛り上げ、迫真性を生み出す役目を果たしてもいる。
しかし、それもいささか過剰気味に感じる。しかも生彩を欠く登場人物たちに、猟奇的な殺人、妻との不和に悩む主人公たちといったありきたりな要素が続くので、安心して読めるが刺激に乏しいと感じざるを得ない。

No.1 5点 mini
(2009/02/14 10:21登録)
本格好きな人だとリーガルサスペンスと聞いて、”法廷もの”という語句からカーの「ユダの窓」みたいなのを連想してしまうかも知れないが、法廷での証拠の吟味など本格風な場面は大して出てこない
どちらかと言えば、審議日程の問題や、書類不備だとか、重箱の隅の突付き合いのような法廷戦術の応酬といった感じで裏でのやりとりの方が主だ
つまりポイントは法廷戦術の”戦術”の部分なのである
法廷での丁々発止のやりとりとか法廷内でトリックが暴かれるとか、いかにも本格読者が求めるようなのを期待するタイプの読者には向かない
裏での法廷戦術の駆け引きをつまらないと感じるような人はリーガルサスペンスには手を出さない方が無難だ
あくまでもメインはスリル&サスペンスだからね

リーガルサスペンス作家の中でも謎解き興味とエンタメ色が強いと言われるスティーヴ・マルティニ
主役マドリアニ弁護士のデビューは「状況証拠」だが、実質的な出世作はこの「重要証人」だ
ちょっとあざとい真犯人の正体など真相は本格慣れした読者なら見抜けてしまうが、二転三転する展開や終盤のサプライズなど、リーガルサスペンスの中でもエンタメ派の特徴は良く出ている
一つ不満を言えば、やたらと大袈裟な比喩や言い回しを多用するわざとらしい文章は好きになれない

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