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ミステリの祭典

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ブラックネルの殺人理論

作家 ウォラス・ヒルディック
出版日1978年02月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 こう
(2008/10/26 22:39登録)
 サイコサスペンスの一作でした。全編日記(手記)のみで構成された当時では珍しいミステリだと思います。
 夫が全く無関係な社会的に無益な人間を殺す計画、実行に移しそれに伴う精神状態の変化などを表した日記を書いていることを見つけた妻が、全てを自分で書き写し夫を信じながらも次第に疑ってゆく心情を自分の日記に記す体裁をとっています。
 要するに「妻が写した夫の日記の章」とそれを写し終わったあとの「妻の日記の章」が交互に語られる形です。
 殺人事件が第2、第3と進むにつれて妻の心情が変化してゆくのはありきたりですが、妻が夫を信じすぎているため何もせずただ日記を写しているだけであまりにものんきすぎる印象です。そのためどぎつい感じはなく読みやすいとは思いますがやはりリアリティが低かったです。
 主眼は夫が本当に殺人を起こしているのか、それとも自分が殺人を犯したと妄想を抱いているだけなのか、という所の興味と話がどう収束するかですが最後に一ひねりがあり明らかになるのですがさほど大きな盛り上がりもありませんでした。
 日記のみからなる作品構成は評価したいですがミステリとしてはそこそこでした。

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