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ミステリの祭典

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人探し

作家 遠藤秀紀
出版日2023年12月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 麝香福郎
(2025/09/13 09:42登録)
能勢恵は歩容解析のプロ。歩容解析とは歩き方の特徴から個人を特定する技術で、能勢はそのプログラム「ラミダス」を開発した。広告代理店の企画課に在籍し、警視庁の捜査支援分析センターと鉄道会社の支援を受けて次々に事件を解決していくが、能勢は密かにある男を追っていた。
歩容解析のメカニズムも面白いが、ひきつけてやまないのは壊れた家庭の犠牲者たちである。「誰もが大切なものを失いながら、生きるものよ」という言葉が出てくるが、それは悲しみを見据えた温かな認識ではなく、復讐=殺人の正当化。壊れた者たちの対立と葛藤が切々とした響きを持ち、救われて欲しいと願わざるを得なくなる。独創的なアイデアに満ちたミステリであり、心震わせる力強い人間ドラマである。しかし、文章は上手いとはいえず読みづらかったのが減点材料となった。

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