(2024/09/27 20:39登録)
主人公は、発掘の魅力に取り憑かれたエジプトに留学した考古学者・峰隆介。今は日本の大学の准教授として、エジプトでの発掘調査を指揮している。その現場から、ついに石棺が見つかった。数千年前のものと推定される石棺は、エジプト考古省の遺物保管庫に運ばれ、係官立会いのもと、いよいよふたが開かれる。だが、そこに横たわっていたのは、死後数カ月のミイラ化した遺体だった。その後、武装グループが遺物保管庫に侵入し、峰たちが発掘した石棺やミイラを強奪したという。失意のまま帰国準備を進める峰のもとに、フランスの有名博物館から抗議の依頼とチケットが届く。だが、カイロを発った航空機は何故か広大な砂漠に墜落。からくも助かった峰は、他の数少ない生存者と共に砂漠をさすらうことになる。
基本は極限状況下の脱出行を描くサスペンスだが、冒頭のミイラを巡る謎が物語を牽引し、旅の過程で驚くべき真実が次々に明かされる。峰が抱える秘密とは何か、シャリファや永井の思惑とは。物語にどう決着がつくか予想がつかず、全体の2/3あたりで驚天動地の大ネタが炸裂した後も、さらにサプライズが続く。読み始めたら止まらない疾走感ある物語。
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