home

ミステリの祭典

login
少女たちは夜歩く

作家 宇佐美まこと
出版日2018年09月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 ROM大臣
(2024/05/28 12:34登録)
作者の故郷・松山をモデルにした、中心に城山がそびえる城下町を舞台に様々な人物、事件、そして怪異が時系列の下で交錯していく。
情痴譚や夫婦の破綻、あるいは親子の葛藤、DVDといった日常の出来事から絵画怪談、凶暴なイマジナリーフレンド、死者が見える女、昆虫奇譚まで、人為と怪異は各エピソードごとどころか、それぞれのエピソードの内ですら、しばしば併存し絡み合う。
そしてそれらが錯綜することで形作られていく物語の全体像はしかし、細部の部分的関係性がくっきりするだけで、明確な輪郭を一向に持たない。そこに築かれるのはまさに、中心に不可解な暗闇を堪えて、さまざまな人間が随所で交錯しながらランダムに生きている街そのもの。ミステリなら絵をきれいにまとめ上げるところを、まとまらずに開いていくのがホラーの醍醐味である。

1レコード表示中です 書評