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ミステリの祭典

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ランチ探偵
安楽椅子探偵・天野ゆいか

作家 水生大海
出版日2016年10月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 ミステリーオタク
(2024/05/22 21:35登録)
 グルメに彩られたランチ合コンが舞台の安楽椅子ミステリ短編集。

 《MENU   0》
 ホームズとワトソンの出会い以来、ミステリ小説において無数に繰り返されてきた、観察と推理により相手の状況を言い当てる1シーン。何で今時(と言っても10年前)、という感じだし、大して感心する内容でもない。
 まぁ、二人の主人公の名刺代わりのイントロダクションといったところだろう。

 《MENU   1 アラビアータのような刺激を》
 あまり面白くない話かと思わせられてからなかなか捻りがある展開を見せるが、この真相解明は推理というより殆ど超能力か霊視だろう。

 《MENU 2 金曜日の美女はお弁当がお好き》
 一生懸命〇〇話にしているのは分かるが、何かピンボケ気味で空回りの印象。

 《MENU 3 午後二時すぎのスーパーヒーロー》
 狙いは古典的で悪くないが、結局小振りでチマチマした話になってしまっている。

 《MENU 4 帝王は地球に優しい》
 前半三作のややややこしいストーリーに比べればシンプルな構成の話だが、恐ろしくマニアックな謎が提示される。
 これを解決編前に見抜ける読者はまず皆無だろう。

 《MENU 5 窓の向こうの動物園》
 これも提示される謎が非常に魅力的だが、その意味深に思わせられる度合いに対して、真相は「そんなもんか」という程度。前作の印象が強烈だっただけに自然と期待してしまっていたが・・・残念。話自体は悪くないが。
 
《MENU 6 ダイヤモンドは永遠に》
 最終話らしいタイトルで、これも期待させられるが・・・まぁ、こんなもんかな。

 
 以上全6(+1)話。
 第1話の感想で述べた通り、他の話も殆ど論理的に推理する探偵話というより、神がかった閃きで解決する話でミステリとしてはどうかとも思うが、とにかく軽くて読みやすい。
 非日常系と日常系のストーリーが混在していて飽きも来ない。
 月並みな形容だが、いつでもどこでも気軽に読める短編集としてはオススメ。

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