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ミステリの祭典

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お電話かわりました名探偵です
「万里眼」君野いぶき

作家 佐藤青南
出版日2020年12月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 ねここねこ男爵
(2024/02/28 12:23登録)
県警の通信指令室の警察官が、110番通報の断片的な情報だけで真相を見抜き解決するリアルタイム安楽椅子探偵もの。
エピソードによってはうーん?と思うものもあるが、全体的には伏線等が上手でわりと楽しめた。一方で、キャラクター描写周辺に関しては勿体ないなぁと思う。

具体的には、キャラクターたちがいわゆるラノベのテンプレほぼそのまま(平凡で優柔不断鈍感主人公、それになぜか惚れている超美人超有能超嫉妬系ヒロインなど)で、テンプレ通りだから説明不要ですよね?とほぼキャラの掘り下げがない。なので勤務中の警察官としては異様に個性的なのに無個性というおかしな具合になっており、好感が持ちづらい。
また本来はサブテーマであろうはずのテンプレ鈍感恋愛描写が異様にしつこく、下手するとメインより長い。そこに後への伏線がはられてるのかと思いきやただのページ稼ぎだった。通報時のリアリティに欠ける描写も含めイライラする人はいると思う(自分は平気だったが、アマゾンレビューには散見)。

余計な要素は最小限に抑え、淡々と魅力的な謎を提供してくれればもっと面白くなっただろうなぁ、と思える点で惜しい。ただ光るエピソードもあるので、読んでみる価値はあるかと。

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