home

ミステリの祭典

login
がん消滅の罠 暗殺腫瘍

作家 岩木一麻
出版日2021年07月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 ROM大臣
(2023/10/18 15:41登録)
デビュー作「がん消滅の罠 完全寛解の謎」の続編。ある日夏目は、高校時代からの友人である森川雄一から奇妙な話を聞かされた。森川の勤める生命保険会社で契約を締結してからまだ日が浅い複数の顧客が、相次いで同じ種類の皮膚癌だと診断されたというのである。
人工的に癌を発症させることが果たして出来るのか、という謎がまず提示される。それを追求していく過程で浮き彫りにされるのが、癌患者など救いを求める人を喰い物にする代替医療の実態である。弱みに付け込んで金をむしり取るだけではなく、適切な医療処置を受けることを怠らせて、救える命を失わせているのだとしたら、それは殺人行為と呼ぶ者もいるだろう。
ある殺人事件を軸にしながら、作者は代替医療をめぐる人間模様を描き出していく。スリラー的展開は読みごたえがあり、不正に対する強い怒りも感じられる作品である。

1レコード表示中です 書評