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ミステリの祭典

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魔女の鉄槌

作家 ジェーン・スタントン・ヒッチコック
出版日1995年05月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 ROM大臣
(2023/03/09 13:41登録)
魔女狩り、猥書と魔術書が充満するヴァチカンの秘密図書館、ナチとヴァチカンの裏取引など、世界史の陰惨なエピソードが積み重なった果てに炙り出されるのは、キリスト教の反動性と男尊女卑思想の恐るべき共犯の構図。
おぞましい真実を知るにつれて、最初は印象が薄かったビアトリスが行動的に変貌してゆく様は見もので、後半での思い切った振る舞いには驚かされる。
だが、本書の最も恐ろしいところは、作中に登場する「マレウス・マレフィカールム」なる書物が実在し、十五世紀に刊行されて以降、数世紀にわたって実際に魔女狩りの手引書として用いられてきたという点にある。一般に考えられている以上に米国という国には宗教的色彩が濃厚なだけに、荒唐無稽な絵空事と一笑にふせない、リアルな恐ろしさ感じる。

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