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ミステリの祭典

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彼女は僕の「顔」を知らない

作家 古宮九時
出版日2021年01月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 ROM大臣
(2023/03/09 13:12登録)
十年前に起きた放火事件を生き延びた少年と少女の物語。ミステリの枠組みを利用した青春小説で、謎解き自体の味付けは薄い。
他人の負の感情に過度に同期して、憂鬱になったり胃を痛めてしまう体質の良。同じ高校に転校してきた静葉は、良と同じく十年前のキャンプ場火災の生存者だった。だが、彼女は相貌失認(人の顔を識別できない病)だった。静葉の願いで十年前の真実を探ることに。
ミステリとしては薄めとはいえ、物語と仕掛けが響きあう構造は魅力に富んでいる。人間関係の中に埋められた秘密が明かされる展開は、謎の解明による快楽を満喫できる。秘密の解明が、主人公たちの関係を変えてしまう。その苦さと甘さが心に焼き付く。

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