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ミステリの祭典

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スロート
「ブルー・ローズ」三部作

作家 ピーター・ストラウブ
出版日1996年03月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 ROM大臣
(2022/11/29 15:04登録)
私(ティム)とジョンとは十代のころからの付き合いだった。大学卒業後、私は徴兵され、ベトナムの地で死体処理班の一員として働いた。グリーンベレーとなっていたジョンとその地で出会ったが、死の瀬戸際に立たされた地獄を見た彼は何もかもが変わっていた。
ティムとジョンの少年時代の挿話のさりげない切なさ、大量殺人者のドラゴネットの不気味なリアリティ、ジョンの岳父ブルックナーの孤独な存在感、いずれも強い印象を与えるが、さらに鮮烈なイメージで圧倒するのが、ベトナム戦争の描写である。抑制のきいた乾いたタッチが、極限状態に起きる狂気と暗黒を抉り出している。
現在と過去が複雑に交錯し、幾重にも歪められた迷路を抜けてたどり着いた結末は、いささかあっけない感じもする。いくつか説明不足もあるが、充実した読後感を与えてくれる。

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