home

ミステリの祭典

login
Fの記憶

作家 吉永南央
出版日2009年10月
平均点4.00点
書評数1人

No.1 4点 麝香福郎
(2022/07/13 19:11登録)
嶽澤は解体作業を請け負う会社の社長。ライバル会社に仕事をさらわれるようになり、少しずつ苛立ちと怒りを内に溜め込むようになった嶽澤が思い出すのが、高校時代に痛めつけてやったFのこと、Fの言い放った呪いの言葉。
嶽澤というヤクザまがいの男が視点人物ゆえに、黒々とした筆致で描かれているこの物語の影の主人公がF.
多視点かつ、様々なトーンの物語を併せて一つの物語にする手法は悪くはない。だが、それがうまく活きていない。原因としては、Fという人間へのこだわりが、第一話の嶽澤以外の登場人物から必然として伝わってこない点にある。また、三つの物語から読者が脳内で作り上げたF像と、最終話に登場する実際のFの雰囲気がかけ離れすぎなのはどうなのか。

1レコード表示中です 書評