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ミステリの祭典

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放課後の嘘つきたち

作家 酒井田寛太郎
出版日2020年11月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 ROM大臣
(2024/02/19 13:11登録)
文武両道の英印高校には、部活間のもめごとの解決を担う「部活連絡会」が存在する。そこに集まったメンバーが学園内で起こる事件を解決するのが共通パターン。「不正と憂鬱」では部活動連絡会の役員は、まだ生物学研究会の真琴のみしかいない。演劇部が絡んだと目される、テストのカンニング行為を調査すべく真琴は幼馴染でボクシング部に所属する蔵元に助けを求める。
発想の転換による真相の解明に、さらにもう一捻りを加えて作品に深い苦みをにじませる構成がいい。少年少女が世界は決して優しくは出来ていないことを知る物語は青春小説の定番であるが、それをミステリの形でうまく描いている。
本作の主要人物は、心に傷を持った人間として造形されている。彼ら自身の物語の進展もまた、作品に厚みを与える重要な要素となっている。

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