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ミステリの祭典

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怪盗の後継者

作家 久住四季
出版日2020年01月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 麝香福郎
(2022/12/07 21:49登録)
主人公の柏手因幡は平凡な大学生。ところが大学講師を世を忍ぶ仮の姿とする謎の男・嵐崎望から「君、私と一緒に泥棒をやってみないか?」とスカウトされる。嵐崎の話によると、因幡の父は伝説の怪盗ジャバウォックそのひとりであり、嵐崎はその協力者だったという。因幡は嵐崎とその仲間たちとともに、父を罠にはめた大物政治家・早乙女巌の悪事の証拠を盗み出すことになった。
普通の大学生が泥棒からスカウトされて父の遺志を継ぐ導入部がやや唐突で、心理的に納得し難いものを感じたが、そこさえ目を瞑れば、あとは手に汗握る展開の連続。ハイテク防犯装置で守られたターゲットを奪うのがたやすいことではないのは当然のこと、切れ者適役の早乙女が積極的に攻撃を仕掛けてくるタイプなのもミッションの難度を高めている。
嵐崎とその仲間たちが非凡な技能を誇る中で、素人同然の因幡がこの物語でいかに存在意義を示せるかも読みどころとなっている。

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