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ミステリの祭典

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秘密指令-破滅
サム・デュレル、秘密指令シリーズ

作家 エドワード・S・アーロンズ
出版日1965年01月
平均点8.00点
書評数1人

No.1 8点 mini
(2016/05/17 09:58登録)
* 私的読書テーマ、生誕100周年作家を漁る、第4弾はE・S・アーロンズだ

少し前に書評したドナルド・ハミルトンでも言及したが、60年代スパイ小説ブームに乗って、それ以前の50年代に人気となった007シリーズの影響を受けたアメリカ産B級スパイ小説が多数登場した
ドナルド・ハミルトンの部隊シリーズ、「摩天楼の身代金」のリチャード・ジェサップの別名義リチャード・テルフェアの作戦シリーズ、ハウスネームで書き継がれたニック・カーターのキルマスター、活躍はちょっと遅れて70年代になるがドン・ペンドルトンの死刑執行人(マフィアへの挑戦)シリーズなどである
中でも部隊シリーズと並んでこの分野を代表するのがE・S・アーロンズの秘密指令シリーズだ

秘密指令と言うだけあって、まず冒頭に秘密指令の表面的概要が示される
そして主人公サム・デュレルが現場へ向かって指令に沿って調査を行うわけである
こう書くと後のクライブ・カッスラーのダーク・ピットシリーズみたいに国家組織の公務員プロが行う工作活動みたいに思われるかも知れないが、実は全然タイプが違う
あんなダーク・ピットみたいな冷徹クールな工作員ではなく、サム・デュレルは熱い血を持ち思い悩む生身の公務員スパイなのである
ちょっと主人公がタフ過ぎるだろ(大笑)というツッコミどころは有るし、話の展開はいかにもB級らしい定番なんだけど、とにかく面白いのである
いやB級スパイ小説はこれでいいんですよ、充分
以前書評したドナルド・ハミルトンの部隊シリーズが、ちょっとハードボイルドっぽくて男の人生哲学なんかが語られるので、読者によって好き嫌いが分かれる感じなんだよね
その点このアーロンズの秘密指令シリーズは娯楽に徹しており、良くも悪くもこれぞB級スパイ小説って感じで、この手のが好きな読者なら楽しんで読める

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