皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
Tetchyさん |
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平均点: 6.74点 | 書評数: 1572件 |
No.72 | 9点 | セント・メリーのリボン- 稲見一良 | 2007/10/14 22:05 |
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あの名短編集『ダック・コール』よ、再び!ってな感じの短編集です。
表題作は猟犬探偵竜門卓初登場の作品です。 一番好きな作品は「花見川の要塞」ですね。 作者の自然に対する愛情の深さと大人の男に残るガキ大将への憧憬が余すところ無く注ぎ込まれてます。 とにかく全てが色彩鮮やかです。風景も物語も。 |
No.71 | 8点 | ダブルオー・バック- 稲見一良 | 2007/10/14 21:56 |
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一丁の拳銃が人から人へ渡る。その拳銃を手にした者たちの物語を語った連作短編集。
ガンに侵されていた著者が生きた証を残そうと著した本作は、まさにこの作者が読みたかった作品を書いたのだという強い思いが行間から立ち上ってきます。 デビュー作にして人生の酸いも甘いも経験してきた作者の人間としての懐の深さが窺える作品です。 これも絶版で手に入りません。全くもって勿体無い話です。 |
No.70 | 9点 | ソー・ザップ!- 稲見一良 | 2007/10/14 21:50 |
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この作者の数少ない長編の1つ。
酒場に集った男たちが繰り広げる狩猟ゲームを扱ってます。手裏剣の名人、射撃の名手、怪力を誇る元レスラーたちが賞金を賭けて殺し合いを行うというブルース・リーの映画を髣髴させるような内容です。 もはや絶版で手に入らない希少な作品なのが、残念です。 |
No.69 | 10点 | ダック・コール- 稲見一良 | 2007/10/14 21:44 |
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男ならば是非とも読んでほしい珠玉の短編集。
男の不器用さ、腕白少年のカッコよさ、自分の主義を愚直なまでに死守する姿勢など、忘れかけていた人間として大切なものを思い出させてくれます。 そこには作者の生き様さえも見え隠れして、一人の人間として尊敬の念を自然と抱かせてくれる、そんな作品です。 |
No.68 | 7点 | 月光ゲーム- 有栖川有栖 | 2007/10/14 00:14 |
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個人的には評価している作品です。
題名に「ゲーム」とついている割には単なる「ゲーム小説」に終わっていません。総勢17名の登場人物それぞれが確かにキャラが立っていました。 作品の底を流れる青臭さ、ペシミズムも私にとっては大学時代を思い出すエッセンスとなりました。 火山の噴火が閉鎖的空間を作るというのが単なる奇抜さを狙ったわけでなく、物語のドラマ性や事件の真相に大いに寄与している辺りもすでに後の活躍を窺わせます。 |
No.67 | 8点 | 我らが隣人の犯罪- 宮部みゆき | 2007/10/11 21:42 |
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日ごろ本を読まない人から「なにか面白い本、ない?」と聞かれたらいつもこの本を勧めてます。
ほどよい長さと軽めの内容ながら意外な真相も楽しめる本作はまさにミステリ初心者お勧めの作品です。 他の方同様、私もこの中の「サボテンの花」にはホロリとさせられました。 |
No.66 | 7点 | 漱石と倫敦ミイラ殺人事件- 島田荘司 | 2005/09/01 00:12 |
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ちょうどホームズ物を読んでいるときにこの作品を読んだので、堪能できました。 直木賞候補になったと聞いたときにはビックリしました。意外とトリッキーなことをやっていたんですね、あの賞の選考は。 |
No.65 | 3点 | 都市のトパーズ- 島田荘司 | 2005/08/30 23:23 |
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島田信者の私でもちょっとこれは・・・。 独自の都市論を披瀝するあまり、小説としてのスピード感が失われてます。 あと虎はガタイが大きく、短足なので、そこがどうも東京の街を疾走するイメージと重なりませんでした。 |
No.64 | 9点 | 涙流れるままに- 島田荘司 | 2005/08/29 23:20 |
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加納通子物語ここに終結です!! 通子の物語は駅のキオスクで売られているような三文官能小説っぽくって正直辟易しましたが、今までの吉敷シリーズに跨っていた通子の全貌があらわになり、また吉敷の刑事人生についても島田氏なりの結論をつけたようで、あたかも吉敷・通子の人生讃歌のような様相を呈してます。 これで吉敷シリーズはやっぱり打ち止めでしょうか? |
No.63 | 6点 | 飛鳥のガラスの靴- 島田荘司 | 2005/08/28 23:29 |
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これも冒頭の通子とのやりとりについては『涙流れるままに』で明らかになるのでしょうからそれだけでも読む価値があると思います。 今回は『飛鳥』のトリックにやられました。 しかし、一応のタイムリミット物にもなっていますがもう少しその状況作りが良ければサスペンス性が増したように思えるのですが。 |
No.62 | 6点 | ら抜き言葉殺人事件- 島田荘司 | 2005/08/28 00:34 |
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タイトルは「何だこりゃ!?」といった感じですが、内容は吉敷シリーズでも結構渋く、扱っているテーマも歪んだ学校教育という社会問題を挙げ、手堅く纏まっています。 ただ今回は犯人が「ら抜き言葉」に執着する動機が純文学よりだったのが、惜しく感じました。 |
No.61 | 5点 | 羽衣伝説の記憶- 島田荘司 | 2005/08/27 00:22 |
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皆さんおっしゃるように1つの作品としての完成度としては低いのですが、後の『涙流れるままに』に繋がる加納通子サーガの一幕であることを考えると、避けては通れない作品なのだと思います。 純愛を扱っているだけに島田氏の提唱する魅力的な謎の提示とその論理的解明が仇になってしまったような印象を覚えました。 |
No.60 | 5点 | 幽体離脱殺人事件- 島田荘司 | 2005/08/25 23:09 |
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全体の印象として中途半端な感じがしました。小瀬川杜夫と吉敷とのエピソードは吉敷が事件に関わるためのファクターとして付加したようなテクニックを露呈していますし、森岡輝子と小瀬川陽子の電話のエピソード、輝子の行程のエピソードは十分読み応えがあって面白いですが、唐突に訪れる捕物劇は、およそ刑事小説とは思えないほど、あっけらかんとした物でちょっと納得しがたく感じました。通常一千枚ベースで作られる御手洗物で使われるテーマをかなり省略したような感じでした。 |
No.59 | 6点 | 夜は千の鈴を鳴らす- 島田荘司 | 2005/08/24 23:23 |
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メインの事件がサブに回ったり、現代の事件が24年前の事件に繋がったりと凝ったプロットになっています。そして作者が今回選んだモチーフは「オリンピック」。この世界の祭りに新幹線開通を絡ませ、高度経済成長の荒波に人生を翻弄される姿を描きたかったのでしょう。そしてやはり本作でも東京という「都市」に憧れ、殺人を犯してしまうという島田 荘司の追い続ける都市の魔力というものが暗示されています。 |
No.58 | 8点 | 灰の迷宮- 島田荘司 | 2005/08/23 23:15 |
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どうやら私は島田氏の描く女性に弱いようです。特に明るい女性に。 事件には派手さはありませんが奇矯で、解決は実にアクロバティックで、つまり島田荘司色を今回も見せてくれますが、それよりも茂野恵美の存在が胸を打ちました。 最初の登場シーンから、このキャラが物語の情の部分を支えるキープレイヤーなのだとは承知してましたが、頭が判っていてもやはり心が動いてしまいました。これは「異邦の騎士」の石川良子に一脈通ずるものがあります。 |
No.57 | 7点 | Yの構図- 島田荘司 | 2005/08/22 23:02 |
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本作のメインとなる殺人事件は、実はさほど興味深いものではなく、真相もショッキングではありますが、私自身が予想していたそれとほぼ同じでした。しかし読後の余韻は漠然とした何かが残りました。菊池刑事の、木山法子が瀕死の重体であるにもかかわらず、傍にいられない無念さか、古川教諭の、生徒を思う心か、鳥越ゆかりの孤独か、それ以外かどうか判りません。それらは所謂ステレオタイプな設定だと思うからです。しかし、何かは確かにあります。やはり子供が人を殺したという事実への疎ましさかもしれません。 |
No.56 | 5点 | 確率2/2の死- 島田荘司 | 2005/08/21 23:31 |
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※以下のコメントはネタバレを含んでます。 野球賭博と白いライトバンの後ろが連絡場所と何か関係あるのではとは感づいていましたが、なるほど、誘拐事件が保険として絡んでくるとは読めませんでした。 島田作品の中でもかなり薄いこの作品は吉敷作品初体験用に最適かもしれません。 |
No.55 | 9点 | 北の夕鶴2/3の殺人- 島田荘司 | 2005/08/20 23:41 |
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内容は純本格、文体はハードボイルド調です。今回の目玉は2つあります。まずは吉敷物とは思えぬほどの超絶技巧を凝らした大トリックの殺人。2点目はやや没個性的だった吉敷の個性、存在感がいつにも増して顕著でしたこと。通子の存在を得て吉敷が血肉を持った存在になりましたね。 |
No.54 | 6点 | 出雲伝説7/8の殺人- 島田荘司 | 2005/08/18 21:42 |
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今回の死体受け渡しのトリックは解りましたがやはり時刻表のトリックはパズル遊びをしているきらいがあり、のめり込めませんでした。もちろん、島田作品ですから通常のミステリの水準はクリアしていますが、物足りないものを感じました。 |
No.53 | 6点 | 寝台特急「はやぶさ」1/60秒の壁- 島田荘司 | 2005/08/12 22:15 |
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一般読者向けを意識した島田初のトラヴェル・ミステリという事で、現実味を過分に加えた、比較的地味なシリーズ、所謂吉敷シリーズですが、千鶴子の列車での存在を幽霊として仕立て上げるような、幻想性を加えることも忘れない所が面白かったです。 |