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弾十六さん
平均点: 6.10点 書評数: 446件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.95 5点 延期された殺人- E・S・ガードナー 2022/09/10 13:02
ペリーファン評価★★★☆☆
ペリー メイスン追加その2。1973年出版。 HPBで読了。(なお、以下はAmazon書評をちょっと手直しした再録です。)
ガードナー死後発表のメイスンもの2冊目、本作はなぜかお蔵入りになってた作品。The Perry Mason Book: A Comprehensive Guide to America’s Favorite Defender of Justice によると書かれたのは1939年。姉が行方不明となった依頼人。自宅でミステリを読みくつろぐメイスンは、今回は危ない橋を大胆に渡り、ホルコムと鋭く対立。銃を放り投げたり、冷たい水に浸かったり、屋敷に忍び込むなど、メイスンの冒険が見ものです。法廷シーンは予審、判事スキャンロンはかなり型破りな運営でメイスンの真相究明を助けます。全体的に筋が弱い感じですが、ホルコムが元気に活躍しているので満足です。
銃は38口径コルト、ポリス・ポジティブとコルト38スペシャル「44フレーム」が登場。44フレームという表現はコルトでは聞いたことがないのですが、S&Wにはあります。そのS&Wの.38/44(44口径のフレームを使用しており38口径の強装弾を発射出来る銃、S&Wの分類ではNフレーム)に相当する銃はコルト オフィシャル ポリスではないかと思います。
(2017/05/27)

No.94 5点 囲いのなかの女- E・S・ガードナー 2022/09/10 13:01
ペリーファン評価★★★☆☆
ペリー メイスン追加その1。1972年出版。 HPBで読了。(なお、以下はAmazon書評をちょっと手直しした再録です。)
手直し前のほぼ完成作、ガードナー死後発表のメイスンもの1冊目。 The Perry Mason Book: A Comprehensive Guide to America’s Favorite Defender of Justice によると書かれたのは1960年。有刺鉄線で分断された新築の家、向こうにはビキニ姿の美人。カジノで遊ぶメイスン。ミランダ警告っぽいことを言うトラッグ。メイスンの無茶ぶりで食欲を無くすポール。法廷シーンは陪審裁判、バーガーは登場しません。発端はとても素晴らしいと思いますが、解決が弱い感じです。
(2017/05/27)

No.93 5点 すばらしいペテン- E・S・ガードナー 2022/09/10 10:08
ペリーファン評価★★★☆☆ ペリー メイスン第80話。1969年11月出版。HPBで読了。(なお、以下はAmazon書評をちょっと手直しした再録です。)
発表当時ガードナー80歳。作者が最後まで監修したメイスンシリーズとしては最終話です。その後、手直しが必要とか編集部がはじいたとかで発表されていなかった、ほぼ完成版のメイスンもの2作が死後出版されましたが…
冒頭はいつものデラとメイスンの会話、女性の年齢当てを試みます。この6日間ひまで豪勢な食事をするドレイク。メイスンは女探偵の胸の谷間を鑑賞し、ドアを開けた女を怒鳴りつけ、デラと握手について論じあい、ドジャースの優勝予想をします。ミランダ警告が3回登場。ドレイクがメイスンに請求する料金は「いつも通りの割引値段」(the usual trade discount) 今作では法廷シーンが2回登場、最初は陪審裁判で偶然による結審、2回目は予審でメイスンによる被告側の証人尋問で解決します。なお、メイスンが黒人の弁護をするのはシリーズ初。
ところで裁判所近くの馴染みのレストランはフレンチからイタリアンに変更したもよう。お話は軽めですが、いつものように読者を飽きさせない筋立ては流石です。でも敵役のバーガーもトラッグも(ホルコムも)登場しないのが寂しい…
銃は銃身を切り詰めたレヴォルヴァ(snubnosed revolver, 詳細不明)とスターム ルガーSturm Ruger(翻訳では「ストゥアム・ルーガー」)のシングル・アクション22口径レヴォルヴァ、シングル シックス、銃身9-3/8インチが登場。
「22口径… 特別強力なピストルから、銃弾を発射」(with a twenty-two-caliber revolver, shooting a particularly powerful brand of twenty-two cartridge)「22口径と呼ばれる種類の強力なライフル銃弾」(the bullet was of a type known as a .22-caliber, long rifle bullet)と翻訳されていますが「特別強力なピストル」とか「強力なライフル銃弾」とかは、いずれも22ロングライフル弾(ピストル用の弾丸)のことですね。
拳銃についても「銃身にルーガー=22の文字と、6=139573の番号」(On the gun was stamped Ruger twenty-two, with the words single six, the number, one-three-nine-five-seven-three )と訳されているのですが、翻訳者はSingle Six(銃の商品名)を誤解。(固有名詞なのに大文字で始めないガードナーが悪い?それとも校閲者が勝手に小文字に直した?) [試訳: 銃の刻印は、ルガー22及びシングル・シックスという文字、番号139573…] このシリアルだと1959年製です。
(2017年5月27日)

No.92 5点 うかつなキューピッド- E・S・ガードナー 2022/09/10 10:07
ペリーファン評価★★★☆☆ ペリー メイスン第79話。1968年3月出版。HPBで読了。(なお、以下はAmazon書評をちょっと手直しした再録です。)
尾行者を脅す婦人。メイスン登場は第2章からですが、第1章は不要な感じ。ドレイク事務所の料金は1日50ドル(プラス必要経費) 今まで数回名前だけ出てきた女性飛行士ピンキーの詳しい描写が初登場。(The Perry Mason Book: A Comprehensive Guide to America’s Favorite Defender of Justice (English Edition)によるとピンキーはガードナーの友人で、書かれている内容は実際のネタ) 会議で演説をぶつメイスン。法廷シーンは陪審なしの裁判(多分シリーズ初)、バーガーが最後に乗り出しメイスンを非難するパターン。今回のメイスン戦術は反則気味ですが鮮やかです。全体的に中篇のネタですね。次回バーガーは出演しないので力なく腰掛ける姿が公式メイスンシリーズ最後の登場シーンです…
(2017年5月26日)

No.91 5点 美人コンテストの女王- E・S・ガードナー 2022/09/10 10:06
ペリーファン評価★★☆☆☆ ペリー メイスン第78話。1967年5月出版。HPBで読了。(なお、以下はAmazon書評をちょっと手直しした再録です。)
過去から逃れようとする女。策略を企み、思わず第一発見者になるのはいつものパターン。プライヴァシーの権利を守るメイスン。トラッグは愛想よく、ズカズカ私室に入り込み、正式なミランダ警告をかまします。法廷シーンは予審、死刑送りにするのが趣味の検事と対決、バーガーは登場なし。最後は急転直下に解決、トラッグと握手して幕。ふらふらした感じの話です。銃は38口径コルトと32口径 スミス・アンド・ウェッソンが登場。いずれもリボルバーですが詳細不明。
(2017年5月24日)

No.90 5点 悩むウェイトレス- E・S・ガードナー 2022/09/10 10:05
ペリーファン評価★★★☆☆
ペリー メイスン第77話。1966年8月出版。HPBで読了。(なお、以下はAmazon書評をちょっと手直しした再録です。)
テーブルの売買、冷たい叔母、帽子箱。昼食中のデラとメイスンに近づくウェイトレス。私立探偵の料金は1日55ドル(プラス必要経費)に値上がり。家族写真なんてもう流行らないのが最近の米国の風潮。事務室にズカズカ入ってくるトラッグ、ミランダ警告(最高裁判決が1966年6月)の登場はシリーズ初ですが、作者はつい最近のネタなのにすぐ作品に反映しています。今作のメイスンはゴルフを楽しんだり、ドレイクと深夜の冒険をしたりで結構活動的。法廷シーンは予備審問、バーガーが最初から登場しますが、潔く負けを認め、最後はメイスンと握手して幕。冒頭の謎の提示がごたついており、事件の真相にもかなりの無理があると思います。
(2017年5月22日)

No.89 5点 美しい乞食- E・S・ガードナー 2022/09/10 10:05
ペリーファン評価★★★☆☆
ペリー メイスン第76話。1965年6月出版。HPBで読了。(なお、以下はAmazon書評をちょっと手直しした再録です。)
手紙、小切手、冷たい親戚。物語の前半で財産管財人の審理があります。メイスンは相手方のミスに乗じ感謝されます。ドレイクの食事を気づかうメイスン。デラがペリーと呼ぶのはシリーズ初? メイスンはドレイクと協力して依頼人を荒っぽく扱います。75歳は男ざかり、かなり頭はボケてくるが、とのセリフは作者の願望含みですね。予審ではバーガーが最後に乗り出し、メイスンが罠を仕掛け、誠実なトラッグが真犯人を逮捕して幕。
あとがきは「S」(常盤 新平)によるガードナー追悼。本書は古畑種基博士に捧げられ、裏表紙にガードナー夫妻と古畑博士の写真、古畑博士によるガードナー追悼文も掲載されています。
(2017年5月21日)

No.88 4点 使いこまれた財産- E・S・ガードナー 2022/09/10 10:04
ペリーファン評価★★☆☆☆
ペリー メイスン第75話。1965年2月出版。HPBで読了。(なお、以下はAmazon書評をちょっと手直しした再録です。)
ビート族と財産家の娘と管財人。デラにあらためて感謝するメイスン。メイスンはメキシコで慇懃な扱いを受け、トラッグから100%の協力を依頼され、ドレイクとともに質問に応じます。法廷シーンは陪審裁判、珍しくバーガーの反対尋問が冴え渡ります。ドレイクの収入の75%はメイスンからという暴露。最後はメイスンの閃きとトラッグの協力で幕。全体的にピリッとしない話です。
銃は38口径スミス・アンド・ウエッスン、銃身の短いレヴォルヴァ、シリアルK524967が登場。このシリアルはKフレームAdjustable sight1963年製を意味します。該当銃はM15(Combat Masterpiece)かM19(Combat Magnum)、光った描写が無いのでステンレス製のM67やM68ではないでしょう。ところでバーガーは尋問中に拳銃製造メーカーの名を挙げますが「コルト、スミス・アンド・ウエッスン、ハーリングトン、リチャードソンあるいは…」(原文: Was it a Colt, a Smith and Wesson, a Harrington and Richardson, a-) 続きが気になります。
(2017年5月20日)

No.87 6点 消えた目撃者- E・S・ガードナー 2021/01/16 04:37
角川文庫、1976年11月刊行。ペリー・メイスンものの中篇三作の集成。
元は1961年ヒッチコック・マガジンに掲載されたもの。雑誌掲載時に訳者名が邦枝輝夫となっていたが、この文庫では黒田昌一。訳文は同じなので、同一人物である。
他にも翻訳がある「叫ぶ燕」、「緋の接吻」については『怪盗と接吻と女たち』に書評を書いたが、問題は表題作の『消えた目撃者』(本書では原題がThe Case of the Wanted Witness、初出誌「クルー」1949年3月としている。)
この原題も、雑誌名Clueも該当するものが見当たらない。内容もそれっぽく仕上げているが、他二作と比べて文体が全然違う。翻訳もこなれすぎてる感じ。
訳者さんのでっち上げか、ラジオ・シリーズのノヴェライズなのかも。(それにしちゃあ雑誌名に該当がないのが変だが…)
ペリー・メイスン ものの珍作として、興味のある方以外は読む必要はないでしょう。
評価点は他二作も加味したものです。
(以下、2021-1-18追記)
翻訳者の邦枝輝夫は有名な「田中潤司」のことだという。邦枝名義でヒッチコック・マガジンに翻訳多し。レスター・リースものもパルプ雑誌から数篇翻訳している(単行本未収録)。読まなくちゃ!

No.86 5点 不安な遺産相続人- E・S・ガードナー 2020/06/28 03:43
ペリーファン評価★★★☆☆
ペリー メイスン第74話。1964年9月出版。ハヤカワ文庫で読了。(なお、以下はAmazon書評をちょっと手直しした再録です。)
冒頭からの文章の感じが変です。いつもと違う。病院と屋敷と空港。メイスン登場は第3章の後半から。予審が開かれ判事の秤が新聞ダネに。モールテッド・ミルク(malted milk)を飲む元秘書。ミセスではなくミスと名乗れば秘書になりやすい。メイスンの工作はちょっとやりすぎ。予審再び、バーガーは不出馬、最初のDAが再登板。全体的に筋が弱い感じです。自動車は2-4年前の型のオールズモビルが登場。
(2017年5月20日記載)

No.85 5点 つかみそこねた幸運- E・S・ガードナー 2020/06/28 03:36
ペリーファン評価★★★☆☆
ペリー メイスン第73話。1964年5月出版。HPBで読了。(なお、以下はAmazon書評をちょっと手直しした再録です。)
晩餐会で注目を浴びる美しいデラ。評判が良いドレイクの仕出し屋稼業。ドレイクのコーヒーの好みは砂糖とクリームたっぷり。久しぶりのホルコム(1959年1月刊「恐ろしい玩具」以来)でも活躍は無し。バーガーはメイスンの非行を見つけ締め上げます。法廷シーンは予審、冒頭からバーガーはメイスンを厳しく告発。レッドフィールドの証言をきっかけに、メイスンはバーガーとトラッグを引き連れ仲良く現場を再捜索。最後はメイスンがバーガーに逆捩じを食らわせて幕。全体的に薄い味付けです。
銃は38口径レヴォルヴァ、スミス・アンド・ウエッソン製が登場、詳細不明。
巻末には、1964年11月に虎の門の晩翠軒で開かれた日本探偵作家協会主催のガードナーを囲む会の記録あり(署名「N」による)
(2017年5月20日記載)

No.84 5点 向うみずな離婚者- E・S・ガードナー 2020/06/28 03:27
ペリーファン評価★★★☆☆
ペリー メイスン第72話。1964年2月出版。HPBで読了。(なお、以下はAmazon書評をちょっと手直しした再録です。)
ハンドバッグを置いていなくなった黒眼鏡の女。デラのランチタイムは12:15-12:45、ガーティは12:45-13:30。意外にもメイスン事務所のセキュリティが甘い。パイロットはラスヴェガス経済とロサンジェルス経済との密接な関係を語ります。関係者全員が黒眼鏡をかける場面がシュール。裁判は予審、後半でバーガー御大が登場しますが、例によって得点を稼げず沈没。最後はトラッグが締めます。プロット自体が単純なので解決も難しくはないのですが不満な出来です。
銃は2丁、同一型式の38口径レヴォルヴァー スミス・アンド・ウェッスン6連発、シリアルC48809とC232721が登場。このシリアルはいずれもKフレームfixed sight1948-1952年製を示し、該当銃はMilitary&Police(M10)です。シリアルC48809はメイスンシリーズ4回目、C232721は2回目の登場。
(2017年5月17日記載)

No.83 6点 恋におちた伯母- E・S・ガードナー 2020/06/27 21:26
ペリーファン評価★★★☆☆
ペリー メイスン第71話。1963年9月出版。ハヤカワ文庫で読了。(なお、以下はAmazon書評をちょっと手直しした再録です。)
事務所に迷い込んだボタンいんこのつがい。ドレイクの料金は1日50ドル(プラス必要経費) メイスンの弱点はエレベーターの中の会話。法廷は予審、地元の検事をいじめ、若い弁護士を助けるメイスン。判事も味方につけ反対尋問やり放題で真相に至ります。解決は鮮やかで、パズルのピースが上手くはまります。
(2017年5月18日記載)

No.82 4点 脅迫された継娘- E・S・ガードナー 2020/06/27 21:21
ペリーファン評価★★☆☆☆
ペリー メイスン第70話。1963年6月出版。HPBで読了。(なお、以下はAmazon書評をちょっと手直しした再録です。)
ここから私見メイスン第五シーズン(最終作まで)。「ガードナー、老いたり…」という感じ。スピード感に欠け、切れ味が悪い。ファン以外にはお薦め出来ない作品群です。
過去の過ちと湖上の活劇。濃い霧が全てを隠します。法廷シーンは予審。地元新聞の記者を煽って真相にたどり着きます。全体的に芯が欠けたぐんにゃりした印象。担当区外なのでバーガーもトラッグも出てきません。
銃は38口径6連発リヴォルヴァー、スミス・アンド・ウエッソン製、シリアル133347(翻訳では最初「携帯許可番号」あとの方では「銃器ナンバー」とあります。原文を見たら最初の方はシンプルにa Smith and Wesson .38-calibre revolver, No. 133347で「携帯許可」に該当する単語はありません) このシリアルは「歌うスカート」に続き2回目の登場です。頭文字無しの数字だけのシリアルは1942年以前、この番号なら.38 Special Military & Police M1905 1st or 2nd changeで1908-1909年製くらいか。
(2017年5月20日記載)

No.81 5点 無軌道な人形- E・S・ガードナー 2020/02/02 09:38
ペリーファン評価★★★☆☆
ペリー メイスン第69話。1963年2月出版。HPBで読了。(なお、以下はAmazon書評をちょっと手直しした再録です。)
短縮版がSaturday Evening Postに掲載(1962-12-8)ポスト誌集中連載時代(10年間に14作)の14作目。この長篇がメイスンもの最後の雑誌掲載ですが、長篇の分載という形式が廃れたためだそうです。上品ぶった嘘つきのデラ。女性の裸の腹を鑑賞するメイスンとドレイクとデラ。トラッグはフェアプレーを宣言しますが、ちゃっかりメイスンを利用。今回のメイスンは究極の黙秘を依頼人に指示。法廷場面(陪審裁判)にスライドが初登場、バーガーは厳格な証拠採用を主張し、メイスンを告発しますが、最後は知ってたなら早く言ってくれと愚痴をこぼします。解決は微妙な感じ。
銃は22口径の小型レヴォルヴァと38口径スミス&ウェッスン製、銃身2インチ、シリアルC48809が登場。このシリアルだとKフレームfixed sight1948-1952年製、該当銃はMilitary&Police(M10)です。(シリーズ4回目の登場のシリアル)
(2017年5月17日記載)

No.80 5点 氷のような手- E・S・ガードナー 2020/02/02 09:29
ペリーファン評価★★★☆☆
ペリー メイスン第68話。1962年10月出版。ハヤカワ文庫で読了。(なお、以下はAmazon書評をちょっと手直しした再録です。)
競馬で盛り上がるメイスン事務所、ドレイクはドーナツを頬張ります。デラはポテトと国交断絶中。「例のキツネみたいな微笑の」トラッグは電話でもペリーと親しげ、相変わらず優秀です。法廷シーンは陪審裁判、バーガーが新しい判例を作る、と最初から張り切りますが、思い通りにいかず逆上、判事に正気を保てと言われ、メイスンにも慰められます。(メイスンがハミルトンと呼ぶのは多分シリーズ初) 策略にたけた悪徳弁護士ギルモアの法廷戦術が面白く、レギュラーキャラだったら良かったのに、と思いました。(実際には本書だけの登場) 解決は唐突です。60年代メイスンは言わずもがなの説明がちょっと多い感じ。(もしかしたらわかりやすさを重視し過ぎるTVシリーズ1957-1966に関係した影響かも) 銃は38口径のレボルバー、スミス・アンド・ウエッソン製ダブルアクション6連発が登場、詳細不明です。
(2017年5月17日記載)

No.79 5点 ブロンドの鉱脈- E・S・ガードナー 2020/02/02 09:20
ペリーファン評価★★★☆☆
ペリー メイスン第67話。1962年6月出版。ハヤカワ文庫で読了。(なお、以下はAmazon書評をちょっと手直しした再録です。)
Toronto Star Weekly連載(1962-4-7〜4-14) ボレロ・ビーチに住むデラの叔母。(残念ながらこれ以上の情報なし) デラはメイスンを海水浴に誘います。裏切り合戦が大好きと告白するメイスン。ドレイクは電子尾行器を使用。「行方不明の相続人と隠れた不動産」(Missing Heirs and Lost Estates)という名の会社。暗号はヘイ リューブ(Hey Rube)。デラを南米に売り飛ばす企み。メイスンものではお馴染みの、見張っている部屋に人が次々おしよせ、最後に死体が発見されるというルーティン。法廷シーンは予備審問ですが、担当がリバーサイド郡なのでバーガーは登場しません。最後の最後でメイスンは真実に到達します。解決は鮮やかですが、全体的に冗長な感じは否めません。
(2017年5月15日記載)

No.78 5点 あつかいにくいモデル- E・S・ガードナー 2020/02/01 18:22
ペリーファン評価★★★☆☆
ペリー メイスン第66話。1962年1月出版。ハヤカワ文庫で読了。(なお、以下はAmazon書評をちょっと手直しした再録です。)
短縮版をToronto Star Weeklyに掲載(1961-10-7) 掲載時のタイトルはThe Case of the False Feteet。絵の天才beatnikの登場が時代です。メイスンによるコン・ゲーム(偽造小切手で宝石商荒らし)の解説。デラはTwistを踊り、メイスンはカナリヤの世話、ドレイクはついに安全運転宣言、トラッグは神出鬼没。北上する旅が出てきてカナダへ…というのは掲載誌の楽屋落ち? 予審ではメイスンが掟破りの戦術(前例: 気ままな女)でバーガーを出し抜きます。解決は鮮やかですがモヤっと感ありです。60年代メイスンは喋りすぎでスピード感が失われているように感じます。銃は「センチネル(Sentinel)と呼ばれているハイ・スタンダード(HighStandard)の9連発22口径レヴォルヴァー」銃身2-3/8インチ、シリアル1,111,884が登場。この銃身の長さだと1957年からの製品です。シリアルから詳細な年代がわかる資料は未入手。
(2017年5月14日記載)

No.77 5点 重婚した夫- E・S・ガードナー 2020/02/01 18:11
ペリーファン評価★★★☆☆
ペリー メイスン第65話。1961年8月出版。ハヤカワ文庫で読了。(なお、以下はAmazon書評をちょっと手直しした再録です。)
Saturday Evening Post連載(1961-7-15〜8-26)ポスト誌集中連載時代(10年間に14作)の13作目。デラの出す科学クイズに全く興味の無いメイスン。電話ではよそよそしい態度のトラッグですが、顔をあわせるとペリーと呼んで親しさを強調、ジムという刑事を連れています。登場人物が読んでいた雑誌中にポスト誌が出てくるのは楽屋落ち。ハイヒールで蹴られるメイスン。予審はバーガーが最初から張り切りますが、メイスンに逆転され、最後には珍しく正義のために素直になります。解決は鮮やかですが、全体的に冗長な感じです。
銃はスミス・アンド・ウエッスン製38口径リヴォルヴァー、銃身2インチが登場。シリアルC232721は、Kフレームfixed sight1948-1952年製、該当銃はミリタリー&ポリスですね。
(2017年5月13日)

No.76 5点 車椅子に乗った女- E・S・ガードナー 2020/02/01 18:04
ペリーファン評価★★★☆☆
ペリー メイスン第64話。1961年3月出版。ハヤカワ文庫で読了。(なお、以下はAmazon書評をちょっと手直しした再録です。)
Saturday Evening Post連載(1961-1-28〜3-11)ポスト誌集中連載時代(10年間に14作)の12作目。土曜出勤する秘書と支配人の息子と車椅子の大株主、メイスンは第3章から登場。デラが相手から話を上手く引き出します。(このような活躍は意外にもシリーズ初?) 航空会社のクレジットカードを持つメイスン。メイスンからの電話を迷惑がるトラッグですが、事務所ではペリーと呼びかけます。公訴予審は圧倒的にメイスン不利、調子に乗ったバーガーはメイスンをペテン師と呼びますが、最後は気だての良いトラッグの協力で犯人逮捕。解決はあまりスッキリしない感じです。
(2017年5月14日記載)

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弾十六さん
ひとこと
気になるトリヴィア中心です。ネタバレ大嫌いなので粗筋すらなるべく書かないようにしています。
採点基準は「趣好が似てる人に薦めるとしたら」で
10 殿堂入り(好きすぎて採点不能)
9 読まずに死ぬ...
好きな作家
ディクスン カー(カーター ディクスン)、E.S. ガードナー、アンソニー バーク...
採点傾向
平均点: 6.10点   採点数: 446件
採点の多い作家(TOP10)
E・S・ガードナー(95)
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