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のりちゃんさん
平均点: 6.00点 書評数: 2件

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No.2 6点 セカンド・ラブ- 乾くるみ 2016/10/24 21:13
No19の続き
スナックで働いているミナには二面性があった。一面は、私はそんなに軽い女ではないので安易に口説いたりしないでという気高い性格。もう一面は、それとは真逆で、二番目の女でいいから貴方の側にいさせてという恋多き性格。天涯孤独でも、自分の好みでもない客に対しては前者の性格で接する一方で、天涯孤独ではないが、自分の好みである客に対しては、後者の性格で接してセフレにしていた。春香の恰好をしている美奈子をミナであると見抜いた老人は、天涯孤独でも、美奈子の好みでもなかったが、大金をちらつかせて美奈子との関係を求めてきたので、美奈子の本来の性悪さがでてしまって、一度だけ関係して大金をせしめた後、態度を一変させて老人からの指名を断り続けていた、と考えられる。

No.1 6点 セカンド・ラブ- 乾くるみ 2016/10/24 20:39
生き残りは、春香(宇多田ヒカル→ファーストラブ)ではなく、題名と同じセカンドラブに対応する美奈子(中森明菜→セカンドラブ)であるという点が、ラストの心霊トリックを超える最大のトリックになっている。
スキー場のある田沢湖町の育ちで、且つ男性経験が豊富な美奈子が春香を演じていたからこそ、華麗なスキーテクニックや超絶エロテクニックを披露することができたのである。2~3回のスキー経験しかなく、自殺した元彼が唯一の男性経験(友人の尚美談)だった本物の春香には、決して真似することのできない芸当である。
 自殺した元彼に関連する「好ましくない情報」を美奈子から強制的に聞かされて自暴自棄になった春香は、美奈子の思惑通りに美奈子の免許で運転して事故を起こし、美奈子として病院に運ばれたが、美奈子の意に反して生き延びてしまった。困った美奈子は、春香のふりをして通学するので、春香として入れ替わるという提案を春香の父親にした。父親には「ある理由」があったので、その提案を受け入れるしかなかった。意識を取り戻した春香が、退院するまで美奈子として入院生活をおくることに同意したのは、父親に説得されたから。その後、美奈子は、顔に関する屈辱的な言葉を浴びせて春香を自殺に追い込むことに成功した。という流れであろう。
 春香を演じる美奈子と、春香の父親とが結託していることは明らかである。春香の父親は、春香の婚約者だった正明が自殺して1~2ケ月しか経っていないのに、紀藤との結婚を許したり、急いで挙式させたりしているが、こんなことは普通ではあり得ない。挙式をそんなに急いだ理由は何か?・・・春香の父親が正明の素性で最重要視していた点は、学歴や仕事の内容ではなく、天涯孤独である点だ。こんな点にこだわるのは明らかに異常であるが、こだわったのは、天涯孤独は、短期間のうちに婿入りを承諾させて挙式させることが可能だからである。春香の父親は、先代(春香の祖父)に絶縁された経験があり、現状ではなんとか先代の地位を継がせてもらっているが、弟(春香の叔父)がその地位はく奪を虎視眈々と狙っている。春香にぞっこんの先代に対して春香の父への本格的な地位継承を決心させるためには、先代が死ぬ前に、春香を演じる美奈子に挙式させて先代の遺言作成を煽る必要がある。だから、挙式を急いだのである。
 春香の父親が入れ替わりの提案を受け入れるしかなかったのは、顔を変形させてしまった春香への愛情を先代が失ってしまうと、自分から弟に鞍替えする可能性がでてくるので、先代には絶対に知られたくなかったからである。
 春香を演じる美奈子は、お金に困っていないのに、どうしてミナとしてスナックで働くようになったのか?・・・本物の春香が事故で重症を負ったのは、交際中の彼が自殺して間もない、大学3年のときだったと考えられる。その後、春香を演じる美奈子がミナとしてスナックで働くようになるまで、かなりの期間が経過している。スナックのママの話しによれば、ミナは正月スキーに行く数ヶ月前になってようやくスナックで働き始めている。それ以前、春香を演じる美奈子と、春香の父親とは、婿入りを承諾する男性をひっかけて挙式にもちこむ作戦を企てていたものの、それほど焦ってはいなかった。育ちの良い学生しかいない私大の大学院では、婿入りを承諾しそうな男性はなかなか見つからなかったが、のんびりと構えていた。ところが、先代の発病がきっかけとなって、挙式を急がなければならなくなった。そこで、美奈子は、天涯孤独の男性に巡り会える機会を増やすために、スナックで働き始めたのである。
 ミナを逃亡させた上で正明との挙式に持ち込む必要があった春香=美奈子は、ミナも正明に恋をしたが姉のために身を引いたという設定を思い付いて、ミナとして正明と関係を結んだ。そのとき、超絶エロを披露したのは、正明に対してミナを尻軽女と思わせてミナに対する未練を抱かせないようにするため。それを確実なものにするために、読書の心得のない紀藤に正明の本を借りさせて本のトリックを仕掛けたのだが、そのトリックがわざとらし過ぎたため、「わざと尻軽女だと思わせた」と正明に勘違いされて、正明を田沢湖に向かわせることになる。

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