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ロマンさん
平均点: 8.08点 書評数: 177件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.8 8点 火刑法廷- ジョン・ディクスン・カー 2015/10/29 18:52
壁の中へ消えた女、棺から失せた死体、そして妻と瓜二つの毒殺魔…。怪奇めいた雰囲気たっぷりの中、鮮やかにトリックが解決されて真相が明らかに…と、ここまでだけでも、カーの本領発揮といった内容なのに、更に捻られたラストが用意されており、流石という感じ。エピローグは推理小説の観念を覆すものではあるが、全体的に漂う怪奇さが、そういうオチも有りだなと思わせる。でも一番驚いたのは解決篇に当たるⅣ章の最後。まさかあの人が!劇的すぎる!シリーズものの探偵は登場しないけれど、確かにカーの作品の中でも名作に位置すると実感した。

No.7 8点 曲った蝶番- ジョン・ディクスン・カー 2015/10/24 23:05
二人のファンリー、動き出す人形、魔術への傾倒、先行して起こった殺人、屋根裏の秘書、自殺と判断するのが妥当な状況での殺人事件。そのどれもが狂言的な雰囲気を創りだし、氷山にかかる晴嵐の如く真実を覆い隠す。真相は聞いてしまえば不思議すらも覚えないものでありながら、不可能犯罪とホラー的雰囲気を作り出すカーのストーリィテリングは流石。曲がった蝶番とは。動機は。犯人は。フェル博士の真意は。その全ての謎に対して斜め45度前方への飛躍が必要である今作は、何も分からずとも読ませてしまう文章の上手なカーだからこその作品。

No.6 6点 連続殺人事件- ジョン・ディクスン・カー 2015/10/22 21:19
ユーモアに恋愛と、カーにしては珍しい要素が多く盛り込まれている。スワンが哀れ過ぎて笑いが止まらなかった(黒笑)。第一の密室の●●●●●●を用いたトリックは、現代人の感覚からすればやや疑問だが、それらを差し引いた純粋なる意外性という面では非常にレベルが高いものだった。第二の密室は少し単純過ぎか。ただ全体的に伏線がしっかりと張られているので完成度は高い。締めくくりは決して後味の良いものとは言えないが、それまでのユーモア溢れる明るい話の流れにきっちとした対比が立てられているのでこれはこれでアリなのかもしれない。

No.5 6点 夜歩く- ジョン・ディクスン・カー 2015/10/21 07:21
ジョン・ディクスン・カーの処女作品。精神異常者のローランは妻のルイーズを殺そうとするも未遂に終わり、収容されるも妻が再婚することを聞き脱走する。その執念は恐ろしいものでローランは整形をしてその整形を施した医者を殺害し闇にまぎれる。ルイーズの新しい夫でスポーツマンのサリニーは脅迫状まがいな物を送られ、その影に恐怖し、身の安全のため警察に身辺警護される中、殺害される…地の部分に恐怖感を漂わせすぎているわりに、事件のトリックは拍子抜けだが、確かに拙いながらもディクスンらしさが凝縮されてる一冊だった。

No.4 8点 三つの棺- ジョン・ディクスン・カー 2015/10/20 18:09
密室殺人は本格推理の醍醐味。ありえないと分かっていても。ある夜、謎の客人の訪問を受けた教授は胸を打ち抜かれ、鍵のかかった部屋に他の人間はいなかった。辺りを覆う雪にも痕跡はない。続いて、やはり不可能と思われる殺人が起こる。犯人はどうやって犯行を行なったのか。主眼が置かれているのはハウダニットだが、被害者を始め登場人物の背景に漂う幻想的な雰囲気が、パズル的興味だけでなく小説として読んでも面白い。”密室講義”は「こんな昔にこんなことを…!」と、ある意味トリック以上に驚愕の一章(笑)。確かに古典であり名作。

No.3 5点 テニスコートの謎- ジョン・ディクスン・カー 2015/10/20 11:21
30年代の作品にしてテニス・ロボットの開発云々とアホなことぬかしよるが、それが伏線であるとはあまりに意外だ(ただし全く褒めてないけど)。そして、相変わらずハリウッドのメロドラマかロマンチック・コメディみたいだ。

No.2 9点 緑のカプセルの謎- ジョン・ディクスン・カー 2015/10/20 11:02

毒殺もののミステリはあまり数を読んでいなかったが、まさかここまで強引かつ堂々と毒を呑ませる犯人がいるとは思わなかった。普通ならまず有り得ないこの殺害方法を成立させるためには今作のようなシチュエーションが不可欠で、カーの優れたプロット構築能力を見せつけられた思いがある。「心理学的推理小説」の名に相応しい、鮮やかなトリックも見事。フェル博士による「毒殺講義」も盛り込まれ、読んでまず損はない一作と感じた

No.1 9点 皇帝のかぎ煙草入れ- ジョン・ディクスン・カー 2015/10/20 11:00
表題の通り「かぎ煙草入れ」が重要な殺人事件。これは巧い。ごく単純な事件を心理的な仕掛けで巧妙に騙してくる。短いながら、どんでん返しもあり楽しめた。カーと言えば不可能犯罪という印象だったので、どんな超絶技巧なトリックが仕掛けられているのかと期待していたところを良い意味で裏切られた。犯人は予想通りで驚きはないけれどトリックは予想外で別の意味で意外な展開だった。なるほど確かにクリスティが好みそうな推理小説。物語としても読みやすく冒頭から引きこまれた。特に男女の確執が迫真。ヒロインの男運の悪さには同情するしかない。

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平均点: 8.08点   採点数: 177件
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