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文生さん
平均点: 5.89点 書評数: 425件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.45 8点 りら荘事件- 鮎川哲也 2010/01/22 08:25
日本本格ミステリーにおける代表的傑作。
大がかりなトリックを仕掛けるタイプの作品ではない。
小さなトリックの積み重ねによる隠蔽工作とそれを打ち破るロジックの構築が美しい。

No.44 6点 笑う警官- 佐々木譲 2010/01/22 08:15
殺された婦人警官。
濡れ衣を着せられた刑事。
汚職の暴露を恐れ、彼を射殺しようとする警察上層部。
彼の汚名を晴らすべく立ち上がる警察内部の有志たち。

警察対警察の構図が独特の緊張感を生んで面白い。
登場人物もそれぞれ魅力的に描かれている。
ただ、警官の間では公然の秘密となっている程度の事実を隠すために警察幹部が現職の刑事を殺そうとするだろうかという点に疑問が残る。
謀殺の事実が露見したら汚職どころの騒ぎじゃすまないだろうに。

後、タイトルの改題も不満。
文庫本のあとがきに元の『うたう警官』は意味がわかりにくいと言われたと書いてあったが、どう考えても『笑う警官』の方が意味不明だ。
明らかに『うたう警官』の方がこの小説のタイトルとしてしっくりくると思うのだが。

No.43 6点 暗い鏡の中に- ヘレン・マクロイ 2010/01/21 13:53
ヒロインのドッペルゲンガーが出没するという怪奇性はなかなかのもの。
しかし、その謎に対する解答はちょっと無理があって、オーソドックスな本格ミステリーとしては失格かなと思うけれど真相をぼやかせることでこの作品をミステリーとオカルトの中間的な作品に仕上げ、その無理をうまく中和している。

ただし、事件の発端となる部分は容疑者がその事実を認めちゃってるからそこに関してはオカルト的解釈はできないんだよな。
あのトリックも突っ込みどころ満載だと思うんだけど。

No.42 3点 東京空港殺人事件- 森村誠一 2010/01/21 13:43
空港での二重の密室の謎が中心になっているが、ひとつは古典的すぎるし、もうひとつはこのくらいすぐに気づけよと言いたくなるしょぼいもの。
これはちょっと評価できない。

No.41 8点 高層の死角- 森村誠一 2010/01/21 13:40
密室殺人とアリバイ崩しを組み合わせたトリック尽くしの作品。
特にアリバイトリックは二重、三重、四重と仕掛けられており、その執拗さに唖然とする。
ひとつひとつのトリックは小粒だが、その物量に脱帽。

No.40 6点 人形はなぜ殺される- 高木彬光 2010/01/21 13:28
トリックは独創的でいいのですが、この作者の本格ミステリーは言い回しが大げさでどうも鼻につく。

No.39 4点 八つ墓村- 横溝正史 2010/01/21 13:24
冒険譚としての評価が高いですが、私はこれを金田一の推理ものとして読んだので失望感が大きかった。
海外の有名作品を劣化再生させた動機の謎は新味のかけらもないし、何より金田一の「私は最初から犯人を知ってたんですよ」という台詞はあんまりだ。
8人も殺されたのに・・・。
冒険譚をメインにするならば中途半端な本格要素は削った方がよかったのではないだろうか。

No.38 5点 Xの悲劇- エラリイ・クイーン 2010/01/21 13:17
さすがにクイーンの代表作だけあって推理の部分は素晴らしいのですが、いかんせんストーリーに起伏がなく、読んでる間は中だるみを感じました。
ロジックに関しても、その中核になる部分は早い段階で気づいてしまったので自分の中ではこの作品に対する評価は低めです。

No.37 8点 名探偵 木更津悠也- 麻耶雄嵩 2010/01/21 13:14
よく出来た本格短編集です。
そしてさらにそこに幽霊の存在を仄めかせてホラー風味を加えたところが秀逸。

No.36 9点 神様ゲーム- 麻耶雄嵩 2010/01/21 13:11
本格ミステリーとしては普通の出来。
しかし、ミステリーの世界になんでもお見通しの神様を登場させる掟破りの設定がユニーク。
そしてなにより、児童文学の皮をかぶって繰り広げられるブラック過ぎる展開がインパクト大である。

No.35 6点 時計館の殺人- 綾辻行人 2010/01/21 11:14
メイントリックは素晴らしい出来。
ただ綾辻行人初期の作品全般に言えることだけど、登場人物に魅力を感じられず、ゲームの駒のようで、サスペンスに富んだ内容にもかかわらず、小説としてあまり面白くない。

No.34 7点 終着駅殺人事件- 西村京太郎 2010/01/21 11:08
動機を巡る謎が意表をついて面白い。
個々のトリックは練り込み不足も感じられるが、盛りだくさんの内容で楽しめる。
氏のトラベルミステリーの中では最高傑作のひとつだろう。

No.33 2点 殺人ピエロの孤島同窓会- 水田美意子 2010/01/21 10:56
12歳の女の子がこれを書いたという事実はすごいが面白いかつまらないかと聞かれればつまらないと断言できる内容です。

No.32 3点 クビツリハイスクール- 西尾維新 2010/01/21 06:25
前作の『クビシメロマンチスト』で萌えキャラによるダークな青春ミステリーという形態に衝撃を受け、期待に胸を膨らませて本作を読んだらミステリーではなくバトルものだった。
何より前作の肝だった主人公の暗黒面があっさりと放棄されていて大いに肩透かしを感じた。
しかも、肝心のバトルが抽象的な描写が多くてあまり面白くないのだ。

No.31 9点 クビシメロマンチスト- 西尾維新 2010/01/21 06:18
キャラ萌えを前面に押し出した前半と一気にダークな展開に流れ込む後半のギャップがすさまじい。
そして後味の悪すぎるラスト1行の衝撃。
ミステリーとしても第1、第2、第3の事件の連鎖構造がユニークで西尾維新の最高傑作と言える出来である。
ただ、第1の事件におけるアリバイトリックは無理がありすぎであれはなかった方が良かったのではないだろうか。

No.30 6点 クビキリサイクル- 西尾維新 2010/01/21 06:10
デビュー作から独自の言いましや会話劇の楽しさは顕著で大いに楽しませてくれる。
実際、これを当時二十歳の大学生が書いたのだからすごい。
ただ、天才ばかりが集まった島という割には、殺人事件でのトリックはそれなりにまとまっているものの極めて地味。
そのギャップに違和感が残る。

No.29 3点 悪霊島- 横溝正史 2010/01/20 18:35
作者最晩年の作品。
独特の怪奇趣味は健在だが、上下巻の大作としてはミステリー的興味があまりに希薄。

No.28 10点 腐蝕の惑星- 竹本健治 2010/01/20 17:49
とある惑星を舞台に描かれる2部構成のSFホラーでミステリー的興味は限りなくゼロに近い。
とにかく怖い作品。
1部も怖いが、2部はさらに恐ろしい。
あまりの絶望的な状況に泣きそうだ。
そんな絶望の中で懸命に活路を見出そうとするヒロインが可憐な至高の美少女ホラー。

No.27 3点 ウロボロスの基礎論- 竹本健治 2010/01/20 17:39
現実と虚構をテーマーにした実名小説『ウロボロスの偽書』をさらにひねくり回した続編。
前作は大好きなのだが、これは混沌としすぎていてさすがに楽しめない。

No.26 9点 ウロボロスの偽書- 竹本健治 2010/01/20 17:37
現実と虚構が混沌となるメタミステリー。
こういう趣向の作品は大好きです。
またメインキャラクターとして作者と新本格ミステリーの作家たちが登場するのも興味深い。
ただ今となってはちょっと古臭いのが実名小説の難しいところ。
本格ミステリとみせかけて全然本格として成立していませんが、そこを除けばミステリー好きにとって実に楽しい作品です。
作中作のバカミステリー、芸者シリーズも最高!

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文生さん
ひとこと
本格脳なので本格度が高いほど評価も高くなります。ただし、本格好きと言ってもフェアプレーなどはどうでもよい派なのでロジックだけの作品は評価が低めです。トリックやプロットを重視した採点となっています。
好きな作家
ジョン・ディクスン・カー、土屋隆夫、竹本健治、山田正紀
採点傾向
平均点: 5.89点   採点数: 425件
採点の多い作家(TOP10)
ジョン・ディクスン・カー(18)
アガサ・クリスティー(17)
カーター・ディクスン(11)
横溝正史(11)
エラリイ・クイーン(11)
西尾維新(10)
米澤穂信(9)
森村誠一(9)
竹本健治(9)
東野圭吾(9)