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こうさん
平均点: 6.29点 書評数: 649件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.17 6点 リスの窒息- 石持浅海 2010/04/14 01:17
 最近になく収穫でした。誘拐事件で第三者に身代金を請求するというパターンは前例もありますが今回はひきこまれる展開、ストーリーでこれだけ楽しめたのは「扉は閉ざされたまま」以来だと思います。
 江守森江さんが述べられている通りでこの状況で警察を呼ばないのは不自然ですがそれは「扉は閉ざされたまま」でいつまでたっても扉をこわさないのと一緒でそこが石持浅海作品らしさなのかなあと思います。
ただ編集局長の異常さをどう描いても警察を呼ばない展開は誰が読んでも納得はできないと思いますが。
 最後は予定調和すぎるくらいなのが少し拍子抜けですが久々に当たりでした。「まっすぐ進め」まで読んでもう読むのをやめようかと思っていたのですがこの作品に限って言えば石持浅海作品らしい不満点はあっても楽しめました。

No.16 4点 まっすぐ進め- 石持浅海 2009/12/13 00:42
 ここ最近2作と違いいつもの路線に戻った作品と感じました。
沈着冷静な主人公と恋人の交流を出会いから描いていますがこれまで以上に主人公には感情移入しにくくこのキャラクターたちでそもそも恋愛模様を描くのが無理があるような気がしました。解き明かされる謎もあまり魅力を感じられず納得もしづらいです。そもそも日常の謎よりも殺人事件を扱った方が良さそうなキャラクターに感じます。
 最近2作よりはましですが初期作が懐かしく感じます。 

No.15 2点 ガーディアン- 石持浅海 2008/09/06 00:18
 相変わらずの変な設定での作品でした。今度は死んだ父親がガーディアン(守護霊)として身の危険を守ってくれる女性が主人公となる作品です。
 読者をミスリードさせる展開で描かれているのは流石ですが、謎が小さいため検討さえつけば一気にわかってしまうため逆に物足りない感じです。
「勅使河原冴の章」のみがミステリの範疇に入り「栗原円の章」はもはやミステリとは呼べない作品です。正直「勅使河原冴の章」のみで十分でした。
 特異な設定でのロジックは相変わらずなのですが今回は設定に対して謎の驚きが小さく残念です。いいかげん特異な設定へのこだわりを捨ててほしいと思ってしまいます。

No.14 2点 耳をふさいで夜を走る- 石持浅海 2008/08/02 01:53
一応倒叙形式の連続殺人を扱っていますがついに本格色がなくなってしまいました。
 作品中の「覚醒」がいわゆるSFではないためどの程度のものか読者に伝わりづらくリアリティがなかったです。そのため犯人の殺人の動機も納得しにくいです。
 また結局ほとんどのメインキャストが死んでしまうわけですが主人公の計画は途中で狂ってしまうのにもかかわらず続けようとする意図がわからないです。うまくいってもどうみても疑われるのは主人公しかありえないと思います。
 作風の今までとの違いは理解できましたが作者の狙いがよくわかりませんでした。

No.13 6点 アイルランドの薔薇- 石持浅海 2008/07/24 01:33
石持浅海第一長編はアイルランドの宿屋で起こる殺人事件を扱っています。中身は宿屋の住人のみが容疑者となる実質上クローズドサークル物(厳密には違いますが)です。
 ひねりはないですが昔ながらの本格をアイルランドのテロ組織を登場させ成立させています。
 第一長編から設定がいかにも石持作品らしい設定ですが他作品よりも殺人動機は納得しやすい作品でしょう。
 その後の作品よりも本格に忠実な仕上がりだと思いますのであまりひねりや驚きはありませんが気に入っています。

No.12 4点 温かな手- 石持浅海 2008/07/22 00:04
これも石持作品らしい変な設定の作品です。ギンちゃん(兄)、ムーちゃん(妹)と呼ばれる人間のエネルギーを吸収する兄弟の知的生命体がそれぞれ一人の人間(ギンちゃんが女性、ムーちゃんが男性)と共同生活を送っており、その周囲で起こる殺人事件の真相を彼らが探偵役として解き明かすスタイルです。ロジックは楽しめる作品が多いですが、少しこじつけの様なものもあります。特に「酬い」のストーリーは少々ロジックが決め付けに近いかな、と思いました。
 最後の短編で兄弟とその同居している人間4人で合流するのですがラストは予想通りの展開でした。
 作者は意図的に普通ではない状況設定での本格を目指しているのでしょうが、もっと普通の設定で書いてもらいたいと思ってしまいます。

No.11 4点 顔のない敵- 石持浅海 2008/06/22 23:57
対人地雷をテーマに地雷除去NGOのメンバーの周囲で起こる殺人事件を中心とした6編と作者の処女短編「暗い箱の中で」が収められた短編集です。
 対人地雷をテーマに選ぶ辺りは石持浅海らしいと思います。所謂メッセージ性は強くなく本格ミステリの土俵として選んでいると思います。殺人事件が多いせいか、ロジックも他作品よりは受け入れやすいものが多かったです。
 ただ「暗い箱の中で」は会社の同僚のみが乗ったエレベーターの中で起きた殺人事件を扱っていますがロジックは良いと思いますが「何も起こらなければ飲み会(送別会)に一緒に行く筈だったメンバー」を殺害する動機が納得いきませんでした。
 推理の過程には文句はありませんがそんな簡単に人を殺すものかな、と思ってしまいます。

No.10 3点 BG、あるいは死せるカイニス- 石持浅海 2008/06/17 23:50
 石持作品らしい変な設定での本格作品です。人間は全員女性として生まれ選ばれた人間が男性化する架空の世界で起きる殺人事件です。架空の世界の中で本格を成立させているのは流石ですが、物語にのめりこんでこの世界での法則を理解してないと推理できません。個人的には全くのめりこめませんでした。
作者の意欲はわかりますが、この作者の普通の設定での普通の本格を読みたいと思ってしまいます。

No.9 5点 心臓と左手 座間味くんの推理- 石持浅海 2008/05/28 21:31
 月の扉で探偵役となった座間味くんが再度探偵役となって登場する短編集です。直接月の扉11年後の描写をした短編「再会」も入っています。
 他の短編集に比べてロジックの光る好短編集だと思います。犯罪事件を扱っていることもロジックが溶け込みやすい要因となっているのではと思います。日常の謎、男女の思惑などを扱った作品よりもロジックに納得しやすいかなと思います。
 ただ科学捜査全盛のこの時代で警察がわからない真相を安楽椅子探偵が解き明かすという構成なので不自然といえば不自然ではありますが泡坂妻夫の亜愛一郎シリーズなどを楽しめた方なら楽しめるのではないかと思います。

No.8 5点 人柱はミイラと出会う- 石持浅海 2008/05/25 03:14
 設定がパラレルワールドでそこで人柱である主人公が周囲に起きた謎をロジックで解き明かす短編集です。
 個人的には読み物として楽しみましたが推理小説として楽しめるかは疑問。石持作品は普通の殺人事件を扱った方が作風としては活きやすいと思うのですがいつも民間人を探偵にしているためか特に短編は変な題材が多い気がします。

No.7 4点 セリヌンティウスの舟- 石持浅海 2008/05/25 03:03
 ダイビングに参加していた人々が一緒に漂流し一緒に救助されたのをきっかけに仲間になりそのうちの一人の家に全員集まった時に一人が自殺をする。後日集まった残りの仲間が本当に自殺なのか、他の誰かが殺したのか、という推理を仲間うちで行うというお話です。
 内容設定は石持作品らしいし読みやすいですが何故わざわざこんなことをしたのか(読んだ人にはわかると思いますが)という真相が納得できかねます。
 また登場人物の設定は普通なのにこんなロジカルな会話をしたがるかなという不自然さもあります。石持作品らしいといえばらしいですが。
 作者の提示する真相に納得できるかどうかでしょうが他の長編と比べても出来は悪いと思います。

No.6 5点 水の迷宮- 石持浅海 2008/05/25 02:50
 いかにもな石持作品。水族館に脅迫状が届き職員が対応している内に殺人事件が起こり、何故か館長は警察にはすぐには届けない。たまたま遊びにきていた職員の友人が探偵役で、犯人など一連の謎を解き明かすという作品。
 映像化されれば視聴者でも犯人はわかるかもしれませんが読んでいるだけでは犯人はわからないと思います。
 ミステリと勝負して真相を当てたい、推理したいという人向きではないかもしれませんがスタイルは個人的には好きです。

No.5 6点 月の扉- 石持浅海 2008/05/25 02:42
 石持作品は初期長編四作は奇抜な舞台設定でかつ警察の介入のない閉じられた環境にして探偵役が犯人を暴くスタイルです。個人的には石持浅海は最近の作者の中では一番好きですがそもそも舞台設定と謎解きの雰囲気がそもそもあっていない点とロジックを解き明かすスタイルなのにどちらかというとこの人物はこうするはずだという確率論的な予想の様な推理になりがちで好き嫌いは分かれそうです。個人的にな謎解きの過程が昔ながらで非常に好きです。
 月の扉は犯行グループの性格設定、ハイジャックの動機など変だと思いますが石持ワールドと思えば不思議はないかなと思います。
 例によって読者が真相を当てるのは難しいと思いますが相変わらず読みやすく、探偵役に提示された謎の真相とそのプレゼンテーションに納得できる方にはこの本も含めてどれも面白いと思います。 

No.4 5点 Rのつく月には気をつけよう- 石持浅海 2008/05/21 23:46
 学生からの飲み仲間三人の所にゲストが一人加わりゲストが抱えている悩みを三人のうちの頭脳明晰な一人が解き明かすプロセスを仲間の一人称視点で語られるスタイルの短編作品集です。
 謎が提示された時点では読者に真相はわからず主人公が解き明かすところを読んで楽しむ形でしょう。厳密に唯一無二の正解とは限らないと思いますがプレゼンテーションがうまいのとゴールが決まっていて他の答えを会話で消しこんでゆくスタイルなので模範解答を見せられている感じもします。
 最終話にちょっとしたトリックが仕掛けられておりますがはじめからしっかり読んでいれば十分気付ける書き方をしておりますし注意して読んでいなければ慌てて前を読み直すことになると思います。
 読者が謎解きでカタルシスを得られるとすれば最後のトリックくらいかなと思います。

No.3 5点 賢者の贈り物- 石持浅海 2008/05/21 23:31
 短編集でしいていえば日常の謎?の範疇にはいると思います。登場人物の一人が悩み事をかかえていて本人もしくはもう一人の登場人物が論理的に解決するお話ですが、論理的な部分もその短編の主人公の主観、直感に基づいた推論が多いです。殺人事件が起きているわけではなく短編主人公の登場しない周囲の人間がどうしてそう行動したかを解き明かすスタイルなので論理的とはいえ予想と変わらないのも仕方ないと思います。 
 

No.2 8点 扉は閉ざされたまま- 石持浅海 2008/04/21 01:08
 スタイルは斬新で楽しめたました。石持作品は動機を云々するよりもロジックを楽しむのがよいと思いますがやはりこんなことで人を殺すかな、と思ってしまう点がマイナスでしょうか。読み物としては面白いです。

No.1 5点 君の望む死に方- 石持浅海 2008/04/21 00:07
石持浅海はこんなことで人殺すかなと動機などでひっかかることはあっても読み物としてはロジックを追及するスタイルが好きなのですがこの本は前作程の完成度はないと思います。
 ラストでこの状況で殺人が起きてもやはり内部犯行が疑われるでしょうし優佳も本当に殺人を防ぎたかったら警察に夕食の時点で連絡してぶちこわすなり、安東なりに伝えたりしていくらでも防ぎようがあるのに結局主人公をアシストしており言動が生ぬるいです。

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こうさん
ひとこと
 私の採点で10点は単なる好みです。10~20年前の初読時の印象で不当に高いのもありますが気にしないでください。トリックものは古臭くても昔初めて触れたトリックだったら高得点の傾向が高いです。
 ガイド...
好きな作家
泡坂妻夫、有栖川有栖、東野圭吾、岡島二人、梶龍雄 
採点傾向
平均点: 6.29点   採点数: 649件
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