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こうさん
平均点: 6.29点 書評数: 649件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.17 5点 奥信濃鬼女伝説殺人事件- 梶龍雄 2012/04/23 23:52
kanamoriさんの書評通りでシラケ姫シリーズ以上の言語センス、文体がとにかく凄まじいとしかいいようがありません。版元の要請なのか主人公が男だともっと売れないと判断したんでしょうかなんでこんな文体にしたのかわかりませんが当時でも読みづらかったんだろうなあと思います。
 登場人物とストーリーの流れからは犯人は予想し易いです。作者のやろうとしたこともよくわかりますけど結構綱渡りなプロットであまり感心するものではありませんでした。
 文章はある意味最大の破壊力があるかもしれません。 

No.16 6点 大臣の殺人- 梶龍雄 2012/04/23 23:41
 明治時代を舞台に実在した黒田清隆の妻殺し疑惑を絡めた本格推理小説でした。
 人物誤認のトリックは現代よりは明治時代の方がまだ説得力があるかもしれませんが個人的にはあまり好きではありません。
 黒田清隆は総理大臣経験者、開拓使初代長官のイメージしかなかったんで書いてある内容は結構驚きでした。
 下手な女子大生が出てくる作品程文章に不満はなくそこそこ楽しめました。

No.15 6点 幻狼殺人事件- 梶龍雄 2012/04/09 00:52
 全体的なプロットは良く考えられていると思いますが流石に回りくどい、他にやり方があるだろうと感じました。またちょっと前時代的なストーリーかなあと思います。過去の不審死の真相は扱っている時代を考えればさもありなん、と納得できますが現代では起こり得ないので推理するのは難しいでしょう。職業が伏線にはなっているんでしょうが。
 読後感は悪くないのですが残された登場人物の後味は悪そうなストーリーではありました。
 この作品は会話(口語)はあまり気にならずその点は読み易かったです。

No.14 5点 幻の蝶殺人事件- 梶龍雄 2012/04/02 01:34
シリーズ第1弾は梶作品独特の口語センスが炸裂していますね。大学構内の殺人なのに学園祭が中止にならないのも変ですが動機にはひとひねりありますしまあまあでした。ただちょっと冗長だったです。 

No.13 6点 殺人者は長く眠る- 梶龍雄 2012/04/01 00:49
 廣済堂文庫の草軽電鉄殺人事件で読了しました。
 このプロットは海外作品の転用ですが楽しめました。ただ〇〇〇〇がある日本で実現可能なのか30年代なら可能だったのかちょっと疑問に感じるのと、連城作品の様な抒情性が欲しいストーリーですがそれを感じられないのが残念です。また犯人が小物の印象で、騙される被害者もばかだなあという印象が残りました。

No.12 5点 銀座連続殺人手帖- 梶龍雄 2012/03/28 00:26
 シリーズ第3弾は手帳に名前を書かれた一見なんのつながりのない5人が書かれた順番通り殺されてゆく、といった本格好きが好みそうなテーマでした。
 相変わらず死語のオンパレードの会話や地の文に多少萎えそうになるのは置いておくとしてちょっと人が死にすぎな点と80年代で吹雪の山荘物でもないのに警察がほぼ関与しないまま素人探偵の捜査のみでストーリーが完結するのは違和感ありまくりでした。せっかくのミッシングリンク物なのに警察だったらもっと早く真相を突き止めるんじゃ、と思わせるストーリーでちょっともったいない作品と感じました。

No.11 7点 鎌倉XYZの悲劇- 梶龍雄 2010/05/30 23:59
 天国に行った殺人事件の被害者が地上の私立探偵に捜査させる、という設定も突飛ですが真相の全体像は泡坂妻夫の長編に類似していますが上手く考えられています。
 そもそもの前提からして推理クイズみたいな作品ですが軽く読んで楽しめる作品です。

No.10 9点 清里高原殺人別荘- 梶龍雄 2010/05/09 02:15
 この作品のメインプロットの後発作は既読でしたが20年以上前しかも晩年にこれを書くのが素晴らしいですしこれが文庫化されていないのがつくづく残念です。
 人物像や会話などに不満な点はありますし旧制高校シリーズ程の伏線の美学の様なお話ではありませんが現代の読者ならこの作品の方が読み易く楽しめると思います。
 既読作品でも今の所「リア王」や「龍神池」よりこちらの方が好みです。戯曲化や映像化できそうな内容で一読をお薦めする作品です。
 正直「本格ミステリフラッシュバック」を見るまでは「透明な季節」以外全く作品名すら知りませんでしたがこの作者は素晴らしいです。

No.9 5点 淡雪の木曾路殺人行- 梶龍雄 2010/03/29 01:30
 これも本格ミステリフラッシュバックの推薦をみて読んだ本です。女子大生コンビ(奈津子、千鶴)と先輩(高見)の3人トリオがメインキャラクターで旅先の木曽の旧家で起こる殺人事件を扱っています。「葉山宝石館の惨劇」もそうですがとにかく文体(?)というか女子大生の会話や一人称の地の文が絶望的に駄目で読んでかゆくなりそうですがおそらくどの作品も同じなのでしょう。
 あまり切れ味は感じられない作品で初期作を考えると地味ですが真相は相変わらず良く考えて作られていると思います。
 ただやはり読んでいて萎えそうになる文体ではあります。 

No.8 6点 ぼくの好色天使たち- 梶龍雄 2009/12/14 00:01
 戦後まもない闇市を舞台に没落華族の子息を主人公として彼の周りの友人である多くの売春婦たちの連続殺人を扱った作品でした。
 本格ミステリフラッシュバックでは梶龍雄最高傑作の触れ込みでしたがそこまで面白いとは思いませんでした。
 やはり梶作品全般に感じる主人公に対する共感がもてないのがまず一つありまた当時の売春婦という題材に対してもどうしても共感をもてないので(当時のリアルタイムの読者には想像しやすい世界だったのかもしれませんが)作品世界にのめりこめなかったです。
 個人的にはリア王、龍神池の方が楽しめましたが伏線はこの作品でも見事ですし読んでいると登場人物のほとんどが善人に感じる読み心地も悪くないです。

No.7 7点 若きウェルテルの怪死- 梶龍雄 2009/12/06 22:37
 飲み屋で編集者の「私」が金谷という老人と意気投合し推理小説かもしれないと自分の古い日記を渡される。そこには旧制二高を舞台とした殺人事件が描かれていた、というストーリーです。
 難点は主要登場人物のほとんどが殺され、もしくは事故死、失踪などで舞台から消え犯人は容易に絞りこめる点と「善意の共犯者」を使っているトリックが絶対上手くいかないであろうことです。初期作に比べれば伏線はかなり露骨に散りばめられていますがそれでも全てを回収するのは難しいでしょう。作品の出来としては少し劣りますが個人的には楽しめました。

No.6 7点 葉山宝石館の惨劇- 梶龍雄 2009/12/06 22:14
 作者の晩年にかかれた作品です。祖母の家に夏休みに長期休暇で滞在していた小学生の少年がメインキャラクターで滞在先近所の洋館(宝石館)で起こる密室殺人、そして連続殺人に発展してゆくストーリーが彼の日記と三人称を使い分けて進んでいきます。
 登場人物の会話、特に探偵役の女子大生と刑事の会話など文体は絶望的にだめですが、また動機はともかく安易に人を殺しすぎの所も好きにはなれませんが密室だけではなくその理由、真相と考えて作られた作品でした。
 実際に上手くいくかはともかくとして作品自体は楽しめました。 

No.5 6点 奥鬼怒密室村の惨劇- 梶龍雄 2009/12/06 22:02
 乱歩賞スペシャル第一期書き下ろし作品です。太平洋戦争末期で軍人の子息がメインキャラクター、疎開先の村で起こる連続殺人事件を扱っています。
 作風は下手な官能小説プラス本格小説といった趣きで乱歩賞スペシャルでよくこれを描けたな、という印象でした。他作品同様あまり主人公に感情移入できないですが本格的構成を保っており伏線もしっかりまかれており個人的には楽しめました。ただ発表年を考えれば売れなくても仕方なかったのかな、とも思える作品でした。

No.4 5点 透明な季節- 梶龍雄 2009/11/03 22:32
  第二次大戦中の15歳の男子中学生を主人公とした青春ミステリといった趣きの作品です。配属将校の射殺事件とその妻への主人公の思慕がメインで進んでゆくストーリーでした。
 かなり前に乱歩賞全集で読んだのですが「海を見ないで陸を見よう 」を読んだ時はこの作品の続編であることに全く気付きませんでした。
 舞台が大戦中とはいえ主人公が若すぎて作品のせいではないのですが感情移入できませんでした。内容も後の作品ほど伏線も効いていませんし面白みに欠けた覚えがあります。 

No.3 8点 リア王密室に死す- 梶龍雄 2009/10/31 23:06
 昭和23年三高の学生が密室で殺される事件が起こり合い鍵を持っていた同室者(主人公)が容疑者として疑われ、学友たちが容疑を晴らそうとする、というストーリーです。
 この作品も龍神池の小さな死体と同様真相が2重構造になっていて最後に一転するところはいいのですが最後の真相はあまり気持ちのいいものではありませんでした。ただ数々の伏線の回収はこの作品でも見事でありメインストーリーはこれまで読んだ作品の中では一番気に入っています。ただ本格として推理の余地があるかは何とも言えませんが。
 「本格ミステリ・フラッシュバック」を見るまで乱歩賞受賞作の「透明な季節」しか知らなかったのですが社会派全盛時代にこのようなプロット、伏線の美学の様な作品群を発表されていたのは正直驚きです。他作品も読み進めてゆきたいと思わせる作品でした。

No.2 8点 龍神池の小さな死体- 梶龍雄 2009/10/31 22:53
 建築工学科教授である主人公の母親が「20年以上前池で溺れて死んだ主人公の弟が本当は殺された」と臨終間際に残して死亡、主人公が弟の死亡事件を捜査してゆくストーリーです。
 数々の伏線の回収は見事ですがラストの部分がとってつけた感じがして不満なのと真犯人に動かされる共犯者がいるのですがその共犯者の使われ方も不満です。伏線も合理的に回収されているかといえばそうでもない気がします。またどうしてもCC物以外の素人探偵ものは警察が無能に描かれてしまいその点は好きにはなれません。ただこういう作品を読ませてもらうだけでも満足できる作品でした。
真相が更に一転するのは「リア王密室に死す」同様ですが個人的にはリア王の方が好きです。

No.1 7点 海を見ないで陸を見よう- 梶龍雄 2009/10/27 00:10
 昨年発売された本格ミステリフラッシュバックというガイド本のお薦めで読んでみました。
 本作品は透明な季節の続編にあたり昭和20年代を舞台にした青春ミステリといった趣きでした。正直犯人を含めた登場人物の心理は理解し難いところもありますし殺人トリックもどうということはないのですが確かに伏線が多数張られている作品で作品の構成は楽しめました。
 これから梶龍雄作品を読み進めていきたくなりました。

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こうさん
ひとこと
 私の採点で10点は単なる好みです。10~20年前の初読時の印象で不当に高いのもありますが気にしないでください。トリックものは古臭くても昔初めて触れたトリックだったら高得点の傾向が高いです。
 ガイド...
好きな作家
泡坂妻夫、有栖川有栖、東野圭吾、岡島二人、梶龍雄 
採点傾向
平均点: 6.29点   採点数: 649件
採点の多い作家(TOP10)
東野圭吾(60)
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