皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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小原庄助さん |
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平均点: 6.64点 | 書評数: 260件 |
No.2 | 5点 | 霊峰の門- 谷甲州 | 2020/02/04 10:34 |
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輪廻転生を題材に奈良から幕末までを描く伝奇ロマン。貴人の身代わりに殺される「影」一族の佐堤比古と恋人・皐月女の時空を超えた愛を縦糸に「影」を独占しようとする一言主と佐堤比古たちの果てしない闘争を横糸に進んでいく。
輪廻転生は、下手に扱うと死んでもやり直せるという部分だけが強調され、命の軽視になりかねない。だが、本書は、乱世に最も必要とされる「影」を主人公にすることで戦争の悲劇を丹念に描くとともに、どんな時代も変わらない愛の普遍性をテーマにしている。それだけに生きることの大切さ、死の持つ意味が実感できるはずだ。 |
No.1 | 7点 | 星を創る者たち- 谷甲州 | 2018/09/07 09:06 |
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人類が太陽系諸惑星に進出した未来を舞台にした連作短編集で、第1作から25年を経ての完結となった。
人類の異惑星進出後には、当然ながら環境条件の異なる星での施設建設や保守点検といったメンテナンス業務が、日常的に発生することになる。またそれが事業であり業務である以上、そこにはコスト面の課題や書類の手続き、施主のわがままや、現場と設計者の意見対立などの諸問題も発生する。場合によっては官僚や研究者の関与も。 月の地下交通トンネルの落盤事故、火星の与圧ドームでの火災、あるいは水星の射出軌条や木星の工事で発生する”事件”。 それらに挑む宇宙土木技術者たちの、壮大にしてほほ笑ましく、荒唐無稽でありながら、とてもリアルで煩雑な挑戦の日々。特に「太陽」に取り組む最終話は、これまで登場した技術者たちが一堂に会して、太陽系の創造に関わるような難題に挑んで圧巻だ。 |