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HORNETさん
平均点: 6.30点 書評数: 1069件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.14 7点 殺人方程式- 綾辻行人 2017/09/24 14:10
 死体の切断理由、移動させられた理由など、猟奇的犯行と不可解な状況の「ホワイ」が納得のいく形、しかも丁寧な伏線の上で説明されていて、久しぶりにド直球の本格ミステリを楽しんだ。特に、死体移動の理由が秀逸な仕掛けに感じた。
 トリックは、スケールは大がかりで手口は細かい。詳細な仕掛け等は分かりようもない感じがしたが、大体「どこからどこへ」ということが看破できればまぁ満足、かな。何気ない描写にきちんと伏線がちりばめられていて、さすがだなと思った。
 犯人は分かったが、残っている最後の謎の真相にはちょっと面食らった。突発的で、脈絡のない偶然の犯行(?)という感じがして、あまりすっきりしなかった。探偵役が双子で、入れ替わって推理をすることも、特に必要な設定とは感じない。
 というように、やや不要な装飾がある感はするが、「謎解き」の魅力は十分。これぞ新本格、という作品だった。

No.13 9点 霧越邸殺人事件- 綾辻行人 2012/10/10 13:34
※多少ネタバレ気味
 新本格の旗手としての「らしさ」が存分に発揮された、厚みのある作品。綾辻ファンの多くの人は、こういう作品こそ氏の真骨頂であると思っているであろうし、私もそうである。
 意匠の凝らされた豪奢な館、C.C、謎めいた館の人々、複雑な人間模様をなす若者たち、事件の鍵を握る白秋の童謡、それになぞらえた見立て殺人―そしてその犯人を探る純粋なフーダニット。しかも、今回は氏のミステリの多くを占める「叙述トリック」ではなく、ストレートなロジカル・ミステリであったことも好感を強くした。
 唯一、四つの連続殺人の犯人が、こういう結論になるのは、アンフェアとは言わないが、やや肩透かしの感もあったが…それを差し引いても文句なく綾辻氏の最高傑作の一つと言えるだろう。

No.12 6点 フリークス- 綾辻行人 2012/10/09 21:39
ミステリとしての面白さ、つまり謎の解明やどんでん返しという点では前半2編、ホラー小説としては最後の表題作。相変わらずのこのテのトリックだが、本書ではよく考えられていて飽きない。そこに幻想・ホラー的な要素も加わってくるので、ある意味氏らしい作品といえる。タイプ・ジャンルとしては「眼球奇譚」と同じ?(違う?)
 あっという間に読めるし、そういう意味ではこの作家らしさを知る入門作品にしてもよいと思う。

No.11 6点 奇面館の殺人- 綾辻行人 2012/06/03 19:37
 ファンとしては待望の館シリーズ最新刊。名前すらはっきりしない各人物の登場の仕方、全員が仮面を被るという設定、中村青司設計の館と、疑いどころ満載の物語展開で、読者もいろんな想像をめぐらせて推理し放題。つかみどころがなさすぎる感もあるが、この「妖しさ」は館シリーズ本来の魅力でもあり、久しぶりに堪能した。
 事件の凄惨な様相、強引なC.C設定も待ってましたの満足感。ただ、事件が結局一件だけであったこと、解決の決め手にパンチがなかったことなどがやや物足りなかった。
 最終作はいつになるのだろう。待ち遠しい。

No.10 5点 眼球綺譚- 綾辻行人 2011/01/16 10:07
 綾辻氏のファンの中でもホラー作家としての側面が好きなファンと,本格ミステリ作家としての好きなファンとがいるので,評価は分かれるでしょう。私はどちらかというと後者なのですが,こうしたホラーの雰囲気を描く氏の筆力は,本格物にも少なからずよい味付けをしていると思うので,読んで損した気にはなりませんでした。
 通して描かれている,咲谷由伊という女性がどんな顔なのか,ずっと想像しながら読みました。

No.9 5点 水車館の殺人- 綾辻行人 2011/01/08 19:59
 人里離れた,別世界で起きているこうした営みこそが「どっぷりとした本格感」を演出しています。結局綾辻作品は,こうした作品世界,雰囲気に魅かれる所が多いのでしょう。肯定したり批判したり,最後の結末にも両者ないまぜになったり・・・ですが,結局読んでしまう。よかったです。

No.8 6点 迷路館の殺人- 綾辻行人 2011/01/08 19:56
 綾辻「館」シリーズを続けて読むと,「どうせ最後にどんでん返しがあるんだろう」と思ってしまい,案の定,賛否両論というか,アンフェアとも感じるというか,のトリックが…ありました。しかし,こういう現実世界にはありえない建物こそ「中村青司」らしい館であり,閉ざされた空間でなされるやりとりこそ本格の醍醐味であり,私としてはアリでした。

No.7 6点 人形館の殺人- 綾辻行人 2011/01/08 19:52
 ミステリとしての仕掛けはアンフェアというか「そりゃないっしょ」というか・・・でしたが,設定,雰囲気,登場人物のキャラクターとしては本格を感じさせるもので,読み進めるのは楽しかったです。京都の街中にある家で,人里はなれた「館」ではないにもかかわらず,雰囲気としてはそれを感じさせてくれました。

No.6 4点 黒猫館の殺人- 綾辻行人 2011/01/08 17:27
 仰天なオチで,確かに騙されましたが,あまり気持ちのよい騙され方ではありませんでした。純粋なフーダニットとは・・言い難いのでは。

No.5 3点 びっくり館の殺人- 綾辻行人 2011/01/08 17:25
少年少女向けなので,仕方がないとは思いますが・・・まぁ,手応えはイマイチでした。少年期の自分が読んだら,面白かったのかな?とは思います。

No.4 10点 十角館の殺人- 綾辻行人 2011/01/08 17:22
 「騙された!」感では群を抜く作品。予備知識なしで読めて本当によかった。この作品で綾辻ファンになり,「館シリーズ」を読むことに決めた。
 ちなみに全く私的だが、この作品によって数年離れていたミステリ熱が復活し、そんなこんなでこのサイトにめぐり合えた。ミステリ史上で本格復興の金字塔とされている作品だが、私にとってもミステリファン完全復活の歴史的作品となった。

No.3 8点 時計館の殺人- 綾辻行人 2011/01/08 17:20
「館シリーズ」の中では高評価の作品なので期待して読み,またその期待に応えるものでした。俗世界から遮断されたクローズド・サークル,純粋なフーダニット,あっと驚く(かなり後半になってからはちょっと予想できましたが)トリックと,とても楽しんで読み,推理することができました。

No.2 8点 どんどん橋、落ちた- 綾辻行人 2011/01/08 17:13
ミステリークイズ集のような一冊ですが,推理が好きなので個人的にこういう作品は好きです。綾辻氏お得意の「叙述トリック集」といった所でしょうか。長編を読破するには今時間がない,手軽に(?)謎解きを楽しみたい,という時にこういう一冊があるとうれしいです。

No.1 7点 Another- 綾辻行人 2011/01/08 17:09
綾辻行人の満を持しての長編ということで,とても期待して読んだ。登場人物も多すぎず,展開もテンポよく起伏があり,飽かずに読み通せた。が,ホラーテイストが強い作品だったので,現実的でロジカルな内容を期待していた思いは少し裏切られた感じがした。

※ 後日追記(ネタバレあり)
 この作品がアニメ化するらしいが、綾辻氏お得意のこのトリックを、どうやってバラさずに映像化するのだ???そういう意味で興味があるが・・・。

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HORNETさん
ひとこと
好きな作家
有栖川有栖,中山七里,今野敏,エラリイ・クイーン
採点傾向
平均点: 6.30点   採点数: 1069件
採点の多い作家(TOP10)
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